<検証!PS3 “現在”の実力>第3回:最新の単体BDプレーヤーと画質対決!
AV機器ユーザーにとって、PS3最大の魅力はBDビデオの再生機能だろう。前回の記事ではソニーの最新BDレコーダー「BDZ-T55」「BDZ-X100」との対決編を掲載した。
前回の対決は価格差の大きいモデルもあったが、PS3が競合するクラスは、むしろレコーダーよりも、むしろ同等の価格帯で購入できる製品が登場しだしたBDプレーヤーではないかとも思う。そこで今回は、ソニーの最新BDプレーヤー2モデルを登場させて、BDの再生クオリティを比較してみることにしよう。
ライバルとして選んだのは、ソニーのBDプレーヤー「BDP-S350」と「BDP-S5000ES」の2モデルだ。
BDP-S350は12月に国内で初めてソニーが投入するエントリークラスのBDプレーヤー。実勢価格44,800円とBDプレーヤーにしては手頃な価格帯で、PS3ともまともに競合するクラスだ。
さらに今回は兄弟モデルとしてBDP-S5000ESを用意した。BDP-S5000ESはソニーが満を持して発売するハイエンドBDプレーヤー。実売価格は約294,000円程度となる見込みで、正真正銘の高級モデルである。映像回路には同社の最新BDレコーダーと同じ”CREAS”(クリアス)を搭載しており、BDプレーヤー向けに、さらにチューニングも施した。BD再生画質でPS3がBDP-S5000RSのクオリティを上回ることがあれば大金星と言えよう。
レファレンスの環境は、前回の検証と同じシステムを使用している。モニタにはパイオニアの最新プラズマモニター“KURO”「KRP-600A」を用意した。BDクオリティの視聴にはBDビデオソフトの『あの頃、ペニーレインと』『マイ・ブルーベリー・ナイツ』(共にSPE)で検証した。
●PS3の画質は誇張感がなくナチュラル
早速画質の検証を始めていこう。まず、前回もお伝えしたPS3の画質について簡単に復習しておくと、PS3の映像は良く言うとあまり誇張感のないナチュラルな映像で、色をしっとりと乗せた映像を見せる。詳しくは前回述べているので省略する。
さて、最初のライバルとして登場したBDP-S350の映像だが、『あの頃、ペニーレインと』を見ると、艶やかな色もしっかりと再現し、さらに精細感も感じられる映像だ。奥行き感の表現も見事に出ているし、色調にも違和感はない。エントリークラスとして、十分な実力を持った映像と感じた。『マイ・ブルーベリー・ナイツ』の映像では、全体にやや色温度を下げているような風合いで、ノイズ感もよく抑えている。引き締まった映像は好印象だ。
次のライバルであるBDP-S5000ESは、『あの頃、ペニーレインと』の最初のシーンを見た瞬間から、映像の鮮やかな色乗り、情報量の増した鮮鋭感のある映像に惹きつけられた。妙な強調感はなく、純粋に色乗りの良さで画質を向上させており、質感豊かとでも言うべき画質を見せてくれる。
『マイ・ブルーベリー・ナイツ』も、色のレンジを広く取った深みは見事で、自然な輪郭表現の中にも立体感のある映像を作り出す。ノイズ感は若干多めに残しているように感じた。もっともBDP-S5000ESはコントラスト、ブライトネス、ガンマなどの色合いのほかにFGR(フィルムグレインリデューサー)も使えるため、好みに合わせて調整するのも良いだろう。
さて、BDP-S350、BDP-S5000ESと比べて改めてPS3を見てみると、やはり全体に精細感の持たせ方は若干弱い。BDP-S5000ESはハイエンドの圧倒的な貫禄とでも言うべきか、文句なしにPS3より高画質だ。
「BDP-S350」は凄みまでは感じさせないものの、キレのある映像で、BDプレーヤーとしての実力は十分。PS3はBD再生画質の色味が重く、やや甘い傾向の映像も見られたことから、本機の画質はPS3を若干上回っていると感じた。もっとも率直に言って、両者の実力は伯仲しており、好みの部分もある。さらなる高画質化をねらってPS3から買い換えるのなら、上位のBDP-S5000ESを推奨したい。
●次回はDVD画質とBD読み込み速度をテスト
BDビデオの再生クオリティテストは以上で終了だ。前回の繰り返しになるが、2年前に発売されたPS3に対し、最先端の回路を組み込んだ新BDプレーヤーでは、クオリティ面での作り込みに差があるようだ。もっとも、PS3をすでに所有しているのであれば、当然ながらPS3の導入コストはゼロ。ハイエンド志向のユーザーを除けば、まだまだPS3は現役の第一線で活躍できるだろう。
さて、次回の第3回では、前回のテストで使用したBDレコーダーのBDZ-T55、BDZ-X100、今回のテストで使用したBDプレーヤーのBDP-S350、BDP-S5000ES、そしてPS3を一堂に集め、BD再生の速度テストを行う。また、あわせてDVDのアップスケーリング画質比較も行い、PS3の総合的な実力を検証する予定だ。
(折原一也)
執筆者プロフィール
埼玉県出身。コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。
