受賞作は「鉄を食らうものたち」
アース・ビジョン「第17回地球環境映像祭」大賞受賞作決定
3月6日(金)〜8日(日)の期間、東京の四谷区民ホールで第17回地球環境映像祭本祭が開催され、大賞など3本が決定した。
「アース・ビジョン 地球環境映像祭」は、1992年より毎年東京で開催されている国際環境映像祭。毎月の定期上映会「アース・ビジョン in 新宿御苑」や、各地での上映会「Best of EARTH VISION」を開催し、述べ1万7000人以上の観客を得ている。
本祭では、毎年、アジア・オセアニアの監督を招き、環境映像をコンペティション形式で紹介しているが、今年は21の国と地域から122作品の応募があり、その中から第1次、第2次審査を通過した9作品がアースビジョン環境映像部門に入賞を果たし、6日からの本祭で上映が行われた。この9本から審査の後、8日に以下の各賞が決定した。
アースビジョン大賞を受賞したのは、バングラデシュのシャヒーン・ディル・リアズ監督の「鉄を喰らう者たち」。バングラデシュ南部、チッタゴンの大型船舶解体現場を取材し、過酷な労働の現場と労働者に借金を追わせて賃金を支払わない搾取構造を描き出している。巨大な大型タンカーの解体現場は神話的なイメージを思わせる驚くべき作品だ。
シャヒーン・ディル・リアズ氏:1969年バングラデシュのダッカ生まれ。映像作家として活動をはじめ、ドイツのベルリン、ポツダムに留学。現在、ヨーロッパとアジアで監督、撮影監督として活躍している。「貧しい労働者たちも仕事をして人間としての尊厳を持っている。その尊厳を受け入れてくれたことに感謝しています」
審査員の前田哲爾氏は大賞受賞作について、「この労働者搾取の現実はかつて日本で行われ、また世界各地でも色々なところで行われており普遍性を持っている。ここには世界のあらゆる問題の凝縮がある。丹念に長期取材した見事な映像で大賞にふさわしい風格をもった作品だ」とコメントした。
審査委員特別賞は、坂田雅子監督の「花はどこへいった」。フォト・ジャーナリストの夫の死の原因を求めて監督は、彼が米軍兵士として戦場で枯れ葉剤を浴びたベトナムへと赴く。ベトナム戦争で枯葉剤をあびた夫の急逝をきっかけに、枯葉剤の実態についてベトナムを訪れて取材した作品だ。審査員は「個人の力を感じさせる。戦争は昔の問題でなく、起きた被害は今も続いていることを知らせている作品だ」等と評価した。
最優秀作品賞はオーストラリアのベテランドキュメンタリスト、サリー・イーグルトン監督の「シード・ハンター」。オーストラリア人科学者が急速に消滅しつつある原種種子を求めて世界の各地に赴く姿を追い、地球温暖化と食料問題について考えさせる。
入賞作品は「波に流され踊る」。少数民族バジャウは、古より美しい船を造り、海の上で船を操り、生きてきた。しかし現代、陸のスラムの放浪者となった。現代文明と戦争の混乱の中に消え行く少数民族の文化を、丹念で美しい映像で描いた。
来日した「波に流され踊る」のナネット・マンディラ監督は、テレビ、映画、出版の分野でマルチに活躍するフィリピンの作家、映像制作者。今回は伝統舞踊の継承者として、授賞式で見事な踊りを披露した。
総評として審査委員長の前田氏は「今年も渾身の作品が集まった。入賞作品を見て強く感じたことは今世界で起きている現実の中で多くの人に見えにくくなっている事があり、各作品は見えないものをヴィジュアル化して見えるものにしていることだ」と述べた後、各入賞作についてコメントして、入賞作品を讃えた。
子どものための環境映像部門では、欧米を含む世界各地から短篇映像が集まった。中から子どもアース・ビジョン賞が9本選ばれ、クレイアニメ「動物が地球を救う」(「アニマルプラネット」社製作)が子どもアース・ビジョン大賞を受賞。この部門では、世界が注目している気鋭のアニメーション作家の作品も多く、注目を集めていた。
地球環境映像祭の年間の上映会活動や、本年の入賞作品についての詳細は、下記のHPで知る事ができる。
アースビジョン・地球環境映像祭
http://www.earth-vision.jp/
「アース・ビジョン 地球環境映像祭」は、1992年より毎年東京で開催されている国際環境映像祭。毎月の定期上映会「アース・ビジョン in 新宿御苑」や、各地での上映会「Best of EARTH VISION」を開催し、述べ1万7000人以上の観客を得ている。
本祭では、毎年、アジア・オセアニアの監督を招き、環境映像をコンペティション形式で紹介しているが、今年は21の国と地域から122作品の応募があり、その中から第1次、第2次審査を通過した9作品がアースビジョン環境映像部門に入賞を果たし、6日からの本祭で上映が行われた。この9本から審査の後、8日に以下の各賞が決定した。
アースビジョン大賞を受賞したのは、バングラデシュのシャヒーン・ディル・リアズ監督の「鉄を喰らう者たち」。バングラデシュ南部、チッタゴンの大型船舶解体現場を取材し、過酷な労働の現場と労働者に借金を追わせて賃金を支払わない搾取構造を描き出している。巨大な大型タンカーの解体現場は神話的なイメージを思わせる驚くべき作品だ。
審査員の前田哲爾氏は大賞受賞作について、「この労働者搾取の現実はかつて日本で行われ、また世界各地でも色々なところで行われており普遍性を持っている。ここには世界のあらゆる問題の凝縮がある。丹念に長期取材した見事な映像で大賞にふさわしい風格をもった作品だ」とコメントした。
審査委員特別賞は、坂田雅子監督の「花はどこへいった」。フォト・ジャーナリストの夫の死の原因を求めて監督は、彼が米軍兵士として戦場で枯れ葉剤を浴びたベトナムへと赴く。ベトナム戦争で枯葉剤をあびた夫の急逝をきっかけに、枯葉剤の実態についてベトナムを訪れて取材した作品だ。審査員は「個人の力を感じさせる。戦争は昔の問題でなく、起きた被害は今も続いていることを知らせている作品だ」等と評価した。
最優秀作品賞はオーストラリアのベテランドキュメンタリスト、サリー・イーグルトン監督の「シード・ハンター」。オーストラリア人科学者が急速に消滅しつつある原種種子を求めて世界の各地に赴く姿を追い、地球温暖化と食料問題について考えさせる。
入賞作品は「波に流され踊る」。少数民族バジャウは、古より美しい船を造り、海の上で船を操り、生きてきた。しかし現代、陸のスラムの放浪者となった。現代文明と戦争の混乱の中に消え行く少数民族の文化を、丹念で美しい映像で描いた。
総評として審査委員長の前田氏は「今年も渾身の作品が集まった。入賞作品を見て強く感じたことは今世界で起きている現実の中で多くの人に見えにくくなっている事があり、各作品は見えないものをヴィジュアル化して見えるものにしていることだ」と述べた後、各入賞作についてコメントして、入賞作品を讃えた。
子どものための環境映像部門では、欧米を含む世界各地から短篇映像が集まった。中から子どもアース・ビジョン賞が9本選ばれ、クレイアニメ「動物が地球を救う」(「アニマルプラネット」社製作)が子どもアース・ビジョン大賞を受賞。この部門では、世界が注目している気鋭のアニメーション作家の作品も多く、注目を集めていた。
地球環境映像祭の年間の上映会活動や、本年の入賞作品についての詳細は、下記のHPで知る事ができる。
アースビジョン・地球環境映像祭
http://www.earth-vision.jp/