もっと使える!PS3のHDD − 第3回:HDD上の「おでかけ映像」コレクションを快適に視るには?
BDレコーダーの「BDZ-A70」や「BDZ-X90」などが備える「おでかけ転送」機能と、SCEのゲーム機PLAYSTATION3(PS3)を徹底活用して“ミニマムシアター”を作ろうという企画の3回目レポートをお届けする。前回までに「PS3のHDD増設」、「おでかけ映像のPS3転送」をご紹介してきた。
今回はまず、PS3に保存した映像コンテンツを“PS3だけ”で再生して楽しんでみようと思う。操作は簡単で、PS3のXMBメニューからHDDに保存したタイトルを選んで再生するだけだ。ただし、これを30インチオーバーの大画面テレビで再生すると、かなりひどい画質の映像になってしまう。「おでかけ転送」用につくられた映像ファイルは、元々PSPやウォークマンなど、10インチ以下で再生する程度のデータしかないので、大画面テレビで再生するには向いていないのだ。
では、どうしたらいいのか?小さく高画質なテレビで表示すれば、この「おでかけ転送」の動画でも視聴に堪えうる画質で楽しめるのではないだろうか?そこで、さっそく高画質の小型テレビを手配して接続した。
今回はナナオの“FORIS.HD”シリーズから24V型モデルの「DT24ZD1」を選んだ。このこのテレビは1920×1200ドットの液晶パネルを搭載し、24型というサイズながらフルHD対応を実現している。筆者はこれから薄型テレビは20インチクラスの高画質モデルが求められる時代が来ると予想して、各メーカー担当者に会うごとに提案している。ノリのいいメーカーもあれば、ピンと来ていないメーカーもあり反応は様々だ。これまでの薄型テレビ市場は「大画面=高画質」という高度成長期の経済のような拡大路線を歩んできた。しかし、日本の住宅事情を考えれば、「美しい映像は欲しいが、30インチを超えるテレビは置きたくない(または置けない)」と、いう家庭も多いはずだ。薄型テレビが本格的に普及するには、いままで手薄だった、これら「アンダー30インチ」の市場にも、画質にこだわった製品が出てきてしかるべきだと思う。このような筆者の思いを多分に実現している製品がこのFORIS.HD「DT24ZD1」だった。
PS3と24型のDT24ZD1を繋いで「おでかけ転送」動画を再生した。筆者所有の19型のパソコンモニターでは、時折映像が甘くなるものの、及第点の画質で楽しめた。一方、24型のフル画面になると、ちょっと映像自体の解像感が甘すぎると感じるようになった。おでかけ転送動画を満載したPS3を寝室や書斎に置いて、コンパクトなシアターを作ろうと思ったのだが、24型では難しそうだ。このような使い方をするなら、19型までのモニターがより現実的に思われた。
せっかくなのでPS3でBDソフトを再生してDT24ZD1に表示した。映像はエッジが立っており、シャープ。キッチリとした映像が好きな人には向くだろう。ただ筆者としてはよりナチュラルな方が好みと感じた。もっとも、このクラスのテレビとしては申し分のない画質だ。
特筆すべきはサウンド。伊達に“ゴツゴツ”なデザインを採用したわけではなく、ゆとりのあるハウジングを使ったバスレフタイプスピーカーが奏でる音は実に豊かで迫力がある。スピーカーを追加購入しなくても立派なデスクトップシアターが完成する。ちょっとサイズは大きかったが、画質、音質ともに今回の企画にマッチしたテレビだった。ぜひ他社からも24型、27型クラスで、高画質多機能のテレビがもっと数多く出てきて欲しいものだ。余談だが、東芝からUSBフラッシュメモリーに番組録画ができる小型のレグザなんて出てくれば、売れると思うんだが、いかがだろうか。
「おでかけ転送」の画質は現在2種類からしか選べない。高画質の設定は「QVGA 768kbps」になっている。これでは24型のテレビで見るには、今ひとつデータが不足していると感じた。もし可能ならおでかけ転送動画にも、HG画質としてQVGA 768kbpsよりもビットレートがリッチなモードを用意してもらえたら、24/27型のディスプレイでも満足できる映像で動画が楽しめそうだ。将来にはより高画質の「おでかけ転送」モードが出てくることを期待したい。
(レポート:鈴木桂水)
