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驚きの規模とスピード感

テレビ年間1,800万台販売、ハイセンス開発・生産拠点を訪ねてわかった“躍進の理由”

公開日 2019/07/26 06:30 編集部:風間雄介(Yusuke Kazama)
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技術開発・商品開発を行うR&Dセンターを訪問

さて、ハイセンスのテレビは、E6800シリーズやE8000シリーズ、そしてU7Eシリーズなどをはじめ、その高いコストパフォーマンスが近年話題となっている。では、その武器は安さだけかというと、もちろんそうではない。技術力の高さが、同社をここまでの存在に押し上げたのだ。

世界各国、各地域によって、テレビに求められるものは異なる。たとえば日本であれば、他国に比べて「画質」に対する要求が厳しいとは良く言われること。デザインの好みも各国によって異なるし、その国独自のサービスへ対応する必要が出てくる。

それらの基準や各国ごとに異なる嗜好をしっかり汲み取り、その期待の上をいく技術開発力、そして製造力がなければ、グローバルでこれだけ高いシェアを獲得することは不可能だったはずだ。

その商品群の開発を行っているのが、同社が誇るR&Dセンターだ。青島郊外にあるこの拠点を訪れてみると、まずその広さに驚かされる。見渡す限り、巨大な開発棟が数十棟は建ち並び、視界に入りきらない。同社のスケールの大きさを思い知らされた。

ハイセンスのR&Dセンター。これは全体のうちのごく一部

機密が多いため外観しか撮影できなかったが、中に入ると、ハイセンスの技術の源泉を垣間見ることができた。

たとえば、パネルモジュールの光学テストを行う機器は、全自動で5軸移動しながら測定を全自動で繰り返し、視野角など様々なパネル特性を調べられるというもの。コニカミノルタなどと共同開発したもので、1台1,800万円という代物だ。

2時間程度でパネルの素性を洗い出すことができ、その結果を受けて商品に使えるかどうか、そして画質チューニングの際、その特性をどう活用すべきか、すぐにデータを引き出せる。こういった機器があれば、開発の迅速化につながる。ちなみに中国メーカーで、全自動測定機を所有しているのはハイセンスだけとのこと。この高価な機材を、ハイセンスは2つ所有している。

上空からみたR&Dセンター。巨大な研究開発棟がいくつも立ち並んでいる様子がわかる(写真はハイセンス提供)

そのほか、ドイツLANDTOP FAIST社製の、巨大な無響室も見ることができた。無響室というとスポンジで壁面や天井が覆われた部屋を思い浮かべる方も多いだろうが、ハイセンスが所有している無響室はそうではなく、シルバーの一見平板な壁面が特徴。また特徴的なのは、床面に小さな穴が無数にあり、下に空洞部分が広がっていることだ。ここでテレビなど様々な機器のノイズを測り、静粛性を高める開発に活かしている。

機器の耐久性を調べるために、高温や低温、高湿などの過酷な環境下での試験は欠かせない。そういった状況を擬似的に作り出す大型の試験器があり、その中に商品を入れてテストするのだが、このR&Dセンターには、低温試験を行うための機器が11基、高温試験を行うための機器が5基あるとのこと。ここまで多くの施設を揃え、長期間のテストを行っていることが、製品の品質向上に貢献している。

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