ブラビア“第二幕”開演 − ソニー井原氏が語る大型化戦略
別項でお伝えしたとおり、ソニーはBRAVIA(ブラビア)新製品を多数発表した。本項では、本日同社が行った記者発表会の内容をお伝えする。
初めに登壇しテレビ事業の戦略について語ったのはソニー(株)取締役 代表執行役 副社長でテレビ・ビデオ事業本部 事業本部長の井原勝美氏。「昨年まで苦戦していたテレビ事業は、この1年、ブラビアを足掛かりに巻き返してきた。今では世界的に認知されるようになっている」と話し始めた。ブラビアは“強いモノづくり”を目指し、競争力の強化、供給力の確保、設計体制の変革というテーマの元に開発を進めてきたという。現行モデルのVシリーズに関して同氏は「デザイン性の高いブラックの筐体が高く評価されている。各メーカーから同様のデザインのモデルが出ているが、Vシリーズが先鞭を付けたと言える」と自信を見せた。
ブラビア発売以降、ソニーの液晶テレビのシェアは大きく伸び、2005年度第3四半期には20%(世界・金額ベース)に迫った。同氏は「ソニーのテレビ事業が復活したとまでは言えないが、復活の入り口に立った」と説明。また液晶テレビの一台あたりの平均単価が14.1万円まで下がってきているのに対し、同社の平均単価は19.4万円であると紹介し、「大型化を進めることで単価を上げ、価格下落を防いでいる」と語った。そして「ブラビア“第二幕”を開演する」と語り、この秋の新製品ラインナップを紹介した。
新ラインナップのキャッチコピーは“感動には色がある。”で、色の美しさを前面に押しだし訴求を図っていく。同社では初めての50インチ台の液晶テレビやSXRD方式のリアプロジェクションテレビなど、更なる大画面化を果たしたのが特徴の一つで、井原氏は年末までの目標として「全世界での40インチ超モデルの比率を50%(金額ベース)まで拡大する」と明言した。また新ラインナップに関して、大型モデルのフルHDパネル採用、全モデル「ライブカラークリエーション」搭載、X/Aシリーズ「ブラビアエンジンプロ」搭載などが特長であると説明した。リアプロジェクションテレビに関しては、「アメリカで成功を収めており、国内でもSXRDでもう一度チャレンジしたい」と語った。
最後に同氏は「新モデルは年末までに全世界展開することになる。今回の新モデルによりソニーのテレビ事業の復活感を出していきたい」と語り、年末商戦に向けた意気込みを明らかにした。
“第二幕”のマーケティングについて説明を行ったのはソニーマーケティング(株)取締役 執行役員常務の鹿野清氏。「2005年に10月にベガがブラビアに代わり、ブランドが定着してきた」と語り、第二幕は、地デジの普及や各種コンテンツのHD化により需要が高まると説明した。また、テレビの買い換え需要となる8年周期の時期が来ており、ブラウン管テレビからの買い換えが進むだろうと予想した。さらに、ユーザーのテレビに対する要望として「デザイン性の高さ」も多いことを紹介し、Xシリーズにカラーバリエーションを設けたことなどを紹介した。
以下に、発表会で行われた質疑応答の内容を掲載する。
Q.各社とも在庫をかかえていると聞くが、どんな影響があるか?
A.欧州のW杯商戦に期待しておりかなりの商品を準備をしていた。弊社の在庫レベルで大きな問題だと思っていないが、想定していたよりはちょっと多いという状況。今は年末商戦に向けた仕込みの時期なので、現在の在庫レベルはマイナス要因にはならない。
Q.今年の年末商戦ではシャープの亀山第2工場のモデルが出てくるが、この影響はあるか?
A.他社のことを言うつもりはあまりないが、国内ではシャープは依然強い。しかし、この年末は50インチ台が急速に拡大するとは思っていないので、とくに意識していない。
Q.パネルの外部調達に関する考え方に何か変化はあったか?
A.現在、サムソンとのジョイントベンチャーからの供給では全てまかなえないので、ある一定量の外部調達も進めている。
Q.欧州でユーロが市場最高値で推移しているが、その影響は?
A.テレビのみならず他のエレクトロニクス事業も追い風となっている。テレビ事業について具体的にどんな効果があるのかは、まだ発言を控えたい。
Q.北米での戦略は今後も40インチ以上中心でいくのか?
A.液晶は現在52インチまでの商品を展開しており、特に「XBRシリーズ(国内のXシリーズ)」が非常に高い評価を得ている。またリアプロに関してもSXRDが高い評価をもらっており、現在も伸びを見せている。今後も液晶、リアプロでより大型化を図っていく。
Q.1台あたりの平均単価が19.4万円とのことだが、来年の今頃はどれくらいが望ましいと考えているか?
A.現在のトレンドは「一層の大型化」に尽きる。なるべく付加価値の高いものを展開し、単価をキープしていきたいと考えている。
Q.「xvYCC」表示を行うには、対応するコンテンツや対応機器が必要になるが、これらの導入は?
