アナログ・デバイセズ、オーディオ向け製品の説明会を開催
アナログ・デバイセズ(株)は本日、オーディオ向け製品に関する記者向け説明会を開催した。
AVファンなら、「SHARC」という名前に聞き覚えのある方は多いはず。SHARCは高性能な浮動小数点DSPで、高級AVアンプなどに搭載され、音声のデコードやサラウンド処理などに使われている。このSHARCを開発・販売しているのがアナログ・デバイセズだ。ちなみに本社はアメリカ・マサチューセッツ州にある。
本日の説明会には、アナログ・デバイセズ(株)デジタルコンスーマ&コンピューティング・セグメントグループ ディレクターの望月和雄氏、同社汎用DSPプロダクツディビジョン ジャパン リージョナル ディレクターのポール・ウィラー氏が出席。同社は「オーディオ市場を成長市場と位置づけている」(ウィラー氏)ことから、DSPのみならずクラスDアンプやサンプル・レート・コンバーターなどのアナログ製品まで、同社のオーディオ機器向けソリューションが幅広く紹介された。
はじめに登壇した望月氏は、同社の売り上げ構成比を紹介。ワールドワイドでは、同社が古くから行っている産業機器向けや通信機器向け製品があわせて69%を占め、デジタル・コンシューマー機器向け製品は22%に過ぎないが、日本国内ではこの関係が逆転し、デジタル・コンシューマー機器向けが59%と過半数を超えるのだという。
同社のオーディオ機器向け製品のターゲットは、プロオーディオ、ポータブルオーディオ、カーオーディオ、ホームシアターの4つ。
このうちポータブルオーディオでは、ノイズキャンセリングヘッドホンやポータブルメディアプレーヤー、iPodドックなどといった機器に同社の製品が使われている。具体的には、業界で初めて自動音量調整を備え、音割れを防ぐクラスDアンプ、低消費電力でADCやDACを内蔵したSigmaDSPなどの引き合いが多いという。なお、SigmaDSPはWindows用の専用アプリケーション「SigmaStudio」により、文字によるコーディングを行うことなくGUIで処理フローが設定できる。ドルビーやSRS、BBE、Audysseyといったサードパーティーのアルゴリズムも用意され、これらの会社とライセンス契約を行えば、ソフト上でアイコンを置くだけでその機能が使えるようになる。同社では、この簡便な操作性を武器にメーカーへの採用を働きかける考えだ。
また望月氏は、薄型テレビにおいても、同社のDSPやアナログ製品が力を発揮すると説明。「薄型テレビではスピーカーのための十分なスペースがなく、薄くて小さいスピーカーになりがち。さらに、ヒートシンクなどの搭載スペースがなく、発熱するICが使えないほか、映像処理が複雑化したため、映像と音声のタイミングにズレが生じ、これを同期させる必要がある」。
これらの問題に対処するため、同社では、ハードとソフトの両面でソリューションを提供している。まずハード面では、同社の高効率なクラスDアンプを作用することで、発熱を抑え、省スペースで高出力のアンプを実現できるという。また、映像と音声の同期については、オーディオプロセッサー「DADV4601/4622」に、音声の合計400msの遅延を実現するメモリーが搭載されており、これにより同期を取ることが可能となる。ソフト面では、バス・ブーストやイコライゼーション、自動ボリューム・コントロール、可聴ポップ/クリックの除去などを採用することで、薄型テレビで優れた音響再現性を実現することを目指している。
DSP機器に関しては、ポール・ウィラー氏が流暢な日本語でプレゼンを行った。
冒頭で挙げたDSP「SHARC」は、いまでもAVアンプなど様々なAV/オーディオ機器に使われている。これは同DSPが、価格に比して処理性能を持つからで、家庭用機器のみ鳴らず、業務用のミキシングコンソールやミュージシャン向け電子機器、DJ用機器、車載用オーディオ機器などにも幅広い採用例がある。
同社が最近拡販に力を入れているのが、「Blackfin」というDSP。「パワーとパフォーマンスの比率に優れている」(ウィラー氏)とのことで、絶対的な処理能力の高さはSHARCに譲るものの、低消費電力で高効率な処理を行えることが大きな特徴となる。主にポータブルプレーヤーなどのマルチメディア機器や車載用機器などに採用されているが、ヤマハのAVアンプ「DSP-AX463」にも搭載されており、シネマDSPの処理はBlackfinで行っているのだという。またBlackfinは、単に信号処理を行うだけでなく、マイコン的な使い方もできる柔軟さを併せ持っており、パイプラインの気候センサーなどにも用いられているのだという。
最後にウィラー氏は、アナログ・デバイセズが、オーディオ系の知的財産を所有している企業と密接な関係を築いていることを強調。ドルビーやDTS、THXなどの知財所有企業が新たな技術や規格を作る情報を早くからキャッチすることで、いち早く製品に採り入れることができるほか、「我々のDSPの処理能力が上がることで、これらのパートナーも新たな技術を作ることが可能になる」とし、パートナーと二人三脚でオーディオ技術の進化に取り組んでいることを説明した。
