【特別企画】マクセル「Vraison」読者モニターレポート − 圧縮音源の寸詰まり感が消えた!

公開日 2007/05/21 11:47
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オーディオアクセサリー誌との連動企画
本レポートはオーディオアクセサリー125号(5/21発売)にも掲載中!



Vraison ハイエンドグレード/オーバーヘッドホン型 「HP-U48.OH-BK」¥OPEN(予想実売価格30,000円前後)
“Vraison”は、MP3などデジタル圧縮された音楽データを高音質で聴かせてくれるヘッドホン。今回、マクセルが開発したビットレボリューションという技術は、倍音成分を補間することでSACDやDVDオーディオ並みの48kHz/24bitまで拡張し、さらに音楽信号をサンプリング変換とビット拡張により96kHz/24bit相当に改善するというものだ。

そのビットレボリューションを搭載したのがVraisonシリーズ。Vraisonのヘッドホンは、パソコンから音楽を再生する時に使う。専用ドライバソフトをインストールしたPCで音声を再生し、付属コントローラーでD/A変換したアナログ信号をヘッドホンに伝送。ドライバソフトは48kHzまでの信号帯域の拡大と24bit相当のビット拡張に加え、ユーザー個人に合わせた聴覚感度補正も行ってくれる。Vraisonの効果の確かさは製品の性格上、実際に使ってみなければ分かりにくいため、このたび、オーディオアクセサリー誌とPhile-webの連動企画としてモニターキャンペーンを行った。以下、モニターに当選された竹花弘雅さんのレポートをご紹介しよう。

圧縮音源の寸詰まり感が消えた!倍音成分がどこまでも伸びていく


竹花弘雅さん:長野県在住。大手CDショップ勤務後、クラシック・ネットショップ「竹音堂」を主宰。43歳
私は15年ほど大型CDショップにてクラシックのバイヤーを勤め、現在は自前でクラシック・ネット通販を運営しております。仕事柄、非常に多くの音源を耳にする必要があり、しかも短時間の間に演奏の特徴や内容を把握しなければならないため、一度にたくさんの音を拾える高音質ヘッドホンは手放せないものとなっています。今回のモニターにも大いなる期待をもって望みました。

Vraison到着直前にメインPCが不調に陥ったため、今回はセカンドマシン(セレロン1.73GHz、メモリ1GB)を使用しました。また試聴アイテムとしてリリースされたばかりのマリス・ヤンソンス指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の「マーラー:交響曲第1番《巨人》」(RCO LIVE、LC-14237、SACDハイブリッド)を使いました。演奏の優秀さとともに圧倒的高音質を誇る名ライブ録音です。

まずコントローラーを使わず直接PCの音声出力に接続して試聴。バランスがよく、また情報量も豊富でヘッドホン単体としての組成の高さを感じさせる音質。ただし性能の確かさゆえか、PC特有のノイズもすべて拾ってしまいます。

次にいよいよコントローラーを接続しての試聴。USBにコントローラーを直接繋いだところ、さらにノイズ成分が増大してしまいトホホな音質に。そこで説明書にもあるとおりHUBを経由させるとノイズは全く聴こえなくなり、いよいよ本格的試聴と相成りました。


Vraisonに付属するコントローラー
高音質化システム「Bit-Revolution」をオンにし、モードは「リッチ」、サラウンドとイコライザーはオフで最初の試聴の開始です。フォルティッシモの炸裂感、ピアニッシモの静寂感、音の立ち上がりと反応、さらに分離に至るまで、すべてコントローラー未接続の状態とは比較にならない素晴らしさです。特に印象に残ったのは高域再現の見事さで、PC音源、特に圧縮音源を聴くときに感じる高域の“寸詰まり”感が全くないばかりか、倍音成分がどこまでも伸びていくような爽快感は他に変えがたい素晴らしさ。この時点で私の心象はすでに「買い」となりました(*註1)

続いてイコライザーを「クラシック」モードにして試聴。私はナチュラルな音色が好みでトーンコントロールの類は通常使わないのですが、このドライバのイコライジングは見事の一語。先程の透明清澄な音色に加えスケール感が一挙に増し、オーケストラの再現としては理想的なものとなりました。前述のディスクのほか様々なクラシック、趣味で聴くロックなど多数試聴してみましたが、いずれも素晴らしい音質に非常に満足しました。

たいへん優秀なシステムだと思うのですが、最後に要望を一言。現在、約1週間使い続けていますが、僅かな音のザラつきを感じます。エージング不足によるものなのか、PCの非力さによるものなのか判然としないのですが(*註2)、もしPCに起因するものだとすると、望ましいシステム要件である「ペンティアムIV 2.4GHz」以上というのは(一般の音楽ファンからみると)ちょっと敷居が高いのかなと思います。ごく一般的な、ノートPC等を使用しているユーザーでもスペック的に導入しやすい仕様になればさらによいのではないでしょうか。

いずれにせよPCで音楽を聴く者にとって福音となる一機であることは間違いないと確信します。久々に音楽漬けとなりました。このような機会を与えていただいたことを、感謝申し上げます。

*註1 モニターしていただいた竹花様には、マクセル様より本製品をプレゼントさせていただきました。
*註2 音のザラつきがあるとの事例はメーカーでも報告が受けたことがないとのこと。原因は現時点で確定できておりません。

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