バックナンバー
第1回:モンスターマシンの激変ぶりを振り返る
第2回:最新BDレコーダーとBD再生クオリティを比較する
前回の対決は価格差の大きいモデルもあったが、PS3が競合するクラスは、むしろレコーダーよりも、むしろ同等の価格帯で購入できる製品が登場しだしたBDプレーヤーではないかとも思う。そこで今回は、ソニーの最新BDプレーヤー2モデルを登場させて、BDの再生クオリティを比較してみることにしよう。
ライバルとして選んだのは、ソニーのBDプレーヤー「BDP-S350」と「BDP-S5000ES」の2モデルだ。
BDP-S350は12月に国内で初めてソニーが投入するエントリークラスのBDプレーヤー。実勢価格44,800円とBDプレーヤーにしては手頃な価格帯で、PS3ともまともに競合するクラスだ。
さらに今回は兄弟モデルとしてBDP-S5000ESを用意した。BDP-S5000ESはソニーが満を持して発売するハイエンドBDプレーヤー。実売価格は約294,000円程度となる見込みで、正真正銘の高級モデルである。映像回路には同社の最新BDレコーダーと同じ”CREAS”(クリアス)を搭載しており、BDプレーヤー向けに、さらにチューニングも施した。BD再生画質でPS3がBDP-S5000RSのクオリティを上回ることがあれば大金星と言えよう。
レファレンスの環境は、前回の検証と同じシステムを使用している。モニタにはパイオニアの最新プラズマモニター“KURO”「KRP-600A」を用意した。BDクオリティの視聴にはBDビデオソフトの『あの頃、ペニーレインと』『マイ・ブルーベリー・ナイツ』(共にSPE)で検証した。
●PS3の画質は誇張感がなくナチュラル
早速画質の検証を始めていこう。まず、前回もお伝えしたPS3の画質について簡単に復習しておくと、PS3の映像は良く言うとあまり誇張感のないナチュラルな映像で、色をしっとりと乗せた映像を見せる。詳しくは前回述べているので省略する。
さて、最初のライバルとして登場したBDP-S350の映像だが、『あの頃、ペニーレインと』を見ると、艶やかな色もしっかりと再現し、さらに精細感も感じられる映像だ。奥行き感の表現も見事に出ているし、色調にも違和感はない。エントリークラスとして、十分な実力を持った映像と感じた。『マイ・ブルーベリー・ナイツ』の映像では、全体にやや色温度を下げているような風合いで、ノイズ感もよく抑えている。引き締まった映像は好印象だ。
次のライバルであるBDP-S5000ESは、『あの頃、ペニーレインと』の最初のシーンを見た瞬間から、映像の鮮やかな色乗り、情報量の増した鮮鋭感のある映像に惹きつけられた。妙な強調感はなく、純粋に色乗りの良さで画質を向上させており、質感豊かとでも言うべき画質を見せてくれる。
『マイ・ブルーベリー・ナイツ』も、色のレンジを広く取った深みは見事で、自然な輪郭表現の中にも立体感のある映像を作り出す。ノイズ感は若干多めに残しているように感じた。もっともBDP-S5000ESはコントラスト、ブライトネス、ガンマなどの色合いのほかにFGR(フィルムグレインリデューサー)も使えるため、好みに合わせて調整するのも良いだろう。
さて、BDP-S350、BDP-S5000ESと比べて改めてPS3を見てみると、やはり全体に精細感の持たせ方は若干弱い。BDP-S5000ESはハイエンドの圧倒的な貫禄とでも言うべきか、文句なしにPS3より高画質だ。
「BDP-S350」は凄みまでは感じさせないものの、キレのある映像で、BDプレーヤーとしての実力は十分。PS3はBD再生画質の色味が重く、やや甘い傾向の映像も見られたことから、本機の画質はPS3を若干上回っていると感じた。もっとも率直に言って、両者の実力は伯仲しており、好みの部分もある。さらなる高画質化をねらってPS3から買い換えるのなら、上位のBDP-S5000ESを推奨したい。
●次回はDVD画質とBD読み込み速度をテスト
BDビデオの再生クオリティテストは以上で終了だ。前回の繰り返しになるが、2年前に発売されたPS3に対し、最先端の回路を組み込んだ新BDプレーヤーでは、クオリティ面での作り込みに差があるようだ。もっとも、PS3をすでに所有しているのであれば、当然ながらPS3の導入コストはゼロ。ハイエンド志向のユーザーを除けば、まだまだPS3は現役の第一線で活躍できるだろう。
さて、次回の第3回では、前回のテストで使用したBDレコーダーのBDZ-T55、BDZ-X100、今回のテストで使用したBDプレーヤーのBDP-S350、BDP-S5000ES、そしてPS3を一堂に集め、BD再生の速度テストを行う。また、あわせてDVDのアップスケーリング画質比較も行い、PS3の総合的な実力を検証する予定だ。
(折原一也)
執筆者プロフィール
埼玉県出身。コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。
バックナンバー
第1回:モンスターマシンの激変ぶりを振り返る
第2回:最新BDレコーダーとBD再生クオリティを比較する