サービス第1弾は電子書籍ストア
「GALAPAGOS」で世界へ − シャープ、タブレット型端末を12月に発売
シャープ(株)は、年内の参入計画を公表していた電子書籍サービスと、同サービスに対応したタブレット型端末「GALAPAGOS」(ガラパゴス)を発表した。
12月に電子書籍販売サービスを開始し、専用端末の販売は2011年の早い段階での100万台達成をねらう。なお、サービスは国内で先行して開始するが、北米を皮切りに、世界での展開も予定している。海外での事業開始時期は未定。
同社では電子書籍サービスを、クラウドメディア事業の第1弾として位置づけており、来春には映像、映画、音楽、ゲームの配信開始を予定している。なお、クラウドメディア事業の名称も端末と同じく「GALAPAGOS」となる。
■タブレット端末はAndroidベースで2モデル展開
タブレット型端末は当初から発表されていたとおり、10.8型で1,366×800ドットのモデルと、5.5型で1,024×600ドットのモデルの2機種を発売する。本体色は10.8型がブラック系、5.5型がレッド系とシルバー系を用意する。通信機能はIEEE802b/gの無線LANのみで、3G通信には対応していない。
端末の価格は未発表だが、「すでに世の中に出回っている端末、今後出てくる端末とほぼ同様の価格にしたい」という。販売形態についても詳細は明らかにされなかったが、通常の製品とは異なるようで、「端末はサービスと連携したセットとしての位置づけになる。スタンドアローンの販売形態とは異なってくる」という。
ディスプレイの下にはハードウェアボタンを装備。バックボタンとホームボタンのほか、5.5型のモバイルタイプにはトラックボールを搭載し、マウスのようなポインタ操作が行えるほか、端末の下を持ち、片手でページ送りを行うなどといった使い方ができる。
ディスプレイはマルチタッチに対応。さらに加速度センサーも備えており、端末の持ち方を変えると、自動的に画面レイアウトを変更することもできる。
タブレット型端末のOSはAndroidだが、バージョン等は現時点では現時点では非公開。また製品の質量やバッテリー持続時間、液晶ディスプレイの方式など、製品の技術的な特徴は11月に正式に発表するという。本日は説明員が行うデモを見るだけで、製品を手に取ることはできなかったが、10月5日から開催されるCEATEC 2010のシャープブースでは、GALAPAGOSのタッチ&トライを行えるという。
後述する電子書籍のリーダーとして使用できることはもちろん、ウェブブラウザーやSNS対応専用アプリなどもプリインストールされている。当初は、閲覧できる電子書籍のデータフォーマットはXMDFだけだが、今後はHTMLやPDF、ePUBなど、様々なフォーマットに対応させる予定だ。
なおGALAPAGOSでは、当初はAndroidマーケットは利用できない。対応できない理由は、ディスプレイ解像度が独自のものであるからだという。今後Androidマーケットに対応する可能性もあるが、同社では「サービスと一体化したアプリを重要視する」としており、自社開発のアプリを積極的に展開する考えだ。
またGALAPAGOSは、ソフトウェアをアップデートすることで、購入後も機能が進化することが、大きな特徴として掲げられている。
これまでZAURUSやAQUOSのネット機能などを担当し、今回のGALAPAGOSの商品企画担当チーフを務める松本融氏は、「シャープとして初めての、ソフトウェアアップデートで進化する端末である」と胸を張った。
■電子書籍ストアではデータの定期配信が受けられる
クラウドメディア事業「GALAPAGOS」の第1弾サービスとなる電子書籍については、シャープが電子書籍ストアを独自に展開する。新聞社や雑誌社などから作品や媒体の提供を受け、同社独自の「XMDF」フォーマットに変換し、販売を行う。
サービス開始当初のラインナップ数は約30,000冊で、コンテンツの販売価格は未定となっているが、「すでにある様々なサービスをベースにしているとお考え頂きたい」という。発表会では日本経済新聞 電子版のデモも行われていた。
XMDFは、縦書き表示やルビなど、日本語特有の表示や処理などに対応。また、動画や音楽などもページ内に埋め込むことができる。
さらに、レイアウトを変更せずに、本文の文字の大きさだけを変えることができるのも、XMDFならではの特徴だ。
このサービスの最も大きな特徴が、情報の定期配信に対応している点。定期購読を申し込んだ場合、新聞や雑誌の最新コンテンツが、あらかじめ設定しておいた時間帯に、自動的にダウンロードされる。
また、購入履歴などをもとに、サービスがリコメンドするコンテンツも、無料の体験版がストアから自動で配信され、試し読みを行うことができる。
