質疑応答では具体的事例に質問が集中
「専用端末は2012年に100万台市場に」 − ソニー「Reader」発表会レポート
別項でお伝えしている通り、ソニーは電子書籍リーダー“Reader”2機種を発表。本項では本日開催された発表会の模様をお届けする。
発表会には、ソニーマーケティング(株)代表取締役社長の栗田伸樹氏と、米国ソニー・エレクトロニクス シニア・バイス・プレジデントの野口不二夫氏が出席。製品の導入戦略や電子書籍事業に対する展望を語った。
■質疑応答で質問が集中 − 「専用端末は2012年に100万台市場に」
発表会では、製品に対する関心の高さを物語るかのようにメディアから質問が集中。説明会本編であまり触れられなかった具体的な事例についての質問も多かったため、まずは質疑応答の模様から報告しよう。
まず「Reader Store」で開設時に取り扱う商品点数について参入が決定している出版社の数などを訊ねられたが、「様々な出版社から反響があることもあり、準備が整い次第お出しできるのではないか」と回答。「タイミングの問題もあるので、まず2万点からスタートして順次増やしていきたい」とした。定期購読サービスについても「今後の展開として検討している」と述べた。
書籍データを購入後にパソコンやReaderが壊れてしまった場合については、「IDに基づいて購入履歴などを管理しているので、再ダウンロードは可能にする予定」だと回答。
また、「Reader Store」以外の電子書籍ストアとの相互運用性については「技術的には可能だ。技術面よりもビジネスマターという側面が大きい。ソニーとしても話があれば拒否するものではない」と将来的な可能性に言及。購入したデータをスマートフォン用アプリなどでも読めるのかとも訊ねられると「確かに米国ではiPhoneアプリを提供しているが、日本ではコンテンツ供給側がどこまで開放してくれるのかといった議論が必要だ」とコメントした。
そしてインターネット通信機能を持ったモデルを国内投入しない点については、「日本でもなるべく早くReaderを導入したかった」からだと理由を説明。「アメリカでのビジネスモデルが日本でも成り立つのかなど、日本に適しているモデルを検討中だ」と、状況を見ながら今後の展開を検討していくとした。
なお、「Reader Store」で販売する書籍のDRM技術についてはMarlinを採用。「海外では同じDRM技術を採用しているグループ内では横展開が可能なオープンな展開をとっているが、日本での方針はどうなのか」と問われると、「Marlinは日本ではテレビ配信などにも使われているオープンなものとして実績がある。今後広がっていく様々なフォーマットについては状況を見ながら対応していきたい」と回答。「逆に言えば、オープンなDRMであるという点ではアメリカも日本も考え方としては同じものであると捉えている」と言葉を続けた。
そのほか、販売目標については「発売後の1年で30万台を売りたい」とコメント。「電子書籍の専用端末というビジネスは2012年には100万台を超えると見ている」と語り、「その中の50パーセントくらいを獲得できるようにしたい」と将来的なシェア目標も明かした。
さらに、国内での販売チャネルについて、当初は家電量販店などを中心に行っていくとしながらも「書店での端末販売についても状況を見ながら検討していきたい」と語った。
また、海外での販売状況についても「昨年で30〜35パーセントほどのシェアだった。今年度の数字はまだ正確には分からないが、価格下落があったことや、参入メーカーが昨年の2社から3社へと増えていることなどから、若干下がるのではないか」と述べた。
そして、競合商品との違い、およびソニーならではの強みについて質問されると「タッチパネルであることがまず1点。また、電子書籍端末では、操作している時間のほぼ全てが本を読むのに費やされる。いかに読みやすいものにするかに配慮している点も強みだ」とした。
■「2014年には書籍市場全体の10パーセントが電子書籍になる」
発表会の本編では、まず野口氏が登壇。電子書籍事業を、音楽、映像、ゲームに続く「ソニーとして4つめのエンターテイメント」だと位置づけ、ビジネスの大きな柱として展開していくつもりであることなどを語った。
