プリメインとしてブランド史上最高出力
マランツ、 “一筐体でハイエンド”の弩級プリメイン「MODEL 10」。新Class Dアンプ搭載
マランツは、新開発の「デュアルモノ・シンメトリカルClass Dパワーアンプ」を搭載した、プリメインアンプのフラグシップモデル「MODEL 10」を10月下旬に発売する。価格は2,420,000円(税込)で、カラーバリエーションはシャンパンゴールド/ブラックの2カラーを用意している。
マランツでは、ブランドが1953年に設立されてから70年を超える歴史持ち、近年は「新しいオーディオの形」を提案し続けているとアピール。今回のモデルは「マランツの理想の音」を追求した、Hi-Fiコンポーネントのフラグシップ“10シリーズ”として誕生したという。「一筐体のハイエンドアンプ」というコンセプトをもち、Class Dアンプを採用したモデルとして、音質的に妥協することなく、徹底的に高音質を追求した。
フラグシップモデルに「一筐体のハイエンドアンプ」というコンセプトを選んだことについてマランツの山氏は、「フラグシップの音を追求する過程で行きついた答えです。アナログアンプでは、音質とサイズは比例しており、物量を投入していくことでリニアに音質が向上していくという考えから、プリメインアンプとセパレートアンプは上位互換の関係であるが、プリメインアンプだけが持つ利点として“圧倒的な設計の自由度”がある」と解説した。
MODEL 10には、デンマークに拠点を置く「PURIFI」との共同開発によって誕生した、独自設計の「デュアルモノ・シンメトリカルClass Dパワーアンプ」を搭載。パワーアンプからスイッチング電源回路(SMPS)の基板設計や高音質パーツの選定まで全て新規で行い、自社の白河工場で作り上げることで、独自のサウンドチューニングを実現している。
マランツは、10年間に渡ってClass Dパワーアンプを開発し続けてきた経緯がある。当初は、プリメインアンプ「PM-10」などにHypex製スイッチングアンプモジュールを搭載し、つまり既存パーツを投入してきた。次に既存のパーツを基にして、そこにマランツブランドとしてカスタマイズすることで音質を洗練させていった。
今回はさらに一歩進み、「マランツのアンプを開発してほしい」とPURIFI社に提案を行い、開発協力を募ったという。マランツとしては、Class Dパワーアンプの開発から10年の中で、最も先進的な開発方法が実現し、同社が理想とするClass Dパワーアンプを開発することができたとのこと。
マランツの尾形氏は、「PURIFI社のBruno Putzeys氏は、Philips社、Hypex社に在籍していた、スイッチングアンプの開発に長年携わっている。Bruno氏がPhilips社にいた頃からマランツブランドの製品で導入されているスイッチングアンプを開発しており、同社で採用されているスイッチングアンプのノウハウを熟知しているエンジニアだからこそ音質を追い込むことができた」という。
パワーアンプ回路は完全バランス回路のBTL接続で構成されており、マランツのプリメインアンプ史上で最高となる500W+500W(4Ω)/250W×2(8Ω)の出力を成し得ている。電源回路も完全独立の2つのモノラル・パワーアンプによるデュアル構成にすることで、セパレートアンプに匹敵する低歪みとチャンネルセパレーションを叶えている。
可聴帯域における周波数特性もフラットな特性を実現しており、接続するスピーカーの負荷インピーダンスに影響されることがなく、優れたサウンドを再生できるとのこと。これに対し、「PM-10の仕様では『400W(4Ω、1kHz)』という定格出力の表記部分に『1kHz』の時だけという条件での出力値になっているが、アナログアンプの仕様表記では通常『20Hz - 20kHz』という可聴帯域で保証する表示になっている。スイッチングアンプでも保証できるよう、電源部をはじめとする様々な要素をクリアすることで、MODEL 10では『500W(4Ω、20Hz - 20kHz)』の表記を実現できた」と尾形氏は語ってくれた。
スイッチングアンプの入力直前に接続されている電圧増幅アンプには、電流帰還型を採用している。高性能なスイッチングアンプの性能を活用するためには、低ノイズ/低歪み/高スルーレート/低出力インピーダンスにおいて、ハイレベルな処理能力が必要となるため、MODEL 10では最新型「HDAM-SA3」が‘投入されている。従来と回路構成は同一だが、低ノイズ/低歪みのトランジスタを使用している。
