<山本敦のAV進化論 第108回>
KDDIが始める国内キャリア初のハイレゾ配信 ー キーマンが語る新しい「うたパス」の魅力
同氏は「好評を得てきたLISMOの音楽プレーヤー機能をうたパスに組み込むことで、定額制音楽配信サービスにも興味を持っていただきたいと考えています」と言葉を続ける。
うたパスでハイレゾ配信を始めるというアイデアは、どこから生まれたのだろうか? 宮地氏は通信事業者であるKDDIとして、これからのハイレゾ市場の成長に期待を寄せているとコメントしている。伸びる市場にキャッチアップしながら、他社との差別化を積極的に図っていきたいという思いから立ち上がった戦略だ。
「これまでハイレゾは趣味性の高い音楽コンテンツという印象があったかもしれません。当社のような通信キャリアが、数百万のユーザーを抱える“うたパス”のユーザーとの接点を活かして、ハイレゾも取り込みながらより上質な音楽体験とライフスタイルをユーザーの皆様に提案したいと」と宮地氏は答える。
■どうなる? 気になるハイレゾ配信サービスの中身
auの「うたパス」には、どんなハイレゾの楽曲が揃うことになるのだろうか。谷氏の説明によれば、うたパスのハイレゾ配信プラットフォームについては、これまでKDDIの音楽サービスと同じくレコチョクとの共同運営となるため、楽曲のラインナップ、音質や配信ファイル形式については、当初レコチョクと同じ品揃えになるそうだ。
「ただし、サービスが軌道に乗った後はうたパスだけでの先行楽曲配信など、オリジナリティの高い取り組みにもチャレンジしたい」と宮地氏、谷氏は口を揃える。
auの音楽配信サービスならではの特徴として、ほかにもKDDIの電子マネー「au WALLET」が楽曲の購入時に利用できることも挙げておきたい。
au WALLETは毎月のauの利用料金やau WALLETのカードによる買い物で貯めたポイントを、次回のリアルショップやオンラインショップでの買い物、あるいは携帯電話の利用料金などに充てて使えるという、auユーザーのためのサービスだ。
うたパスのミュージックストアで楽曲を買うとポイントが加算され、またポイントを使って楽曲を買うこともできる。auユーザーなら、ハイレゾの楽曲を買う時にはうたパスを使い続けるほどお得になるというわけだ。
■「生で聴く音楽を、手元でも再現できるハイレゾ」として位置づける
KDDIはLISMOの時代から、音楽配信をたんなる配信だけでなく、音楽ライブと結びつけることで、リアルな音楽体験の普及に力を入れてきた通信キャリアだ。
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