筆者プロフィール
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。
>>鈴木桂水氏のブログはこちら
今回はまず、PS3に保存した映像コンテンツを“PS3だけ”で再生して楽しんでみようと思う。操作は簡単で、PS3のXMBメニューからHDDに保存したタイトルを選んで再生するだけだ。ただし、これを30インチオーバーの大画面テレビで再生すると、かなりひどい画質の映像になってしまう。「おでかけ転送」用につくられた映像ファイルは、元々PSPやウォークマンなど、10インチ以下で再生する程度のデータしかないので、大画面テレビで再生するには向いていないのだ。
では、どうしたらいいのか?小さく高画質なテレビで表示すれば、この「おでかけ転送」の動画でも視聴に堪えうる画質で楽しめるのではないだろうか?そこで、さっそく高画質の小型テレビを手配して接続した。
今回はナナオの“FORIS.HD”シリーズから24V型モデルの「DT24ZD1」を選んだ。このこのテレビは1920×1200ドットの液晶パネルを搭載し、24型というサイズながらフルHD対応を実現している。筆者はこれから薄型テレビは20インチクラスの高画質モデルが求められる時代が来ると予想して、各メーカー担当者に会うごとに提案している。ノリのいいメーカーもあれば、ピンと来ていないメーカーもあり反応は様々だ。これまでの薄型テレビ市場は「大画面=高画質」という高度成長期の経済のような拡大路線を歩んできた。しかし、日本の住宅事情を考えれば、「美しい映像は欲しいが、30インチを超えるテレビは置きたくない(または置けない)」と、いう家庭も多いはずだ。薄型テレビが本格的に普及するには、いままで手薄だった、これら「アンダー30インチ」の市場にも、画質にこだわった製品が出てきてしかるべきだと思う。このような筆者の思いを多分に実現している製品がこのFORIS.HD「DT24ZD1」だった。
PS3と24型のDT24ZD1を繋いで「おでかけ転送」動画を再生した。筆者所有の19型のパソコンモニターでは、時折映像が甘くなるものの、及第点の画質で楽しめた。一方、24型のフル画面になると、ちょっと映像自体の解像感が甘すぎると感じるようになった。おでかけ転送動画を満載したPS3を寝室や書斎に置いて、コンパクトなシアターを作ろうと思ったのだが、24型では難しそうだ。このような使い方をするなら、19型までのモニターがより現実的に思われた。
せっかくなのでPS3でBDソフトを再生してDT24ZD1に表示した。映像はエッジが立っており、シャープ。キッチリとした映像が好きな人には向くだろう。ただ筆者としてはよりナチュラルな方が好みと感じた。もっとも、このクラスのテレビとしては申し分のない画質だ。
特筆すべきはサウンド。伊達に“ゴツゴツ”なデザインを採用したわけではなく、ゆとりのあるハウジングを使ったバスレフタイプスピーカーが奏でる音は実に豊かで迫力がある。スピーカーを追加購入しなくても立派なデスクトップシアターが完成する。ちょっとサイズは大きかったが、画質、音質ともに今回の企画にマッチしたテレビだった。ぜひ他社からも24型、27型クラスで、高画質多機能のテレビがもっと数多く出てきて欲しいものだ。余談だが、東芝からUSBフラッシュメモリーに番組録画ができる小型のレグザなんて出てくれば、売れると思うんだが、いかがだろうか。
「おでかけ転送」の画質は現在2種類からしか選べない。高画質の設定は「QVGA 768kbps」になっている。これでは24型のテレビで見るには、今ひとつデータが不足していると感じた。もし可能ならおでかけ転送動画にも、HG画質としてQVGA 768kbpsよりもビットレートがリッチなモードを用意してもらえたら、24/27型のディスプレイでも満足できる映像で動画が楽しめそうだ。将来にはより高画質の「おでかけ転送」モードが出てくることを期待したい。
(レポート:鈴木桂水)
筆者プロフィール
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。
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