ガジェット当面ソニー以外は製造できなさそう
Apple Vision Pro搭載の「OLEDマイクロディスプレイ」、ソニーが1年以上前に公開していた
アップルの空間コンピュータ「Apple Vision Pro」が持つ大きな強みの1つは、内部ディスプレイの解像度だろう。両目合わせて2300万ピクセルという密度は、Meta Quest Pro(約703万ピクセル)等と比べても圧倒的だ。
このディスプレイについて、公式には「micro-OLEDテクノロジーにより、広色域とハイダイナミックレンジを備えた切手サイズ」「4Kテレビよりも多くの画素数がそれぞれの目に用意されている」以上の説明はない。だが、パネルをソニーが一社独占で供給していることは広く知られている。
そして、実はソニーが1年以上前に、このディスプレイ技術を披露していたと米9to5Macが主張している。
このディスプレイに使われている技術は、一般的には「OLED on Silicon」、通称「OLEDoS」と呼ばれているものだ。すなわちバックプレーンとしてガラス基板の代わりにシリコンウェハーを使ったパネルであり、ソニーが圧倒的な存在感を誇っている。
しかし、当のソニーは「OLEDマイクロディスプレイ(OLED Microdisplay)」という名称を使っている。複数の用語が入り乱れていることもあり、Apple Vision Pro報道でも「マイクロLED」と誤記しているメディアも少なからずあったようだ。
さて9to5Macが紹介しているのは、2021年末のSony Technology Day開催時に公開されたプロモーションビデオである。
ここでお披露目された「HMD用ディスプレイ」は片目で4K、両目で8Kを実現。細かい文字や素材の質感まで、映像が現実さながらだと言われている。まさにApple Vision Proの内部ディスプレイそのものだ。
ピクセルなりドットが認識されるとディスプレイを見ているような感覚になるため、リアルな映像体験のためには、多くのドットを拡大しても見えないようにする必要がある。また限られたフォームファクターに収めるよう、パネルサイズも小さくしなければならない。
この2つの要求に対して、1インチあたり4Kという超高解像度のOLEDマイクロディスプレイを開発。このディスプレイはスマートフォン用有機ELと比べてドット数が2倍以上となり、パネルサイズを約20分の1に縮小することができる、とソニーは説明している。
実際、当時メディア関係者がこのヘッドセットを試用していたが、「ドット感」が一切ないと驚いていた。同パネルの生産には、ソニーが得意とするイメージセンサーの製造に用いる微細加工技術や高度なパッケージング技術が活かされているというから、競合他社の追随を許さないのだろう。
さらにビデオでは、超低遅延も解像度と並んで重要な要素だと述べられている。ユーザーがどこを見ているかを把握し、先回りして描画していくことで、遅延を通常の0.1秒から0.01秒以下にまで短縮できたという。
なぜ低遅延が重要かといえば、頭の動きと映像の動きのズレ(遅延)がVR酔いの原因の1つになるからだ。複数のセンサーから得たデータと遅延補完技術を組み合わせたアプローチは、まさにApple Vision Proそのものである。
しかし、その高度な製造プロセスゆえに、ソニーの年間パネル生産能力は90万台にすぎず、2024年内のApple Vision Pro出荷台数もせいぜい数十万台と予想する報道もあった。アップルはソニーに生産能力を拡大するよう要請したが、ソニーは拒否したとのことだ。
Apple Vision ProでのAR/VR体験が卓越していることは、実際に被ってみた複数の識者らが伝えており、疑いはないだろう。しかし、その体験が多くの人に届くのは数年先のことになるのかもしれない。
Source: Sony(YouTube)
via: 9to5Mac
このディスプレイについて、公式には「micro-OLEDテクノロジーにより、広色域とハイダイナミックレンジを備えた切手サイズ」「4Kテレビよりも多くの画素数がそれぞれの目に用意されている」以上の説明はない。だが、パネルをソニーが一社独占で供給していることは広く知られている。
そして、実はソニーが1年以上前に、このディスプレイ技術を披露していたと米9to5Macが主張している。
このディスプレイに使われている技術は、一般的には「OLED on Silicon」、通称「OLEDoS」と呼ばれているものだ。すなわちバックプレーンとしてガラス基板の代わりにシリコンウェハーを使ったパネルであり、ソニーが圧倒的な存在感を誇っている。
しかし、当のソニーは「OLEDマイクロディスプレイ(OLED Microdisplay)」という名称を使っている。複数の用語が入り乱れていることもあり、Apple Vision Pro報道でも「マイクロLED」と誤記しているメディアも少なからずあったようだ。
さて9to5Macが紹介しているのは、2021年末のSony Technology Day開催時に公開されたプロモーションビデオである。
ここでお披露目された「HMD用ディスプレイ」は片目で4K、両目で8Kを実現。細かい文字や素材の質感まで、映像が現実さながらだと言われている。まさにApple Vision Proの内部ディスプレイそのものだ。
ピクセルなりドットが認識されるとディスプレイを見ているような感覚になるため、リアルな映像体験のためには、多くのドットを拡大しても見えないようにする必要がある。また限られたフォームファクターに収めるよう、パネルサイズも小さくしなければならない。
この2つの要求に対して、1インチあたり4Kという超高解像度のOLEDマイクロディスプレイを開発。このディスプレイはスマートフォン用有機ELと比べてドット数が2倍以上となり、パネルサイズを約20分の1に縮小することができる、とソニーは説明している。
実際、当時メディア関係者がこのヘッドセットを試用していたが、「ドット感」が一切ないと驚いていた。同パネルの生産には、ソニーが得意とするイメージセンサーの製造に用いる微細加工技術や高度なパッケージング技術が活かされているというから、競合他社の追随を許さないのだろう。
さらにビデオでは、超低遅延も解像度と並んで重要な要素だと述べられている。ユーザーがどこを見ているかを把握し、先回りして描画していくことで、遅延を通常の0.1秒から0.01秒以下にまで短縮できたという。
なぜ低遅延が重要かといえば、頭の動きと映像の動きのズレ(遅延)がVR酔いの原因の1つになるからだ。複数のセンサーから得たデータと遅延補完技術を組み合わせたアプローチは、まさにApple Vision Proそのものである。
しかし、その高度な製造プロセスゆえに、ソニーの年間パネル生産能力は90万台にすぎず、2024年内のApple Vision Pro出荷台数もせいぜい数十万台と予想する報道もあった。アップルはソニーに生産能力を拡大するよう要請したが、ソニーは拒否したとのことだ。
Apple Vision ProでのAR/VR体験が卓越していることは、実際に被ってみた複数の識者らが伝えており、疑いはないだろう。しかし、その体験が多くの人に届くのは数年先のことになるのかもしれない。
Source: Sony(YouTube)
via: 9to5Mac