A.具体的には言えないが、HDMI1.3などを含め、導入を図っていきたい。
Q.今年パネル工場が急速に増えたことでパネルが余り、価格下落の心配はないのか?
A.テレビだけでなくPCの市場の関係もあるが、どんどん下落している。安いパネルで安い製品をつくるという傾向があるが、テレビは10年近く使用するものなので、ユーザーは安心して購入できるブランド、信頼できる技術を見て選択してくれると思う。
(Phile-web編集部)
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ブラビア発売以降、ソニーの液晶テレビのシェアは大きく伸び、2005年度第3四半期には20%(世界・金額ベース)に迫った。同氏は「ソニーのテレビ事業が復活したとまでは言えないが、復活の入り口に立った」と説明。また液晶テレビの一台あたりの平均単価が14.1万円まで下がってきているのに対し、同社の平均単価は19.4万円であると紹介し、「大型化を進めることで単価を上げ、価格下落を防いでいる」と語った。そして「ブラビア“第二幕”を開演する」と語り、この秋の新製品ラインナップを紹介した。
新ラインナップのキャッチコピーは“感動には色がある。”で、色の美しさを前面に押しだし訴求を図っていく。同社では初めての50インチ台の液晶テレビやSXRD方式のリアプロジェクションテレビなど、更なる大画面化を果たしたのが特徴の一つで、井原氏は年末までの目標として「全世界での40インチ超モデルの比率を50%(金額ベース)まで拡大する」と明言した。また新ラインナップに関して、大型モデルのフルHDパネル採用、全モデル「ライブカラークリエーション」搭載、X/Aシリーズ「ブラビアエンジンプロ」搭載などが特長であると説明した。リアプロジェクションテレビに関しては、「アメリカで成功を収めており、国内でもSXRDでもう一度チャレンジしたい」と語った。
最後に同氏は「新モデルは年末までに全世界展開することになる。今回の新モデルによりソニーのテレビ事業の復活感を出していきたい」と語り、年末商戦に向けた意気込みを明らかにした。
“第二幕”のマーケティングについて説明を行ったのはソニーマーケティング(株)取締役 執行役員常務の鹿野清氏。「2005年に10月にベガがブラビアに代わり、ブランドが定着してきた」と語り、第二幕は、地デジの普及や各種コンテンツのHD化により需要が高まると説明した。また、テレビの買い換え需要となる8年周期の時期が来ており、ブラウン管テレビからの買い換えが進むだろうと予想した。さらに、ユーザーのテレビに対する要望として「デザイン性の高さ」も多いことを紹介し、Xシリーズにカラーバリエーションを設けたことなどを紹介した。
以下に、発表会で行われた質疑応答の内容を掲載する。
Q.各社とも在庫をかかえていると聞くが、どんな影響があるか?
A.欧州のW杯商戦に期待しておりかなりの商品を準備をしていた。弊社の在庫レベルで大きな問題だと思っていないが、想定していたよりはちょっと多いという状況。今は年末商戦に向けた仕込みの時期なので、現在の在庫レベルはマイナス要因にはならない。
Q.今年の年末商戦ではシャープの亀山第2工場のモデルが出てくるが、この影響はあるか?
A.他社のことを言うつもりはあまりないが、国内ではシャープは依然強い。しかし、この年末は50インチ台が急速に拡大するとは思っていないので、とくに意識していない。
Q.パネルの外部調達に関する考え方に何か変化はあったか?
A.現在、サムソンとのジョイントベンチャーからの供給では全てまかなえないので、ある一定量の外部調達も進めている。
Q.欧州でユーロが市場最高値で推移しているが、その影響は?
A.テレビのみならず他のエレクトロニクス事業も追い風となっている。テレビ事業について具体的にどんな効果があるのかは、まだ発言を控えたい。
Q.北米での戦略は今後も40インチ以上中心でいくのか?
A.液晶は現在52インチまでの商品を展開しており、特に「XBRシリーズ(国内のXシリーズ)」が非常に高い評価を得ている。またリアプロに関してもSXRDが高い評価をもらっており、現在も伸びを見せている。今後も液晶、リアプロでより大型化を図っていく。
Q.1台あたりの平均単価が19.4万円とのことだが、来年の今頃はどれくらいが望ましいと考えているか?
A.現在のトレンドは「一層の大型化」に尽きる。なるべく付加価値の高いものを展開し、単価をキープしていきたいと考えている。
Q.「xvYCC」表示を行うには、対応するコンテンツや対応機器が必要になるが、これらの導入は?
A.具体的には言えないが、HDMI1.3などを含め、導入を図っていきたい。
Q.今年パネル工場が急速に増えたことでパネルが余り、価格下落の心配はないのか?
A.テレビだけでなくPCの市場の関係もあるが、どんどん下落している。安いパネルで安い製品をつくるという傾向があるが、テレビは10年近く使用するものなので、ユーザーは安心して購入できるブランド、信頼できる技術を見て選択してくれると思う。
(Phile-web編集部)
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