『ゴジラ』4Kブルーレイのこだわりが本気過ぎる。高画質化や特典映像の裏側を関係者に訊く

■「入れられるものは全部入れる」。特典関係の作業に注力

───発売前に製品の全容をお伝えできないのは、やや残念なところではありますが、予想以上に凄まじい収録内容になっていそうで期待しかありません！ ちなみにですが、『シネスコ版 怪獣王ゴジラ 海外版』を除いた特典映像についても収録に当たってレストアは実施されているのでしょうか？

小池　予告篇や特報は本編と同じフローでゴミや傷も相当消して綺麗な映像にして収録しています。「チャンピオンまつり版」本編に関してはHD画質での収録になります。メイキングや未使用シーンに関しては、「記録映像」という考えで、レストアは施していません。

小森　こういった映像は、パッケージ販売が無いと人の目に触れることがありません。特典映像って購買意欲のポイントになると思いますので、今回は個人的なファンとしての気持ちもあるのですが、特典関係の作業にかなりのボリュームを割きました！

今回発売する7作品に収録される新規特典映像は最低でも3つ、『VSビオランテ』については使えるかわからないものも含めて15は用意しました！

小池　収録できるものは全部入れようということで、本当に現場には無理をお願いした形でして、特に小森さんには頑張って頂いてます。

小森　特典映像を制作する上で大変だったのは素材がバラけてしまっている場合が多々あったことですね。例えば頭の東宝マークが変わっていたり、もちろんスーパーロールが別だったりもします。

それらを一つに繋げて復元して、森本に音を作ってもらって、僕はオフライン上でのガイドとなるQTを作る。そしてそのQTをガイドにDI（フィルムのデジタルマスタリング）で本素材から組んでもらって、それが間違いないかを清水と小池に見てもらってましたね。「このカット飛んでる」「これは使えない」など、適切なジャッジをしてもらいました（笑）。

小池　復元で言いますと、今回『モスラ対ゴジラ』の特報が発掘されまして、新規で収録することになりました。先程、映画本編の上映までの流れとして予告篇の前に特報が上映されるという話をしましたが、『モスラ対ゴジラ』は特報の一部映像を予告篇に転用する為にネガフィルムを解体してしまっているんですね。

映像としての形を成していないフィルムが廃棄されずに今日まで現存していたこと自体が奇跡ですけれども、『モスラ対ゴジラ』の特報はカットが抜き取られてバラバラの状態で、缶の中には予告篇で使われずに残った細かいロールが入っており、ほぼパズルでした。

特報で使われていたであろうカットを現存する資料を参考に、音ネガ・字ネガをガイドにしつつ慎重に調べて、現場の方にお願いをして予告篇から該当のカットを移植してもらって「おそらくこれで正しいだろう」という形で特報を復元させました。

───前回の取材の折でも思いましたがやっていることが「考古学」ですね。ただ凄いです。

清水　東宝のディスク担当者の方からもいつも以上に熱意を感じます。出来る限りの映像を収録してやろうという気合を感じるので、それはこちらとしてもありがたいですね。

■ゴジラで辿るメディアの歴史。東現清水氏の野望とは……

───最後に近々の発売となる『ゴジラ』『モスラ対ゴジラ』の見どころ、パッケージとしてのオススメポイントをアピール頂けますと幸いです。

小池　今回の素晴らしいところはDVD、Blu-rayなど従来の映像パッケージに収録されていたものを引き続き収録しながら、新規特典も上乗せしているので非常に豪華なパッケージに仕上がったところでしょうか。ご期待頂ければと思います。

清水　1作目の『ゴジラ』は2014年にデジタルリマスター版を作成して、2021年には4Kリマスター、それを経てのディスクとしてこの度発売されます。進化の歴史を感じられる仕上がりになっています。

放送を見て凄い感動していただいた方もディスクを観ればブラッシュアップされた映像で「こんなに『ゴジラ』って綺麗だったんだ」と改めて判ると思いますので、是非1回ディスクで観て頂きたいなと思いますね。

