意欲作のCDコンポ「SMS-820BT」
新生SANSUIはなぜ“レトロデザイン”を採用する? その狙いを担当者に聞いた
■満を持して投入する意欲作
ドウシシャから3月中旬に発売された、レトロなデザインが目を引くBluetooth対応CDステレオシステム『SMS-820BT』(関連ニュース)。同製品は、BluetoothやUSB再生に対応して人気を獲得する「SMS-800BT」の後継機として登場したモデルだ。
ウーファーには『W-RPM(和紙素材2重抄紙製法)スピーカー』を採用し、1万円札にも使用される和紙素材の三椏(みつまた)を使用した表面は明るくハリのある中に艶やかさを持ち合わせた中高音を、しなやかで柔軟性の高いパルプ材を使用した裏面は豊かで迫力ある低音を実現するという。この製品について、株式会社ドウシシャ A&V関連商品部・金谷衛氏にインタビューを行った。
まず2017年に発売された前機種、SMS-800BTについて金谷氏は「レコードが人気を集めるなど、アナログ回帰の動きが随所に見受けられますが、売り場に並んでいるコンポはどれも薄型でコンパクトの製品ばかり。そこで、レトロでスクエアなスタイルを採り入れ、デザイン面から差別化を図り、商品化しました」と開発背景を説明する。
発売から半年ほどすると火が付き始めたという。「特徴的なのは、お客様が商品を選ぶ際に、どれにしようか、どっちにしようかではなく、ピンポイントでSMS-800BTを選んでいただくお客様が多かったこと。こうしたスタイルの商品が登場するのを待望されていたことを確信しました」と手応えを掴んだ。
後継機として送り出す『SMS-820BT』は、実勢価格2万円前後というSMS-800BTの値ごろ感は維持しつつ、ユーザーのニーズを汲み取り大きくブラッシュアップを果たした。5W+5Wだったアンプ出力は15W+15Wへ強化。スピーカーは7cmのフルレンジスピーカーに、さらにスーパートゥイーターを加えた2ウェイバスレフタイプに。光デジタル入力端子も新たに装備する。
「音楽をより満足して楽しんでいただくために、厚みのある低音再生を目指しました。ツマミにはアルミ削り出しを採用して質感や手触りにまでこだわり、オーディオ機器としての所有感をくすぐる仕上げになっています。各社がハイレゾ化、ネットワーク化に力を注いでいますが、お客様のニーズは必ずしもそればかりではないはず。若い人の間でも注目される “昭和” のレトロなテイストを前面に打ち出しながら、さらに音質や使い勝手、機能を究めました」と力を込める。
■関心高まる“昭和レトロ”で差別化
同時に昭和20年代〜30年代のラジオを思わせる風貌の小型Bluetoothスピーカー『MSR-1』(実勢価格6,000円前後/関連ニュース)も発表した。「背面にパッシブラジエーターを搭載しています。5.7cmフルレンジスピーカーと5W出力のデジタルアンプとが相俟って、小型の音響製品で課題として指摘される “音割れ” とは無縁の迫力ある豊かな低音を響かせるのが特長のひとつ。かなりの大音量でも楽しめますよ」と金谷氏。
昨年3月には、Bluetooth搭載ラジカセ「SCR-B2」を発売。昭和50年代〜60年代のラジカセを彷彿とさせるデザインが話題を集めた。「今、店頭のBluetoothスピーカーのコーナーには、各社から洗練されたデザインの商品がズラリと並んでいますが、そこへ、SCR-B2とMSR-1を展開していく予定です。両機種ともにデザイン面からはひときわ目を引く存在。お客様の選択肢も広がります」と存在感をアピールしていく。
昨年8月には真空管アンプとデジタルアンプを組み合わせたハイブリッド方式のCDステレオシステム『SMC-300BT』を発売。「真空管というこれもいわば “昭和のデバイス” が非常に高い関心を集めています。お客様の琴線に触れる商品にはきちんと目を向けていただけます。アナログにこだわる方向性を徹底し、差別化していきます」と今後のさらなるラインナップ強化に注目が集まる。
■手の届く価格帯に魅力ある製品を提供
オーディオ売り場に足を運ぶと、目に付くのは活気あふれるイヤホンコーナー。しかし、「オーディオ全般で捉えると売り場にももうひとつ元気がないようです。音というのはファジーで確かにわかりにくく、伝えにくいものですが、家で聴くホームオーディオの魅力がもっと認識されれば、ハイファイオーディオ復活の可能性も、もっと拡がっていくはず」と指摘する。
子供が親離れして時間とお金に余裕が生まれてくる、昭和の時代にオーディオとの深いかかわりがある50代・60代の需要喚起にも着目する。ただし、「昔とは取り巻く環境が異なる点に注意が必要です」と指摘。「数十万円する高価なものばかりでなく、奥さんからも同意を得やすい、小遣いでも手が届く範囲の数万円の価格帯も大事なポイント。そこに満足のいくものをお届けしていきたい」と訴える。
「選択肢が増えることで底辺が広がります。そうした中から目覚めてステップアップしていく人も増えていくでしょう。そうした役割を担えるブランドとして新生サンスイを浸透させていきたい」と力を込める金谷氏。ハイファイオーディオ機器が生活シーンにある世界を再び描いていくことで、「まだまだ次の世代へとつなげていくことができるはずです」と力強く語る。新生SANSUIがそこへどのような存在感を示していくのか。その活躍に期待したい。