MODEL 10では、超広域に至るまで優れたチャンネルセパレーション、音の実存感、広大かつ安定した空間表現を成し得るため、フルバランス構成を導入。最新型の「HDAM(Hyper Dynamic Amplifier Module)」と「HDAM-SA3」による電圧帰還形アンプ回路、高性能なステレオボリュームコントロールICによって構成された、デジタル制御の可変ゲインアンプによってボリュームを高精度に調節する「リニアコントロール・ボリューム」が投入されており、-13dB以下の音量の範囲内ではパワーアンプのみで増幅する可変ゲイン型とすることで、ノイズを大幅に低減する。
L/Rの各々に“MUSEシリーズ”の最高グレード・ボリュームコントロールIC「MUSES72323」を用いたバランス構成を投入。チャンネルセパレーション、S/N比を向上させるだけでなく、可変抵抗体を使用しないことでボリュームパーツの経年劣化に伴う音質の変化をなくすことができている。そしてDCサーボの採用で、信号経路のカップリングコンデンサーを不要とした、損失の少ない信号伝送を可能にしている。
入力にJFETカスコードデバイスを追加することで、低歪み化を実践した最新型「HDAM」を搭載する。2in1パッケージのトランジスタによって、動作の安定性も高めている。RCA端子からの入力信号を変換する「アンバランス - バランス変換回路」にも最新型「HDAM」と「HDAM-SA3」を用いた電圧帰還型回路によって、音質変化も最小化している。
電源回路にも独立したプリアンプ専用電源回路と、2つのパワーアンプ用スイッチング電源回路を搭載する。回路間をはじめ、左右チャンネル間の相互干渉を排除し、セパレートアンプレベルの低歪みとチャンネルセパレーションを実現した。
プリアンプ用のアナログ電源回路には、専用の銅メッキシールドケースを備えたトロイダルトランスを導入し、サウンドマスターと音質担当エンジニアがサプライヤーと共同開発した専用カスタム・ブロックコンデンサーや、ハイスピードな電源供給を可能にするショットキーバリアダイオードも投入されている。
Class Dパワーアンプ回路同様に自社設計による完全オリジナルのSMPSを、パワーアンプ用のスイッチング電源回路にも搭載。基板上のレイアウト、個々のパーツの選定、放熱設計に至るまで独自開発したことで、理想的な電源回路の開発に繋がった。大電流を伝送する純銅製のバスバーや厳選カスタムパーツ、高音質パーツも多数使用している。
トップカバーには、新たに「Waved Top Mesh」と呼ばれる、非磁性体のステンレス製のメッシュ構造を採用している。音楽の旋律とリズムを表現する意匠的な美しさを持ち合わせながら、従来のアルミニウムトップカバーよりも大きな開口面積を備えることで、高い放熱性、そして解放感に優れた空間表現を可能にしているという。
フロントパネルには最大45mm厚の切削加工のアルミニウム素材を使用し、振動による音質への悪影響を低減。またサイドカバーには15.8mm厚のアルミニウム製を用いて、正面から側面までネジが見えないようなデザインを施す。
メインシャーシには1.2mm厚の銅メッキ鋼板を導入し、プリアンプ/パワーアンプ/電源回路を各専用のスペースに隔離することで、回路間の干渉を排除している。そして3.2mmと1.2mmのボトムプレートを追加した3層構造にすることで高剛性を高め、最大直径94mmのインシュレーターにはアルミニウムの無垢材と4mm厚銅板を組み合わせたハイブリッド型の脚によって、さらに剛性を向上させている。
筐体内にLEDイルミネーションを配置しており、筐体内部の設計、レイアウトされたトロイダルトランスや回路基板、高品位パーツを美しく浮かび上がらせることができる。
RCA端子には純銅削り出しのピンジャックとスピーカーターミナル(SPKT-100+)を採用する。純銅削り出しは、一般的な真鍮を比較して柔らかく、機械加工が難しいため、熟練工が純銅のブロックからひとつひとつ手作業で切削加工して生産している。銅は高い電気導電性を持つため、力強さと安定感のある再生音を可能とする。表面処理は厚みのある1層のニッケルメッキを採用する。
「Marantz Musical Premium Phono EQ」は、MM型/MC型のカートリッジに対応しており、ゲイン20dBのMCヘッドアンプと40dB「HDAM」+「HDAM-SA3」の無帰還型フォノイコライザーアンプの2段構成にすることで、1段当たりのゲインを抑えた低歪み化を実現している。
フォノイコライザー基板は、1.2mmのボトムケースと銅色にアルマイト処理が施されたアルミニウム製のトップカバーでシールドされており、外来のノイズによる音声信号への影響を排除している。
