【速報】折原一也のBDプレーヤー「BDP-LX70」ファーストインプレッション
“次世代”と呼ばれてきたBlu-ray DiscやHD DVD。オーディオ・ビジュアルファンにとってこれら次世代ディスクの存在は、もはや身近なものになろうとしている。作品数が100タイトル(5月16日現在)を目前に控えたBlu-ray陣営に新たなプレーヤーが登場した。パイオニアから発売される「BDP-LX70」だ。
映像メディアの立ち上がりを考えるときに、パイオニアの存在を思い出す人も多いことだろう。1981年には国内LDプレーヤー1号機を発売。同機はオーディオ・ビジュアルファンの記憶に残る製品となっているはずだ。また映像ディスクがDVDに移行する際にも、1996年にいち早くプレーヤーを開発し市場参入を果たしている。今回のBlu-ray Discプレーヤーの発売は、パイオニアのファンにとって待望のものであろう。
■“Master Quality”を前面に押し出したクオリティ志向の製品
本日発表されたBDP-LX70の商品コンセプトは“Master Quality”。スタジオが作り出す本物の映像と音の再現を目指したクオリティ志向の製品である。次世代ディスク作品の制作に携わる関係者への取材を続けていると、映画スタジオが一貫して「高画質」を追求していることが伝わってくる。パイオニアのBDP-LX70は、その想いをハードウェアの面から追求している。
BDP-LX70の再生テクノロジーとしてキーになっている機能が、1080/24pダイレクト出力への対応だ。映画ファンならご存じの通り、映画は秒間24コマで撮影されており、テレビなど一般的なディスプレイに表示する際には60コマに変換して再生される。この変換時にコマ数を等倍にしては端数が出てしまうため、2-3プルダウンという方式を用いて表示を行ってきた。しかしこの方法だとコマが等間隔に並べられず、動きにガタ付きが生じてしまう。これを解決するのが、HDMI端子を使った1080/24pダイレクト出力と、それを等倍して再生できる同社PDPの72コマ駆動機能だ。
今回、PDP-5000EXとの組み合わせで視聴を行った。変換なしのリアル24p出力で表示される映像のスムーズさは、フィルム特有の動きの感覚を違和感なく再現している。映像はシャープに輪郭を描いており、同時に比較視聴を行ったPLAYSTATION3よりも精細で情報量の多い映像が印象的だ。さらに階調の描き方も丁寧で、フィルムの持つラチュードの広さが再現されており、見慣れたシーンにも新たな発見が見られるはずだ。
ハンドリングした印象としては、まずBD-ROMの読み込みスピードが速い。ディスクをセットしてから長時間待たずに再生できるのは、再生専用機として評価できる点だ。また、リモコンには出力解像度を直接切り換えられるボタンを装備。本体前面のディスプレイ表示の消灯もリモコンから操作できる。
■マスター音声をそのまま引き出す“Dolby True HD”対応
オーディオ面では、“Dolby True HD”への対応に注目したい。次世代ディスクにおいてロスレス音声への対応は欠かせない。タイトル制作の現場では、映画のデジタル状態におけるマスターとも言えるリニアPCM音声を、再生時に原音を取り出せるロスレスで圧縮することで、品質をそのままディスクに収録している。BDP-LX70は、BD-ROMに収録された“Dolby True HD”をデコードし、HDMI Ver 1.2a端子から出力できるように設計されており、オーディオに関してもマスター品質での再生を可能としているのだ。
ドルビーTrueHD 出力の詳細
※BDP-LX70でデコードしHDMI1.2aにてLPCM伝送
■ホームネットワーク機能“Home Media Gallery”を搭載
デジタルホームAVネットワークへのアプローチも、BDP-LX70がBDプレーヤーとして初めて行った試みだ。“Home Media Gallery”と名付けられた機能は、DLNAガイドラインに準拠した家庭内ネットワークへの接続機能だ。同機能では、PCに保存してある写真や音楽といったコンテンツをホームシアタールームやリビングのテレビで楽しむことができる。ハイエンドなイメージを持ったBDP-LX70だが、ネットワーク機能を搭載したことで、多くのユーザーに身近な存在として受け入れられるのではないだろうか。
Blu-rayディスク作品が100タイトルを目前にした今、BDP-LX70の登場はまさに満を持してのタイミングであると言えよう。『007 カジノロワイヤル』(SPE)や、『パイレーツ・オブ・カリビアン』(ブエナ・ビスタ)など話題作のリリースを控え、Blu-rayディスクは新しい時代を迎えることになりそうだ。