購入したコンテンツやおすすめコンテンツは、ホーム画面「デスク」に並べられ、「未読・おすすめ」「最近読んだ本」「お気に入り」「定期購読」などに分類して整理できる。
なお、前述したとおり、今後同社のクラウドメディアサービスでは、映像配信や音楽配信なども視野に入れている。ストアサービスについても、「自社だけでは様々なものに対応できる能力などに限界がある」とし、今後、異業種企業との提携についても検討を行っていく。
■GALAPAGOSという名称に込めた想い
GALAPAGOSという、かなり刺激的な名称が付けられた、今回のクラウドメディア事業とタブレット端末。日本独自の進化を遂げた携帯電話が、ガラパゴスケータイ、ガラケーなどと言われているのはご存じの通りだ。
同社オンリーワン商品・デザイン本部長の岡田圭子氏は、「ガラパゴス化は、世界標準とかけ離れた、日本だけの特異な進化を揶揄する言葉として使われるが、シャープではこの言葉を否定的に捉えていない」と説明。「世界のデファクト技術をベースに、日本ならではのノウハウとテクノロジーを融合させることで、世界各地域で通用するモノになる、という意気込みをこの名称に込めた」という。
さらに岡田氏は「ダーウィンも、ガラパゴス島で進化論のヒントを得たと言われている。我々は、GALAPAGOSという言葉を、変化に敏感に対応していく『進化』と捉えている」とも述べ、具体的に「商品・サービスの進化」「ビジネスモデルの進化」「環境適合力の進化」の3つの進化を遂げると宣言した。
なお発表会では、記者から「国内ではすでに電子書籍のグループ化が進んでいる。他社に先駆けると言うが、実際のサービス開始時期はほぼ同時になるだろう。シャープのサービスは、現在は単独で進められているようだが、これらの中で群を抜くという実感に乏しい」との質問があった。
この質問に対して岡田氏は「アライアンスについてはオープンに、色々なところと組ませて頂きたい。本日は発表できなかったが、話を進めているところはいくつかある」と説明。「これまでシャープは、携帯電話やZAURUSなど、色々な製品を作り、使い勝手を高めてきた。シャープが培ってきたノウハウをオープンなところに持ち込んで、進化するガラパゴスにしていきたい」と強調した。
また、「他社の端末やサービスに対し、どのコアコンピタンスで競争力を発揮できるか」との質問に対しては、同社が「定期購読コンテンツを見逃さないよう、プッシュで配信する機能がある」と説明。これに対して記者が再度「プッシュ型は他社ではできないのか」と尋ねると、「当然できないことはないが、他社に先駆けてやろうということ。サービスの進化を同時に進めていきたい」と回答した。
12月に電子書籍販売サービスを開始し、専用端末の販売は2011年の早い段階での100万台達成をねらう。なお、サービスは国内で先行して開始するが、北米を皮切りに、世界での展開も予定している。海外での事業開始時期は未定。
同社では電子書籍サービスを、クラウドメディア事業の第1弾として位置づけており、来春には映像、映画、音楽、ゲームの配信開始を予定している。なお、クラウドメディア事業の名称も端末と同じく「GALAPAGOS」となる。
■タブレット端末はAndroidベースで2モデル展開
タブレット型端末は当初から発表されていたとおり、10.8型で1,366×800ドットのモデルと、5.5型で1,024×600ドットのモデルの2機種を発売する。本体色は10.8型がブラック系、5.5型がレッド系とシルバー系を用意する。通信機能はIEEE802b/gの無線LANのみで、3G通信には対応していない。
端末の価格は未発表だが、「すでに世の中に出回っている端末、今後出てくる端末とほぼ同様の価格にしたい」という。販売形態についても詳細は明らかにされなかったが、通常の製品とは異なるようで、「端末はサービスと連携したセットとしての位置づけになる。スタンドアローンの販売形態とは異なってくる」という。
ディスプレイの下にはハードウェアボタンを装備。バックボタンとホームボタンのほか、5.5型のモバイルタイプにはトラックボールを搭載し、マウスのようなポインタ操作が行えるほか、端末の下を持ち、片手でページ送りを行うなどといった使い方ができる。
ディスプレイはマルチタッチに対応。さらに加速度センサーも備えており、端末の持ち方を変えると、自動的に画面レイアウトを変更することもできる。
タブレット型端末のOSはAndroidだが、バージョン等は現時点では現時点では非公開。また製品の質量やバッテリー持続時間、液晶ディスプレイの方式など、製品の技術的な特徴は11月に正式に発表するという。本日は説明員が行うデモを見るだけで、製品を手に取ることはできなかったが、10月5日から開催されるCEATEC 2010のシャープブースでは、GALAPAGOSのタッチ&トライを行えるという。