(Phile-web編集部)
AVファンなら、「SHARC」という名前に聞き覚えのある方は多いはず。SHARCは高性能な浮動小数点DSPで、高級AVアンプなどに搭載され、音声のデコードやサラウンド処理などに使われている。このSHARCを開発・販売しているのがアナログ・デバイセズだ。ちなみに本社はアメリカ・マサチューセッツ州にある。
本日の説明会には、アナログ・デバイセズ(株)デジタルコンスーマ&コンピューティング・セグメントグループ ディレクターの望月和雄氏、同社汎用DSPプロダクツディビジョン ジャパン リージョナル ディレクターのポール・ウィラー氏が出席。同社は「オーディオ市場を成長市場と位置づけている」(ウィラー氏)ことから、DSPのみならずクラスDアンプやサンプル・レート・コンバーターなどのアナログ製品まで、同社のオーディオ機器向けソリューションが幅広く紹介された。
はじめに登壇した望月氏は、同社の売り上げ構成比を紹介。ワールドワイドでは、同社が古くから行っている産業機器向けや通信機器向け製品があわせて69%を占め、デジタル・コンシューマー機器向け製品は22%に過ぎないが、日本国内ではこの関係が逆転し、デジタル・コンシューマー機器向けが59%と過半数を超えるのだという。
同社のオーディオ機器向け製品のターゲットは、プロオーディオ、ポータブルオーディオ、カーオーディオ、ホームシアターの4つ。
このうちポータブルオーディオでは、ノイズキャンセリングヘッドホンやポータブルメディアプレーヤー、iPodドックなどといった機器に同社の製品が使われている。具体的には、業界で初めて自動音量調整を備え、音割れを防ぐクラスDアンプ、低消費電力でADCやDACを内蔵したSigmaDSPなどの引き合いが多いという。なお、SigmaDSPはWindows用の専用アプリケーション「SigmaStudio」により、文字によるコーディングを行うことなくGUIで処理フローが設定できる。ドルビーやSRS、BBE、Audysseyといったサードパーティーのアルゴリズムも用意され、これらの会社とライセンス契約を行えば、ソフト上でアイコンを置くだけでその機能が使えるようになる。同社では、この簡便な操作性を武器にメーカーへの採用を働きかける考えだ。
また望月氏は、薄型テレビにおいても、同社のDSPやアナログ製品が力を発揮すると説明。「薄型テレビではスピーカーのための十分なスペースがなく、薄くて小さいスピーカーになりがち。さらに、ヒートシンクなどの搭載スペースがなく、発熱するICが使えないほか、映像処理が複雑化したため、映像と音声のタイミングにズレが生じ、これを同期させる必要がある」。
これらの問題に対処するため、同社では、ハードとソフトの両面でソリューションを提供している。まずハード面では、同社の高効率なクラスDアンプを作用することで、発熱を抑え、省スペースで高出力のアンプを実現できるという。また、映像と音声の同期については、オーディオプロセッサー「DADV4601/4622」に、音声の合計400msの遅延を実現するメモリーが搭載されており、これにより同期を取ることが可能となる。ソフト面では、バス・ブーストやイコライゼーション、自動ボリューム・コントロール、可聴ポップ/クリックの除去などを採用することで、薄型テレビで優れた音響再現性を実現することを目指している。
DSP機器に関しては、ポール・ウィラー氏が流暢な日本語でプレゼンを行った。
冒頭で挙げたDSP「SHARC」は、いまでもAVアンプなど様々なAV/オーディオ機器に使われている。これは同DSPが、価格に比して処理性能を持つからで、家庭用機器のみ鳴らず、業務用のミキシングコンソールやミュージシャン向け電子機器、DJ用機器、車載用オーディオ機器などにも幅広い採用例がある。
同社が最近拡販に力を入れているのが、「Blackfin」というDSP。「パワーとパフォーマンスの比率に優れている」(ウィラー氏)とのことで、絶対的な処理能力の高さはSHARCに譲るものの、低消費電力で高効率な処理を行えることが大きな特徴となる。主にポータブルプレーヤーなどのマルチメディア機器や車載用機器などに採用されているが、ヤマハのAVアンプ「DSP-AX463」にも搭載されており、シネマDSPの処理はBlackfinで行っているのだという。またBlackfinは、単に信号処理を行うだけでなく、マイコン的な使い方もできる柔軟さを併せ持っており、パイプラインの気候センサーなどにも用いられているのだという。
最後にウィラー氏は、アナログ・デバイセズが、オーディオ系の知的財産を所有している企業と密接な関係を築いていることを強調。ドルビーやDTS、THXなどの知財所有企業が新たな技術や規格を作る情報を早くからキャッチすることで、いち早く製品に採り入れることができるほか、「我々のDSPの処理能力が上がることで、これらのパートナーも新たな技術を作ることが可能になる」とし、パートナーと二人三脚でオーディオ技術の進化に取り組んでいることを説明した。
(Phile-web編集部)