全てディスクリート回路とし、カップリングコンデンサーを使用せずJFET入力とDCサーボ回路とすることで、音声信号の純度を損なうことなく増幅が可能。MCカートリッジは、MC LOW(33Ω)/MID(100Ω)/HIGH(390Ω)のインピーダンスに合わせて切り替えできる機能を搭載する。
ヘッドホン出力専用に電流帰還型のフルディスクリート・ヘッドホンアンプを採用しており、「HDAM-SA3」とダイヤモンドバッファーを組み合わせた回路構成を導入している。オペアンプを使用しないフルディスクリート構成であるため、きめ細かな音質チューニングを行っているという。
同社は、理想のサウンドを徹底的に追い求めた形のひとつとして、L/R完全独立駆動による究極のチャンネルセパレーションのシステムとして「Complete Bi-Amplifier Drive System」を提案する。本システムでは、MODEL 10を2台用いることで、プレーヤーからのL/R信号を、それぞれ1台ずつMODEL 10もプリアンプ部(High+Low)に接続。L/Rのスピーカーに信号を送る際もバイアンプ接続(High+Low)を用いることで、徹底的にL/R信号をセパレーションさせた接続を実現させている。
「Complete Bi-Amplifier Drive System」では、最大4台(8チャンネル)までMODEL 10のボリュームを連動させることができるF.C.B.S.機能を備えており、複数のMODEL 10を使ったバイアンプドライブやマルチアンプドライブ、そしてサラウンドシステムの構築など、用途に応じて柔軟にシステムの拡張が可能。
主な入出力端子は、XLR音声入力×1(バランス)、RCA音声入力×1(アンバランス)、PHONO入力×1(MM/MC)、パワーアンプ入力×1(バランス)、パワーアンプ入力×1(アンバランス)、XLR音声出力×1(バランス)、RCA音声出力×1(アンバランス)、レコーダー出力×1(アンバランス)を搭載。
MODEL 10の仕様は、定格出力が500W+500W(4Ω・20Hz - 20kHz)/250W+250W(8Ω・20Hz - 20kHz)、歪み率が0.005%(20Hz - 20kHz)、周波数抑制が5Hz – 60kHz(+0dB/-3dB)/20Hz - 20kHz(+0dB/-0.3 dB)、S/N比が122dB(バランス)/122dB(アンバランス)/76dB(PHONO・MC)/88dB(PHONO・MM)、消費電力が270W(待機時0.1W)、外形寸法が440W×192H×473Dmm、質量が33.7kg。
マランツでは、ブランドが1953年に設立されてから70年を超える歴史持ち、近年は「新しいオーディオの形」を提案し続けているとアピール。今回のモデルは「マランツの理想の音」を追求した、Hi-Fiコンポーネントのフラグシップ“10シリーズ”として誕生したという。「一筐体のハイエンドアンプ」というコンセプトをもち、Class Dアンプを採用したモデルとして、音質的に妥協することなく、徹底的に高音質を追求した。
フラグシップモデルに「一筐体のハイエンドアンプ」というコンセプトを選んだことについてマランツの山氏は、「フラグシップの音を追求する過程で行きついた答えです。アナログアンプでは、音質とサイズは比例しており、物量を投入していくことでリニアに音質が向上していくという考えから、プリメインアンプとセパレートアンプは上位互換の関係であるが、プリメインアンプだけが持つ利点として“圧倒的な設計の自由度”がある」と解説した。
MODEL 10には、デンマークに拠点を置く「PURIFI」との共同開発によって誕生した、独自設計の「デュアルモノ・シンメトリカルClass Dパワーアンプ」を搭載。パワーアンプからスイッチング電源回路(SMPS)の基板設計や高音質パーツの選定まで全て新規で行い、自社の白河工場で作り上げることで、独自のサウンドチューニングを実現している。
マランツは、10年間に渡ってClass Dパワーアンプを開発し続けてきた経緯がある。当初は、プリメインアンプ「PM-10」などにHypex製スイッチングアンプモジュールを搭載し、つまり既存パーツを投入してきた。次に既存のパーツを基にして、そこにマランツブランドとしてカスタマイズすることで音質を洗練させていった。
今回はさらに一歩進み、「マランツのアンプを開発してほしい」とPURIFI社に提案を行い、開発協力を募ったという。マランツとしては、Class Dパワーアンプの開発から10年の中で、最も先進的な開発方法が実現し、同社が理想とするClass Dパワーアンプを開発することができたとのこと。
