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<ヘッドホン祭>フォスターが製品開発に向けたアライアンス「FOSTER Alliance Program」発表。独自技術をパートナーに提供

公開日 2018/10/27 10:49 編集部:押野 由宇
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フォスター電機は、本日から開催の「秋のヘッドフォン祭 2018」にて、新しい製品開発や技術の実現に向けたアライアンス「FOSTER Alliance Program」を発表した。

本プログラムは、フォスター電機とパートナー企業の間で製品開発エコシステムを構築することを目的としたもので、同社は「ヘッドホン・イヤホン市場の活性化に寄与できるものと確信している」とアピールする。

フォスター電機モバイルオーディオ第2営業部 部長代行 河合英俊氏

具体的には、フォスター電機がパートナー企業に対して、製品試作に向けて5種類のダイナミックドライバーと、詳細な技術資料を無償で提供。また共同プロモーションとしてCESでの展示や発表時の説明サポートなどを行う。

一方のパートナー企業は、開発した商品の試作品をフォスター電機に貸与するほか、提供ドライバーに関するレポートを年1件以上提出する、そして事例紹介に関する許諾を行うといった活動を行う。

「FOSTER Alliance Program」のイメージ

フォスター電機はこのアライアンスについて、「相互補完により成立するエコシステム」と説明。フォスター電機とパートナー企業、どちらか一方が持つ技術を互いに提供し、補完することで新しい製品開発に活かしていく、というものだ。

また、フォスター電機はこのアライアンスを立ち上げた理由について、「カスタムIEMを製造する企業には、小売店で販売されるイヤホン・ヘッドホンを購入し、それを分解してフォスター電機製のユニットを抜き出して活用されていることがあるという話を聞いた。そこまでフォスター電機製ユニットを支持いただけているということに、どうにか対応できないかと考えた」と説明。

さらに「市場環境が変化し、様々な生活シーンに音響技術が搭載されてきた。フォスター電機としても、従来からのイヤホン・ヘッドホンに限らず、多様な用途で技術を活かしていきたい」と続けた。

そのうえで、「そのためには自社だけで活動することに限界がある。そのことから、パートナー企業とともに、より一層良い音響部品を開発していければと考えている」という。実際、すでに展開が進められており「パートナー企業との取り組みにおいて、フォスター電機だけでは思いつかなかったようなアイディアを多くいただくことができた。可能性を広げる作業を実現できた良い例になっていると思う」と手応えが語られた。

なお本アライアンスには、国内外を問わず、またイヤホン・ヘッドホンに限らず参加できる。国内ではFitEar、カナルワークス、くみたてLabが参加している。

また本日、アライアンス発表の場にて、アライアンスにて提供される5種類のダイナミックドライバーについてもアナウンスされた。

「MT006B」は、広帯域、低歪といったダイナミック型の長所を最大限活かしつつ、バランスド・アーマチュア型に匹敵する業界最小クラスとなる6mmサイズを実現したモジュール構造を持つことが特徴のイヤホンドライバーユニット。

「MT006B」ドライバーユニット

「MT006B」構造イメージ

音響面においてドライバーユニット後室容積の影響が小さく、また通常のダイナミックドライバーでは難しかったイヤホン内スペース確保が可能なため、電子回路やバッテリーなどを搭載したワイヤレスイヤフォンの設計や、ドライバーの複数個使い、超小型イヤホンなどへの採用が可能だという。

「MT009B」は、イヤホンドライバーをモジュール化して音響回路を構成する特許技術を用いたドライバーユニットで、筐体構造依存度の低い安定した音響性能を実現するという。このことから、気密性の高い密閉型イヤホンから、一般的なカナル型イヤホンまで幅広く対応し、バランスド・アーマチュアドライバーとの組み合わせなど、使い勝手が良いドライバーと説明される。

「MT009B」ドライバーユニット

「MT009B」構造イメージ

「MT014A」は、14mmというサイズながら、小型ドライバーユニットにおいては成形加工が難しい「バイオダイナ振動板」「フリーエッジ」を使用。それでいて低いf0、低歪、優れたリニアリティーを実現しており、自由度の高い設計が楽しめるというイヤホンドライバーユニット。

「MT014A」ドライバーユニット

「MT014A」構造イメージ

「高い音響スペック」と「大量生産の中で培われた均一性」といった音響スペックを満たし、優れたリニアリティーにより、アコースティックチューニング、ノイズキャンセリングなどのアクティブチューニングのどちらにも、良好な反応が期待できるとしている。

「MT040A」は、振動板材質に、超極細なバイオセルロース繊維素材を使用した「バイオダイナ振動板」を採用するとともに、「ネオジムマグネット」使用の高性能磁気回路を搭載。 振動板の能力を余すところなく引き出し、極めてリアルな中高域の再生と高解像度を実現するという40mm径のヘッドホンドライバーユニット。

「MT040A」ドライバーユニット

「MT040A」構造イメージ

「MT050A」は、磁束密度1テスラの磁気回路を搭載、音質を重視したハイエンドヘッドホンに最適とする50mm径のヘッドホンドライバーユニット。本ユニットにも「バイオダイナ振動板」を採用するほか、振動板を支えるエッジ部分は「フリーエッジ」となっており、低域からハイレゾ帯域まで十分にカバーした広いダイナミックレンジを実現するとしている。

「MT050A」ドライバーユニット

「MT050A」構造イメージ

発表会には、パートナー企業であるFitEarの須山慶太氏も登壇した。須山氏は、今回フォスター電機のユニットを使用したモデルの開発を進めた印象について問われると、「ユニットが良すぎた」と回答。「このユニットの音をどうやったらマイナスすることなく仕上げられるか、ということがテーマとなった」という。一方、「これまでの業界標準となっていたユニットを用いた場合は遮蔽性の高い設計としていたが、今回のユニットではその設計と音作りの方向がまるで逆だった」とのエピソードが語られた。

FitEar代表の須山慶太氏

また、「やりたいというアイディアがあるけれど、実際にどうすればよいかわからないという方に向けて、スターターキットといったものがあれば」との要望も寄せられた。

それに対し、フォスター電機の担当者は「密閉型用のドライバーユニットをラインナップに追加していくことを検討したい。またDIYのように作業が行えるスターターキットなども、前向きに考えていきたい」と積極的な姿勢で答えた。

そして、「今回の初回発表だけで終わらず、継続して情報発信を続けていきたい。次回には、一般ユーザーの方のハンズオンなども発表できればと考えている」と今後の展望について述べた。

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