電子書籍事業について、野口氏は最初に同社の歩みを紹介。1990年に発売した“データディスクマン”「DD-1」や、2004年に発売した“LIBRLe”「EBR-1000EP」などに触れながら、「“LIBRLe”があったからこそ今の“Reader”があり、また、他社も含めた今日の電子ビジネスもありえたと思っている」と、実績を改めて紹介した。
そして、イギリスの書店「WaterStone's」で販売を行った際にはすぐに売り切れたことも紹介。海外で非常に好評であることも説明する。
また、北米での電子書籍市場についても説明。従来のシェアを電子書籍が紙から奪うのではなく、紙の書籍の上に電子書籍が上積みされる格好で市場全体が拡大しているというデータを紹介した。
そしてまた、タブレットPCと専用端末とでの電子書籍の利用率の違いについても、専用端末のほうが非常に高いというデータも紹介。これらの状況などから、「2014年には書籍市場全体の約10パーセントが電子書籍になるのではないかと見ている」と語った。
さらに野口氏は「電子書籍はグーテンベルグ以来の大きな進化」だとコメント。こうした大きな転換期において「世界と未来へ文化の橋渡し」「歴史有る地域文化の尊重」「オープンな戦略」という3点をもってビジネスを展開していくとした。
続いて登壇した栗田氏は、日本においては書籍を月3冊以上購入するユーザーが全体の21パーセントであるというデータを紹介。さらに、購入される書籍全体の63パーセントがそのユーザーによるものであると明かし、「2,000万人の『読書好き』のお客様に」との言葉とともに、“Reader”の国内導入にあたってはヘビーユーザーを主なターゲットに据えていると述べた。
さらに栗田氏は、そうした書籍のヘビーユーザーの54パーセントが電子書籍に興味を持っているとコメント。保管場所が少なくて済むという省スペース性や、ひとつの機器に大量の本を入れて持ち運べるポータビリティに対する期待が高いことも紹介し、“Reader”がまさにそうしたニーズに応えるものであると語った。
また、併せて「電子書籍を利用したくない理由調査」というデータも紹介。「電子画面で文字を読むのが疲れる」といった回答に対して、文字の読みやすい電子ペーパーを採用して問題をクリアしていることなどを述べた。さらに、デザインについてもボタンを極力少なくして読書の邪魔にならないようにするなど、書籍の読み心地へのこだわりを改めて紹介した。
発表会には、ソニーマーケティング(株)代表取締役社長の栗田伸樹氏と、米国ソニー・エレクトロニクス シニア・バイス・プレジデントの野口不二夫氏が出席。製品の導入戦略や電子書籍事業に対する展望を語った。
■質疑応答で質問が集中 − 「専用端末は2012年に100万台市場に」
発表会では、製品に対する関心の高さを物語るかのようにメディアから質問が集中。説明会本編であまり触れられなかった具体的な事例についての質問も多かったため、まずは質疑応答の模様から報告しよう。
まず「Reader Store」で開設時に取り扱う商品点数について参入が決定している出版社の数などを訊ねられたが、「様々な出版社から反響があることもあり、準備が整い次第お出しできるのではないか」と回答。「タイミングの問題もあるので、まず2万点からスタートして順次増やしていきたい」とした。定期購読サービスについても「今後の展開として検討している」と述べた。
書籍データを購入後にパソコンやReaderが壊れてしまった場合については、「IDに基づいて購入履歴などを管理しているので、再ダウンロードは可能にする予定」だと回答。
また、「Reader Store」以外の電子書籍ストアとの相互運用性については「技術的には可能だ。技術面よりもビジネスマターという側面が大きい。ソニーとしても話があれば拒否するものではない」と将来的な可能性に言及。購入したデータをスマートフォン用アプリなどでも読めるのかとも訊ねられると「確かに米国ではiPhoneアプリを提供しているが、日本ではコンテンツ供給側がどこまで開放してくれるのかといった議論が必要だ」とコメントした。
そしてインターネット通信機能を持ったモデルを国内投入しない点については、「日本でもなるべく早くReaderを導入したかった」からだと理由を説明。「アメリカでのビジネスモデルが日本でも成り立つのかなど、日本に適しているモデルを検討中だ」と、状況を見ながら今後の展開を検討していくとした。
