プラネタリウム×ボーズQC2 ― 無音が表現する「この地球(ほし)の鼓動」を感じた
日本科学未来館では、1月20日から2月5日まで、「MEGASTAR-II cosmos」とBOSEの「Quiet Comfort2」を使用した特別プログラム「この地球(ほし)の鼓動」を上映しています。開催に先立って1月19日に行われたプレス試写会に行って来ました。
日本の南極地域観察の歴史は、1956年11月8日、第1次南極観測隊を乗せた観測船「宗谷」が晴海埠頭を出航し、翌1957年1月29日に昭和基地を開設したところから始まりました。今年2007年は、観測が始まってから50周年という節目の年にあたります。
「この地球(ほし)の鼓動」はこれを記念して作成されたものです。脚本とプロデュースを放送作家の小山薫堂氏が手がけ、プラネタリウムクリエイターの大平貴之氏が演出。松任谷由実さんがナレーションを担当しています。
小山氏はこの作品のコンセプトを「音の表現」と語りました。広大な氷の大地である南極には音がない、という話を聞いたことがきっかけで、「音にこだわった『聴かせる』プラネタリウム」を考えついたということです。
小山氏は更に、「音だけでなく無音も豊かに表現できるものとして、ボーズのノイズキャンセリングヘッドホンが思い浮かび、これを使用したプログラムを思いついた」と話しました。同席した国立極地研究所 副所長の福地光男氏も「私は何度か南極に行ったことがあるが、耳がキンとする南極の静けさがよく再現されている」と語っていました。
上映が行われる「ドームシアターガイア」には、全座席に「QC2」が備え付けられています。
ヘッドホンを装着して視聴するスタイルには2つの利点があるように感じました。ひとつは周りの雑音に気を散らされることがない点です。静かでいい場面なのに、隣の人が立てる物音が気になって上映作品に入り込めない…というのはよくあること。本プログラムでは「QC2」を各々が装着しているため雑音が気にならず、心ゆくまで作品に入り込むことができます。
もうひとつは、座席のポジショニングに関わらず、広がりと立体感のある理想的な音場を楽しめる点。左の耳元でユーミンが囁いたと思ったら、驚くほど広い音場がシアター中に満ちていき、音と風景に包み込まれるような感覚に陥る…などというコントラストが鮮やかに感じられました。
しかしなによりも特筆すべきなのは無音の表現でしょう。空気の張りつめる圧力を感じる緊張感が、南極の風景や満天の星空と相まって、なんか、感動するのです。
「放送作家というものは、人を感動させるために時として過剰な演出を用いることがあるが、このプログラムにはそういうことをせず、『星空を観ているとなんか感動するよね』という感じと同じものを目指した。なんか感動するなあと思って帰って下さい」とは、小山氏の言葉。そのとおりでした。「なんか分からないけど感動する」のは、星空や風景、音が、心に訴えかける臨場感と説得力を持って迫ってくるからなのだと思います。
(Phile-web編集部・小澤)
日本の南極地域観察の歴史は、1956年11月8日、第1次南極観測隊を乗せた観測船「宗谷」が晴海埠頭を出航し、翌1957年1月29日に昭和基地を開設したところから始まりました。今年2007年は、観測が始まってから50周年という節目の年にあたります。
「この地球(ほし)の鼓動」はこれを記念して作成されたものです。脚本とプロデュースを放送作家の小山薫堂氏が手がけ、プラネタリウムクリエイターの大平貴之氏が演出。松任谷由実さんがナレーションを担当しています。
小山氏はこの作品のコンセプトを「音の表現」と語りました。広大な氷の大地である南極には音がない、という話を聞いたことがきっかけで、「音にこだわった『聴かせる』プラネタリウム」を考えついたということです。
小山氏は更に、「音だけでなく無音も豊かに表現できるものとして、ボーズのノイズキャンセリングヘッドホンが思い浮かび、これを使用したプログラムを思いついた」と話しました。同席した国立極地研究所 副所長の福地光男氏も「私は何度か南極に行ったことがあるが、耳がキンとする南極の静けさがよく再現されている」と語っていました。
上映が行われる「ドームシアターガイア」には、全座席に「QC2」が備え付けられています。
ヘッドホンを装着して視聴するスタイルには2つの利点があるように感じました。ひとつは周りの雑音に気を散らされることがない点です。静かでいい場面なのに、隣の人が立てる物音が気になって上映作品に入り込めない…というのはよくあること。本プログラムでは「QC2」を各々が装着しているため雑音が気にならず、心ゆくまで作品に入り込むことができます。
もうひとつは、座席のポジショニングに関わらず、広がりと立体感のある理想的な音場を楽しめる点。左の耳元でユーミンが囁いたと思ったら、驚くほど広い音場がシアター中に満ちていき、音と風景に包み込まれるような感覚に陥る…などというコントラストが鮮やかに感じられました。
しかしなによりも特筆すべきなのは無音の表現でしょう。空気の張りつめる圧力を感じる緊張感が、南極の風景や満天の星空と相まって、なんか、感動するのです。
「放送作家というものは、人を感動させるために時として過剰な演出を用いることがあるが、このプログラムにはそういうことをせず、『星空を観ているとなんか感動するよね』という感じと同じものを目指した。なんか感動するなあと思って帰って下さい」とは、小山氏の言葉。そのとおりでした。「なんか分からないけど感動する」のは、星空や風景、音が、心に訴えかける臨場感と説得力を持って迫ってくるからなのだと思います。
(Phile-web編集部・小澤)