増田和夫の“Wooo”「DV-DH1000W」連続レポート(4)便利な使いこなしテクニック
直感的に操作できるチャプター編集機能を装備
まず編集機能を見てみよう。アナログ放送だけでなく、TSモードで録ったデジタル放送の映像もチャプター編集が可能だ。チャプターマークの打ち込みは、編集画面で行えるほか、番組の通常再生中にもリモコンのマーカーボタンで打ち込める。また、TSモード以外の録画ではプレイリスト編集もできる。
さらに、日立の伝統ワザである「とばし観」機能をオンにすれば、本編以外のシーンを自動的にチャプター分けすることも可能だ。本機能はレコーダー1の録画、地上アナログ&デジタル放送で有効になる。判別率は90%前後と高く、本編ステレオの番組にも対応できるので、実用性が高い。不要なチャプターはスキップ再生の指定ができ、この状態でDVDにムーブすれば手軽にシーンカットしてDVD保存が可能だ。
チャプター編集画面は、判りやすいオーソドックスな構成で、サムネイルやタイムバー表示が付いていて、直感的に操作できる。編集精度はGOP単位になるが、これはストリーム録画の特性上、致し方ない部分だろう。チャプター編集に非対応のデジタル機が多いことを考えると編集性能は高いといえそうだ。
このほか「番組分割」と、不要なシーンをまとめて部分消去できる「一括部分消去」も可能だ。前モデルDV-DH161Tから採用された部分消去画面による、一括シーン指定&一括部分消去が可能で、このGUIも理解しやすい。
タイトルの削除にはゴミ箱機能がつき、削除取り消しが可能になった。また、前回説明した「ワケ録」機能を使うと、グループ単位のタイトル一括削除も可能で、もう見ない連続ドラマなどを手軽かつ安全にまとめて削除できる。
DVDへのダビング時にも「ワケ録」は重宝する
次にDVDへのダビング機能を見てみよう。通常のダビングは、ディスクナビゲーションの全録画一覧からDVDに保存したいタイトルを選んでダビングリストを作る、という手順になる。ダビングのGUIもサムネイル表示つきのわかりやすい構成だ。とはいえ、録画が増えてくると、雑多な番組からダビングしたいタイトルだけを選ぶのが手間になってくる。そんな時にも重宝するのがワケ録機能だ。ワケ録画面では、タイトルを番組別、ジャンル別などに自動グループ分けでき、グループ内からダビングできるので、タイトルを選ぶ手間を省けるのである。
例えば、月曜9時のドラマだけをDVDに保存したい時は、ワケ録の月曜9時ドラマ名のグループに入ってサブメニューで「ダビング」を選べば、月曜9時ドラマのみがダビングリストに表示される仕組みだ。
HDMIやD端子でのアップスケーリング出力はぜひ使いこなしたい
本機は、HDMI端子を装備し、ケーブル一本で対応TVにデジタルAV接続が可能だ。DACやアナログ回路をバイパスしたハイビジョン本来の高画質再生が楽しめる。また、HDMIを使えば、市販のDVDビデオもD3などにアップスケーリングして出力できる。裏ワザ的な使いこなしとして、初期設定でD端子出力を1125i固定にすれば、DVD-RAMなどCPRMメディアにVR録画したデジタル放送番組を、D3にアップスケーリングしてD端子にアナログ出力も可能だ。
デジタル放送チューナーの画質は、同社のハイビジョンテレビ8000シリーズをリファレンスにしている。高輝度な同テレビの特性に合わせ、シャドウ部の締まったシネマ向きの絵作りをしている。TSモードの再生画質も、ほぼ同じ傾向といえるだろう。ダウンコンバート録画では、LPモードがフルD1に高解像度化され、前モデルのLPモードと較べると、明らかに精細感のある画質に進化している。
日立グループの総合力を結集したモデル
最後に総評を記しておこう。DVDレコーダーは、アナログ放送からデジタル放送対応への過渡期にあるため、機能を無難にまとめたモデルも多く見られる。そんな状況の中で、あえて世界初に挑み、1TBのHDDやデジタル同時録画など、他の追従を許さないブレイクスルーを実現した本機は、野心に溢れたレコーダーといえるだろう。日立グループの総合力をデジタルレコーダーに結集し、アナログ機を飛び越えて一気にトップに躍り出る、という同社の戦略が本機に結実しているのだ。ハイビジョン録りにこだわった最高峰のスペックは、録画機としての明快な魅力に溢れている。さらに、コストパフォーマンスの高さも見逃せない。年末年始のハイビジョン番組を存分にストリーム録画したいなら、本機の先進性を選ぶ価値は十分にあると思う。
(増田和夫)
バックナンバー
第1回:録画のパラダイムを変える製品
第2回:ハードウェアの内部構造を見る
第3回:デジデジ2個録りなどソフトウェアをチェック
増田和夫 プロフィール
パソコン&ネット歴十数年のベテランPC使い。PC雑誌やデジタル映像関係のメディアで活躍中。デジカメにも精通し、写真誌にスチル作品を発表するフォトグラファーでもある。 AV歴も長く、VTRは黎明期からβ・VHS共に熱中した大の録画機ファン。自宅ロフトでプロジェクターを楽しむ映画ファンでもある。DVDなどの記録媒体の記事にも強い。取材は現場主義で、ジャーナリスティックなインタビュー記事も得意としている。