後述する電子書籍のリーダーとして使用できることはもちろん、ウェブブラウザーやSNS対応専用アプリなどもプリインストールされている。当初は、閲覧できる電子書籍のデータフォーマットはXMDFだけだが、今後はHTMLやPDF、ePUBなど、様々なフォーマットに対応させる予定だ。
なおGALAPAGOSでは、当初はAndroidマーケットは利用できない。対応できない理由は、ディスプレイ解像度が独自のものであるからだという。今後Androidマーケットに対応する可能性もあるが、同社では「サービスと一体化したアプリを重要視する」としており、自社開発のアプリを積極的に展開する考えだ。
またGALAPAGOSは、ソフトウェアをアップデートすることで、購入後も機能が進化することが、大きな特徴として掲げられている。
これまでZAURUSやAQUOSのネット機能などを担当し、今回のGALAPAGOSの商品企画担当チーフを務める松本融氏は、「シャープとして初めての、ソフトウェアアップデートで進化する端末である」と胸を張った。
■電子書籍ストアではデータの定期配信が受けられる
クラウドメディア事業「GALAPAGOS」の第1弾サービスとなる電子書籍については、シャープが電子書籍ストアを独自に展開する。新聞社や雑誌社などから作品や媒体の提供を受け、同社独自の「XMDF」フォーマットに変換し、販売を行う。
サービス開始当初のラインナップ数は約30,000冊で、コンテンツの販売価格は未定となっているが、「すでにある様々なサービスをベースにしているとお考え頂きたい」という。発表会では日本経済新聞 電子版のデモも行われていた。
XMDFは、縦書き表示やルビなど、日本語特有の表示や処理などに対応。また、動画や音楽などもページ内に埋め込むことができる。
さらに、レイアウトを変更せずに、本文の文字の大きさだけを変えることができるのも、XMDFならではの特徴だ。
このサービスの最も大きな特徴が、情報の定期配信に対応している点。定期購読を申し込んだ場合、新聞や雑誌の最新コンテンツが、あらかじめ設定しておいた時間帯に、自動的にダウンロードされる。
また、購入履歴などをもとに、サービスがリコメンドするコンテンツも、無料の体験版がストアから自動で配信され、試し読みを行うことができる。
購入したコンテンツやおすすめコンテンツは、ホーム画面「デスク」に並べられ、「未読・おすすめ」「最近読んだ本」「お気に入り」「定期購読」などに分類して整理できる。
なお、前述したとおり、今後同社のクラウドメディアサービスでは、映像配信や音楽配信なども視野に入れている。ストアサービスについても、「自社だけでは様々なものに対応できる能力などに限界がある」とし、今後、異業種企業との提携についても検討を行っていく。
■GALAPAGOSという名称に込めた想い
GALAPAGOSという、かなり刺激的な名称が付けられた、今回のクラウドメディア事業とタブレット端末。日本独自の進化を遂げた携帯電話が、ガラパゴスケータイ、ガラケーなどと言われているのはご存じの通りだ。
同社オンリーワン商品・デザイン本部長の岡田圭子氏は、「ガラパゴス化は、世界標準とかけ離れた、日本だけの特異な進化を揶揄する言葉として使われるが、シャープではこの言葉を否定的に捉えていない」と説明。「世界のデファクト技術をベースに、日本ならではのノウハウとテクノロジーを融合させることで、世界各地域で通用するモノになる、という意気込みをこの名称に込めた」という。
さらに岡田氏は「ダーウィンも、ガラパゴス島で進化論のヒントを得たと言われている。我々は、GALAPAGOSという言葉を、変化に敏感に対応していく『進化』と捉えている」とも述べ、具体的に「商品・サービスの進化」「ビジネスモデルの進化」「環境適合力の進化」の3つの進化を遂げると宣言した。
なお発表会では、記者から「国内ではすでに電子書籍のグループ化が進んでいる。他社に先駆けると言うが、実際のサービス開始時期はほぼ同時になるだろう。シャープのサービスは、現在は単独で進められているようだが、これらの中で群を抜くという実感に乏しい」との質問があった。
この質問に対して岡田氏は「アライアンスについてはオープンに、色々なところと組ませて頂きたい。本日は発表できなかったが、話を進めているところはいくつかある」と説明。「これまでシャープは、携帯電話やZAURUSなど、色々な製品を作り、使い勝手を高めてきた。シャープが培ってきたノウハウをオープンなところに持ち込んで、進化するガラパゴスにしていきたい」と強調した。
また、「他社の端末やサービスに対し、どのコアコンピタンスで競争力を発揮できるか」との質問に対しては、同社が「定期購読コンテンツを見逃さないよう、プッシュで配信する機能がある」と説明。これに対して記者が再度「プッシュ型は他社ではできないのか」と尋ねると、「当然できないことはないが、他社に先駆けてやろうということ。サービスの進化を同時に進めていきたい」と回答した。