<山本敦のAV進化論 第69回>
Ultra HD Blu-rayで「技術資産をフル活用」。パナソニック製プレーヤーの開発状況を聞く
パナソニックの甲野氏は、IFAで展示した実動機とCESで展示した参考出品機の違いについて説明する。
「CESの時点ではUltra HD Blu-rayの規格ができていなかったので、ハードは『次世代BDディスクでは4K/HDR/10bitあたりが主要なスペックになるだろう』と見込みをつけてつくったものでした」
「今回IFAの時点では規格のVer.1が定まっていましたので、同じく4K/HDR、HDMI2.0a対応ディスプレイの試作機をHDMIで接続し、Ultra HD Blu-rayのフォーマットに合わせた信号を記録したディスクを再生しています。外観は同じように見えるかもしれませんが、中身の技術開発は進んでいます」
甲野氏が「見た目に変わらない」と語る本体のデザインは、CESに出展されたものに比べると、筆者の目にはかなり変わったように見える。日本で発売されているBDレコーダーの「DIGA」シリーズに似ている。
日本では「DIGA」としてUltra HD Blu-ray再生対応機器が発売されるのだろうか。ストレートに訊いてみたが、「日本ではプレーヤー以外にもレコーダーという選択肢があり得ますが、現時点では世界のどの地域で発売するかも含めて、詳細を答えることはできない」という回答だった。
もっとも、Ultra HD Blu-rayの再生対応機器が日本で発売されないことはあり得ない。DIGAの新機種として準備が進められている可能性が高そうだ。
HDRのデモンストレーション映像の選択にも気を配っているという。一般的に4K/HDRのデモコーナーでは、眩しいほどの光や真っ暗なシーンを収録したやや強調気味な映像が使われることも多いが、パナソニックのブースではあえて自然の風景をそのまま収録したオリジナルの映像が使われていた。その意図について森氏が説明する。
「派手さはありませんが、明るいところまで自然になめらかな階調感が表現でき、HDRの特徴がよりわかりやすい映像を選びました。私たちも最初は明暗のコントラストを強調したデモがふさわしいと考えていました。確かに最初のインパクトは明らかなのですが、現実にはこのような映像をずっと見続けることはないはずです」
「ある時、今回のデモで使っているような自然の風景を試作機のテレビに表示したところ、まさに肉眼で見る景色に迫るリアリティを実感し、これこそがHDRの醍醐味だということに気が付きました。そこで今回のデモ映像として使うことにしました。おそらくコンテンツ制作側も、4K/HDRという表現の器をつかって、どんな表現ができるのか、ベストの表現方法を手探りでチャレンジしているのではないでしょうか」