小森　ゴジラくらい有名なタイトルになりますと、ベータ、VHS、LD、DVD、Blu-rayに至るまで、どのメディアでもソフトが発売されますよね。今回4K UHDで出ることでソフト化の歴史も垣間見れる部分もあると思います。これまでのソフトに収録した特典映像を収めるのも集大成的な位置づけになっているのではないかなと。

清水　『モスラ対ゴジラ』についても未使用シーンを収録するのでご期待ください！ こちらは世に出なかった当時の映像という部分を尊重して、レストアを行わずにそのまま収録しております。フィルム感を楽しんで頂ければと思います。

このゴジラ7作品が売れれば、既にリマスターが仕上がっている『モスラ』『ラドン』『地球防衛軍』など、東宝特撮映画の4K UHD化の可能性も出てきますし、昔買ったベータマックス版が真っ暗すぎて何が映っているか分からなかった『ゴジラの逆襲』を美麗な4Kリマスターに仕上げるという個人的野望の実現に一歩近づくと思います！ ご愛顧頂けますと幸いです！

───本日はありがとうございました。発売を心待ちにしております！
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いかがだっただろうか。記者も趣味で気に入った映像作品は買うようにしているが、購入のポイントとして重きを置いている要素は、装丁（ジャケットデザイン／仕様）と特典の内容だ。

ゴジラ4K UHDシリーズはどうだろうか？ 前者に関しては、4K UHD／Blu-rayともに、タイトルロゴの位置を揃え、特徴的なアートワークを配置するなど「揃えたくなる」ように仕上がっている（『怪獣総進撃』Blu-rayのマンダフィーチャーには驚いたが）。

後者についてはもうパーフェクトとしか言いようがない。制作スタッフが本気すぎるのだ。もちろん美麗な画質で甦るゴジラ作品を所有できるという喜びが第一にあるが、「これまで見たことのない映像」は、オーディオ・ビジュアル的な要素よりも “作品ファン” として強く心を動かされる。

新作『ゴジラ-1.0』の公開も無論楽しみだが、あまりにも本気が過ぎるゴジラ4K UHDシリーズのお陰で楽しい3ヶ月間を送れそうだ。

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■製品概要

ゴジラ　4K リマスター 4K Ultra HD Blu-ray　税込6,600円／10月25日発売
【Disc仕様】
本編：97分／モノクロ／4KSDR／スタンダード／BD100G（3層）
音声：1：日本語モノラル（オリジナル）リニア PCM／2：オーディオコメンタリー（ゲスト：宝田明）
字幕：日本語バリアフリー字幕

【映像特典】
「シネスコ版 怪獣王ゴジラ 海外版」(HD画質)/各種予告編/スチールギャラリー/伊福部昭インタビュー＊/オキシジェン・デストロイヤー＊/復刻 ゴジラのテーマ＊/幻のゴジラ未使用フィルム〜ゴジラ合成画面を検証する(『GODZILLAFINAL BOX』特典ディスクよりHDにアップコン）＊は既発売のBlu-rayに収録のもの

モスラ対ゴジラ　4K リマスター 4K Ultra HD Blu-ray　税込6,600円／10月25日発売
【Disc仕様】
本編：89分／カラー／4KSDR／シネスコ／BD100G（3層）
音声：1：日本語モノラル（オリジナル）リニア PCM／2：日本語 5.1ch（2003REMIX）／3：オーディオコメンタリー（ゲスト：佐原健二）
字幕：日本語バリアフリー字幕

【映像特典】
チャンピオンまつり『モスラ対ゴジラ』(HD画質/’70公開版)/メイキング8mm/特撮未使用映像/各種予告編/スチールギャラリー/ゴジラ 造型の世界＊/モスラ対ゴジラ バトルスケッチ集＊/『モスラ アタック 東京』8mm+ソノシート＊/絵本『モスラ アタック 東京』＊
＊は既発売のBlu-rayに収録のもの