マランツの尾形氏は、「PURIFI社のBruno Putzeys氏は、Philips社、Hypex社に在籍していた、スイッチングアンプの開発に長年携わっている。Bruno氏がPhilips社にいた頃からマランツブランドの製品で導入されているスイッチングアンプを開発しており、同社で採用されているスイッチングアンプのノウハウを熟知しているエンジニアだからこそ音質を追い込むことができた」という。
パワーアンプ回路は完全バランス回路のBTL接続で構成されており、マランツのプリメインアンプ史上で最高となる500W+500W(4Ω)/250W×2(8Ω)の出力を成し得ている。電源回路も完全独立の2つのモノラル・パワーアンプによるデュアル構成にすることで、セパレートアンプに匹敵する低歪みとチャンネルセパレーションを叶えている。
可聴帯域における周波数特性もフラットな特性を実現しており、接続するスピーカーの負荷インピーダンスに影響されることがなく、優れたサウンドを再生できるとのこと。これに対し、「PM-10の仕様では『400W(4Ω、1kHz)』という定格出力の表記部分に『1kHz』の時だけという条件での出力値になっているが、アナログアンプの仕様表記では通常『20Hz - 20kHz』という可聴帯域で保証する表示になっている。スイッチングアンプでも保証できるよう、電源部をはじめとする様々な要素をクリアすることで、MODEL 10では『500W(4Ω、20Hz - 20kHz)』の表記を実現できた」と尾形氏は語ってくれた。
スイッチングアンプの入力直前に接続されている電圧増幅アンプには、電流帰還型を採用している。高性能なスイッチングアンプの性能を活用するためには、低ノイズ/低歪み/高スルーレート/低出力インピーダンスにおいて、ハイレベルな処理能力が必要となるため、MODEL 10では最新型「HDAM-SA3」が‘投入されている。従来と回路構成は同一だが、低ノイズ/低歪みのトランジスタを使用している。
MODEL 10では、超広域に至るまで優れたチャンネルセパレーション、音の実存感、広大かつ安定した空間表現を成し得るため、フルバランス構成を導入。最新型の「HDAM(Hyper Dynamic Amplifier Module)」と「HDAM-SA3」による電圧帰還形アンプ回路、高性能なステレオボリュームコントロールICによって構成された、デジタル制御の可変ゲインアンプによってボリュームを高精度に調節する「リニアコントロール・ボリューム」が投入されており、-13dB以下の音量の範囲内ではパワーアンプのみで増幅する可変ゲイン型とすることで、ノイズを大幅に低減する。
L/Rの各々に“MUSEシリーズ”の最高グレード・ボリュームコントロールIC「MUSES72323」を用いたバランス構成を投入。チャンネルセパレーション、S/N比を向上させるだけでなく、可変抵抗体を使用しないことでボリュームパーツの経年劣化に伴う音質の変化をなくすことができている。そしてDCサーボの採用で、信号経路のカップリングコンデンサーを不要とした、損失の少ない信号伝送を可能にしている。
入力にJFETカスコードデバイスを追加することで、低歪み化を実践した最新型「HDAM」を搭載する。2in1パッケージのトランジスタによって、動作の安定性も高めている。RCA端子からの入力信号を変換する「アンバランス - バランス変換回路」にも最新型「HDAM」と「HDAM-SA3」を用いた電圧帰還型回路によって、音質変化も最小化している。
電源回路にも独立したプリアンプ専用電源回路と、2つのパワーアンプ用スイッチング電源回路を搭載する。回路間をはじめ、左右チャンネル間の相互干渉を排除し、セパレートアンプレベルの低歪みとチャンネルセパレーションを実現した。
プリアンプ用のアナログ電源回路には、専用の銅メッキシールドケースを備えたトロイダルトランスを導入し、サウンドマスターと音質担当エンジニアがサプライヤーと共同開発した専用カスタム・ブロックコンデンサーや、ハイスピードな電源供給を可能にするショットキーバリアダイオードも投入されている。
Class Dパワーアンプ回路同様に自社設計による完全オリジナルのSMPSを、パワーアンプ用のスイッチング電源回路にも搭載。基板上のレイアウト、個々のパーツの選定、放熱設計に至るまで独自開発したことで、理想的な電源回路の開発に繋がった。大電流を伝送する純銅製のバスバーや厳選カスタムパーツ、高音質パーツも多数使用している。
トップカバーには、新たに「Waved Top Mesh」と呼ばれる、非磁性体のステンレス製のメッシュ構造を採用している。音楽の旋律とリズムを表現する意匠的な美しさを持ち合わせながら、従来のアルミニウムトップカバーよりも大きな開口面積を備えることで、高い放熱性、そして解放感に優れた空間表現を可能にしているという。