(折原一也)
折原一也
埼玉県出身。コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。
映像メディアの立ち上がりを考えるときに、パイオニアの存在を思い出す人も多いことだろう。1981年には国内LDプレーヤー1号機を発売。同機はオーディオ・ビジュアルファンの記憶に残る製品となっているはずだ。また映像ディスクがDVDに移行する際にも、1996年にいち早くプレーヤーを開発し市場参入を果たしている。今回のBlu-ray Discプレーヤーの発売は、パイオニアのファンにとって待望のものであろう。
■“Master Quality”を前面に押し出したクオリティ志向の製品
本日発表されたBDP-LX70の商品コンセプトは“Master Quality”。スタジオが作り出す本物の映像と音の再現を目指したクオリティ志向の製品である。次世代ディスク作品の制作に携わる関係者への取材を続けていると、映画スタジオが一貫して「高画質」を追求していることが伝わってくる。パイオニアのBDP-LX70は、その想いをハードウェアの面から追求している。
BDP-LX70の再生テクノロジーとしてキーになっている機能が、1080/24pダイレクト出力への対応だ。映画ファンならご存じの通り、映画は秒間24コマで撮影されており、テレビなど一般的なディスプレイに表示する際には60コマに変換して再生される。この変換時にコマ数を等倍にしては端数が出てしまうため、2-3プルダウンという方式を用いて表示を行ってきた。しかしこの方法だとコマが等間隔に並べられず、動きにガタ付きが生じてしまう。これを解決するのが、HDMI端子を使った1080/24pダイレクト出力と、それを等倍して再生できる同社PDPの72コマ駆動機能だ。
今回、PDP-5000EXとの組み合わせで視聴を行った。変換なしのリアル24p出力で表示される映像のスムーズさは、フィルム特有の動きの感覚を違和感なく再現している。映像はシャープに輪郭を描いており、同時に比較視聴を行ったPLAYSTATION3よりも精細で情報量の多い映像が印象的だ。さらに階調の描き方も丁寧で、フィルムの持つラチュードの広さが再現されており、見慣れたシーンにも新たな発見が見られるはずだ。
ハンドリングした印象としては、まずBD-ROMの読み込みスピードが速い。ディスクをセットしてから長時間待たずに再生できるのは、再生専用機として評価できる点だ。また、リモコンには出力解像度を直接切り換えられるボタンを装備。本体前面のディスプレイ表示の消灯もリモコンから操作できる。
■マスター音声をそのまま引き出す“Dolby True HD”対応
オーディオ面では、“Dolby True HD”への対応に注目したい。次世代ディスクにおいてロスレス音声への対応は欠かせない。タイトル制作の現場では、映画のデジタル状態におけるマスターとも言えるリニアPCM音声を、再生時に原音を取り出せるロスレスで圧縮することで、品質をそのままディスクに収録している。BDP-LX70は、BD-ROMに収録された“Dolby True HD”をデコードし、HDMI Ver 1.2a端子から出力できるように設計されており、オーディオに関してもマスター品質での再生を可能としているのだ。
ドルビーTrueHD 出力の詳細
サンプリング周波数 | 伝送可能チャンネル |
48kHz | 7.1ch/5.1ch |
96kHz | 5.1ch(7.1chはダウンミックス) |
192kHz | 2.0ch |
■ホームネットワーク機能“Home Media Gallery”を搭載
デジタルホームAVネットワークへのアプローチも、BDP-LX70がBDプレーヤーとして初めて行った試みだ。“Home Media Gallery”と名付けられた機能は、DLNAガイドラインに準拠した家庭内ネットワークへの接続機能だ。同機能では、PCに保存してある写真や音楽といったコンテンツをホームシアタールームやリビングのテレビで楽しむことができる。ハイエンドなイメージを持ったBDP-LX70だが、ネットワーク機能を搭載したことで、多くのユーザーに身近な存在として受け入れられるのではないだろうか。
Blu-rayディスク作品が100タイトルを目前にした今、BDP-LX70の登場はまさに満を持してのタイミングであると言えよう。『007 カジノロワイヤル』(SPE)や、『パイレーツ・オブ・カリビアン』(ブエナ・ビスタ)など話題作のリリースを控え、Blu-rayディスクは新しい時代を迎えることになりそうだ。
(折原一也)
埼玉県出身。コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。