ドウシシャから3月中旬に発売された、レトロなデザインが目を引くBluetooth対応CDステレオシステム『SMS-820BT』(関連ニュース)。同製品は、BluetoothやUSB再生に対応して人気を獲得する「SMS-800BT」の後継機として登場したモデルだ。
ウーファーには『W-RPM(和紙素材2重抄紙製法)スピーカー』を採用し、1万円札にも使用される和紙素材の三椏(みつまた)を使用した表面は明るくハリのある中に艶やかさを持ち合わせた中高音を、しなやかで柔軟性の高いパルプ材を使用した裏面は豊かで迫力ある低音を実現するという。この製品について、株式会社ドウシシャ A&V関連商品部・金谷衛氏にインタビューを行った。
まず2017年に発売された前機種、SMS-800BTについて金谷氏は「レコードが人気を集めるなど、アナログ回帰の動きが随所に見受けられますが、売り場に並んでいるコンポはどれも薄型でコンパクトの製品ばかり。そこで、レトロでスクエアなスタイルを採り入れ、デザイン面から差別化を図り、商品化しました」と開発背景を説明する。
発売から半年ほどすると火が付き始めたという。「特徴的なのは、お客様が商品を選ぶ際に、どれにしようか、どっちにしようかではなく、ピンポイントでSMS-800BTを選んでいただくお客様が多かったこと。こうしたスタイルの商品が登場するのを待望されていたことを確信しました」と手応えを掴んだ。
後継機として送り出す『SMS-820BT』は、実勢価格2万円前後というSMS-800BTの値ごろ感は維持しつつ、ユーザーのニーズを汲み取り大きくブラッシュアップを果たした。5W+5Wだったアンプ出力は15W+15Wへ強化。スピーカーは7cmのフルレンジスピーカーに、さらにスーパートゥイーターを加えた2ウェイバスレフタイプに。光デジタル入力端子も新たに装備する。
「音楽をより満足して楽しんでいただくために、厚みのある低音再生を目指しました。ツマミにはアルミ削り出しを採用して質感や手触りにまでこだわり、オーディオ機器としての所有感をくすぐる仕上げになっています。各社がハイレゾ化、ネットワーク化に力を注いでいますが、お客様のニーズは必ずしもそればかりではないはず。若い人の間でも注目される “昭和” のレトロなテイストを前面に打ち出しながら、さらに音質や使い勝手、機能を究めました」と力を込める。
■関心高まる“昭和レトロ”で差別化
同時に昭和20年代〜30年代のラジオを思わせる風貌の小型Bluetoothスピーカー『MSR-1』(実勢価格6,000円前後/関連ニュース)も発表した。「背面にパッシブラジエーターを搭載しています。5.7cmフルレンジスピーカーと5W出力のデジタルアンプとが相俟って、小型の音響製品で課題として指摘される “音割れ” とは無縁の迫力ある豊かな低音を響かせるのが特長のひとつ。かなりの大音量でも楽しめますよ」と金谷氏。
昨年3月には、Bluetooth搭載ラジカセ「SCR-B2」を発売。昭和50年代〜60年代のラジカセを彷彿とさせるデザインが話題を集めた。「今、店頭のBluetoothスピーカーのコーナーには、各社から洗練されたデザインの商品がズラリと並んでいますが、そこへ、SCR-B2とMSR-1を展開していく予定です。両機種ともにデザイン面からはひときわ目を引く存在。お客様の選択肢も広がります」と存在感をアピールしていく。
昨年8月には真空管アンプとデジタルアンプを組み合わせたハイブリッド方式のCDステレオシステム『SMC-300BT』を発売。「真空管というこれもいわば “昭和のデバイス” が非常に高い関心を集めています。お客様の琴線に触れる商品にはきちんと目を向けていただけます。アナログにこだわる方向性を徹底し、差別化していきます」と今後のさらなるラインナップ強化に注目が集まる。
■手の届く価格帯に魅力ある製品を提供
オーディオ売り場に足を運ぶと、目に付くのは活気あふれるイヤホンコーナー。しかし、「オーディオ全般で捉えると売り場にももうひとつ元気がないようです。音というのはファジーで確かにわかりにくく、伝えにくいものですが、家で聴くホームオーディオの魅力がもっと認識されれば、ハイファイオーディオ復活の可能性も、もっと拡がっていくはず」と指摘する。
子供が親離れして時間とお金に余裕が生まれてくる、昭和の時代にオーディオとの深いかかわりがある50代・60代の需要喚起にも着目する。ただし、「昔とは取り巻く環境が異なる点に注意が必要です」と指摘。「数十万円する高価なものばかりでなく、奥さんからも同意を得やすい、小遣いでも手が届く範囲の数万円の価格帯も大事なポイント。そこに満足のいくものをお届けしていきたい」と訴える。
「選択肢が増えることで底辺が広がります。そうした中から目覚めてステップアップしていく人も増えていくでしょう。そうした役割を担えるブランドとして新生サンスイを浸透させていきたい」と力を込める金谷氏。ハイファイオーディオ機器が生活シーンにある世界を再び描いていくことで、「まだまだ次の世代へとつなげていくことができるはずです」と力強く語る。新生SANSUIがそこへどのような存在感を示していくのか。その活躍に期待したい。
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