なお、「Reader Store」で販売する書籍のDRM技術についてはMarlinを採用。「海外では同じDRM技術を採用しているグループ内では横展開が可能なオープンな展開をとっているが、日本での方針はどうなのか」と問われると、「Marlinは日本ではテレビ配信などにも使われているオープンなものとして実績がある。今後広がっていく様々なフォーマットについては状況を見ながら対応していきたい」と回答。「逆に言えば、オープンなDRMであるという点ではアメリカも日本も考え方としては同じものであると捉えている」と言葉を続けた。
そのほか、販売目標については「発売後の1年で30万台を売りたい」とコメント。「電子書籍の専用端末というビジネスは2012年には100万台を超えると見ている」と語り、「その中の50パーセントくらいを獲得できるようにしたい」と将来的なシェア目標も明かした。
さらに、国内での販売チャネルについて、当初は家電量販店などを中心に行っていくとしながらも「書店での端末販売についても状況を見ながら検討していきたい」と語った。
また、海外での販売状況についても「昨年で30〜35パーセントほどのシェアだった。今年度の数字はまだ正確には分からないが、価格下落があったことや、参入メーカーが昨年の2社から3社へと増えていることなどから、若干下がるのではないか」と述べた。
そして、競合商品との違い、およびソニーならではの強みについて質問されると「タッチパネルであることがまず1点。また、電子書籍端末では、操作している時間のほぼ全てが本を読むのに費やされる。いかに読みやすいものにするかに配慮している点も強みだ」とした。
■「2014年には書籍市場全体の10パーセントが電子書籍になる」
発表会の本編では、まず野口氏が登壇。電子書籍事業を、音楽、映像、ゲームに続く「ソニーとして4つめのエンターテイメント」だと位置づけ、ビジネスの大きな柱として展開していくつもりであることなどを語った。
電子書籍事業について、野口氏は最初に同社の歩みを紹介。1990年に発売した“データディスクマン”「DD-1」や、2004年に発売した“LIBRLe”「EBR-1000EP」などに触れながら、「“LIBRLe”があったからこそ今の“Reader”があり、また、他社も含めた今日の電子ビジネスもありえたと思っている」と、実績を改めて紹介した。
そして、イギリスの書店「WaterStone's」で販売を行った際にはすぐに売り切れたことも紹介。海外で非常に好評であることも説明する。
また、北米での電子書籍市場についても説明。従来のシェアを電子書籍が紙から奪うのではなく、紙の書籍の上に電子書籍が上積みされる格好で市場全体が拡大しているというデータを紹介した。
そしてまた、タブレットPCと専用端末とでの電子書籍の利用率の違いについても、専用端末のほうが非常に高いというデータも紹介。これらの状況などから、「2014年には書籍市場全体の約10パーセントが電子書籍になるのではないかと見ている」と語った。
さらに野口氏は「電子書籍はグーテンベルグ以来の大きな進化」だとコメント。こうした大きな転換期において「世界と未来へ文化の橋渡し」「歴史有る地域文化の尊重」「オープンな戦略」という3点をもってビジネスを展開していくとした。
続いて登壇した栗田氏は、日本においては書籍を月3冊以上購入するユーザーが全体の21パーセントであるというデータを紹介。さらに、購入される書籍全体の63パーセントがそのユーザーによるものであると明かし、「2,000万人の『読書好き』のお客様に」との言葉とともに、“Reader”の国内導入にあたってはヘビーユーザーを主なターゲットに据えていると述べた。
さらに栗田氏は、そうした書籍のヘビーユーザーの54パーセントが電子書籍に興味を持っているとコメント。保管場所が少なくて済むという省スペース性や、ひとつの機器に大量の本を入れて持ち運べるポータビリティに対する期待が高いことも紹介し、“Reader”がまさにそうしたニーズに応えるものであると語った。
また、併せて「電子書籍を利用したくない理由調査」というデータも紹介。「電子画面で文字を読むのが疲れる」といった回答に対して、文字の読みやすい電子ペーパーを採用して問題をクリアしていることなどを述べた。さらに、デザインについてもボタンを極力少なくして読書の邪魔にならないようにするなど、書籍の読み心地へのこだわりを改めて紹介した。