フロントパネルには最大45mm厚の切削加工のアルミニウム素材を使用し、振動による音質への悪影響を低減。またサイドカバーには15.8mm厚のアルミニウム製を用いて、正面から側面までネジが見えないようなデザインを施す。
メインシャーシには1.2mm厚の銅メッキ鋼板を導入し、プリアンプ/パワーアンプ/電源回路を各専用のスペースに隔離することで、回路間の干渉を排除している。そして3.2mmと1.2mmのボトムプレートを追加した3層構造にすることで高剛性を高め、最大直径94mmのインシュレーターにはアルミニウムの無垢材と4mm厚銅板を組み合わせたハイブリッド型の脚によって、さらに剛性を向上させている。
筐体内にLEDイルミネーションを配置しており、筐体内部の設計、レイアウトされたトロイダルトランスや回路基板、高品位パーツを美しく浮かび上がらせることができる。
RCA端子には純銅削り出しのピンジャックとスピーカーターミナル(SPKT-100+)を採用する。純銅削り出しは、一般的な真鍮を比較して柔らかく、機械加工が難しいため、熟練工が純銅のブロックからひとつひとつ手作業で切削加工して生産している。銅は高い電気導電性を持つため、力強さと安定感のある再生音を可能とする。表面処理は厚みのある1層のニッケルメッキを採用する。
「Marantz Musical Premium Phono EQ」は、MM型/MC型のカートリッジに対応しており、ゲイン20dBのMCヘッドアンプと40dB「HDAM」+「HDAM-SA3」の無帰還型フォノイコライザーアンプの2段構成にすることで、1段当たりのゲインを抑えた低歪み化を実現している。
フォノイコライザー基板は、1.2mmのボトムケースと銅色にアルマイト処理が施されたアルミニウム製のトップカバーでシールドされており、外来のノイズによる音声信号への影響を排除している。
全てディスクリート回路とし、カップリングコンデンサーを使用せずJFET入力とDCサーボ回路とすることで、音声信号の純度を損なうことなく増幅が可能。MCカートリッジは、MC LOW(33Ω)/MID(100Ω)/HIGH(390Ω)のインピーダンスに合わせて切り替えできる機能を搭載する。
ヘッドホン出力専用に電流帰還型のフルディスクリート・ヘッドホンアンプを採用しており、「HDAM-SA3」とダイヤモンドバッファーを組み合わせた回路構成を導入している。オペアンプを使用しないフルディスクリート構成であるため、きめ細かな音質チューニングを行っているという。
同社は、理想のサウンドを徹底的に追い求めた形のひとつとして、L/R完全独立駆動による究極のチャンネルセパレーションのシステムとして「Complete Bi-Amplifier Drive System」を提案する。本システムでは、MODEL 10を2台用いることで、プレーヤーからのL/R信号を、それぞれ1台ずつMODEL 10もプリアンプ部(High+Low)に接続。L/Rのスピーカーに信号を送る際もバイアンプ接続(High+Low)を用いることで、徹底的にL/R信号をセパレーションさせた接続を実現させている。
「Complete Bi-Amplifier Drive System」では、最大4台(8チャンネル)までMODEL 10のボリュームを連動させることができるF.C.B.S.機能を備えており、複数のMODEL 10を使ったバイアンプドライブやマルチアンプドライブ、そしてサラウンドシステムの構築など、用途に応じて柔軟にシステムの拡張が可能。
主な入出力端子は、XLR音声入力×1(バランス)、RCA音声入力×1(アンバランス)、PHONO入力×1(MM/MC)、パワーアンプ入力×1(バランス)、パワーアンプ入力×1(アンバランス)、XLR音声出力×1(バランス)、RCA音声出力×1(アンバランス)、レコーダー出力×1(アンバランス)を搭載。
MODEL 10の仕様は、定格出力が500W+500W(4Ω・20Hz - 20kHz)/250W+250W(8Ω・20Hz - 20kHz)、歪み率が0.005%(20Hz - 20kHz)、周波数抑制が5Hz – 60kHz(+0dB/-3dB)/20Hz - 20kHz(+0dB/-0.3 dB)、S/N比が122dB(バランス)/122dB(アンバランス)/76dB(PHONO・MC)/88dB(PHONO・MM)、消費電力が270W(待機時0.1W)、外形寸法が440W×192H×473Dmm、質量が33.7kg。
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