充実したBDZの録画機能とテレビが合体!
ソニー“BRAVIA”期待のレコーダーテレビ − HX80R/EX30Rシリーズの魅力にケースイが迫る
BRAVIAのラインナップにナットクの“レコーダーテレビ”が登場した
2010年の年末商戦は薄型テレビ市場で激戦が繰り広げられることは間違いない。理由は薄型テレビの購入時に付与されるエコポイントが年内で終了するからだ。中でも本体に録画機能を備えた「レコーダーテレビ」が台風の目になると筆者は読んでいる。というのもデジタルレコーダー単体ではエコポイントの恩恵には預かれないのだが、レコーダーテレビなら、薄型テレビに録画機能がついてエコポイントまで利用できるという、いいことずくめなのだ。
以前、パナソニックの新製品インタビュー(関連ニュース)でもお伝えしたが、レコーダーテレビの普及率は年々増加しており、売れ筋商品へと育ってきた。好調なスタートを切った東芝のREGZA、日立のWoooに続き、シャープのAQUOS、三菱電機のREAL、パナソニックのVIERAなど、主要メーカーから続々とレコーダーテレビが発売され、売れ行きも好調だ。
その中にあって今ひとつ振るわなかったのがソニーのBRAVIAシリーズだ。2010年春モデルとしてHDD搭載の録画テレビ「BX30Hシリーズ」を発売したが、他社がHDD&BD搭載機や、単体レコーダーとのリンク機能を使ったBDアーカイブ保存機能を備えているのに対して、内蔵HDDにしか録画・保存できないという仕様の製品で、筆者としてはがっかりした覚えがある。
しかし今回発表されたラインアップは、これまでの“がっかり感”を覆し、大いに期待が感じられる製品群になっている。詳細については既報のニュースを参考にしていただきたいが、新しいBRAVIAシリーズは、LEDバックライトを使用しオプションで3D再生にも対応する「HX80Rシリーズ」と、蛍光灯バックライトを搭載するハイCPモデルの「EX30Rシリーズ」の2ラインナップが登場した。
どちらも録画機能は2番組同時AVC録画に対応したBDレコーダーの「BDZ-AT700」(関連ニュース)とほぼ同等の録画機能を備えている。BDZ-AT700は現時点でBDレコーダーに必要な機能をカバーしており、録画機としては不足のない製品に仕上がっている。ようやく2番組同時AVC録画に対応したことで、これまで以上の長時間録画が可能になり、番組の録り逃しも激減すると思われる製品だ。レコーダーテレビの方もデジタルチューナーの搭載は2基までなので、2番組同時録画をするとチャンネルの切り替えに制限が発生するが、これには特に不便は感じないのではないだろうかと思う。
BDZ-AT700シリーズはCDやMP3などの音楽再生機能、デジカメで撮った動画や写真の再生など、マルチメディア再生機能を豊富に揃えているが、これらの機能も新しいBRAVIAのレコーダーテレビで対応している。筆者がこれまでのBDZシリーズで使い倒している「おでかけ転送機能」ももちろん利用できる。この機能があれば録画番組をSCEのゲーム機PSPやウォークマンで再生できるので移動中も録画番組の視聴を消化できるのだ。
HX80R/EX30Rシリーズの魅力
「超薄型のレコーダーテレビ」というコンセプトがHX80Rシリーズが掲げる特長のひとつだ。なんといっても1台でテレビ番組の視聴・テレビ録画、BD再生、マルチメディアファイルの再生が可能なレコーダーテレビを「壁掛け」スタイルでも楽しめるのは大きな魅力だと思う。
これまで壁掛けテレビがいまひとつ普及しなかったのは、テレビ視聴以外のことをするには他の機器との“配線”が必要だったからだ。カタログではいくらかっこいい写真が掲載されていても、テレビにはアンテナ線や通信のためのLANケーブルや電話線、さらには電源ケーブルが必要だ。これにBDプレーヤーやBDレコーダーなどを接続すると、あっという間にテレビ周りは見苦しいことになってしまう。本体がいくら薄型でもレコーダーなどを組み合わせると、どうしてもスッキリとレイアウトするのが難しかった。しかしHX80シリーズならテレビ単体で壁掛けしても最小限のケーブルだけでテレビとBDレコーダーの機能が利用できる。これは画期的だと筆者は思っている。
またオプションを別途購入するだけで3D表示が可能になる“3Dレディ”モデルであるのも魅力的だ。普及はまだまだこれからの感がある3Dだが、今後、映画やゲームで対応ソフトが数多く登場してくるはずだ。またデジカメやムービーなども、今後多くのモデルに3D撮影機能が搭載されてくることが期待できるので、状況に応じて「3D対応テレビ」にバージョンアップできるのは心強い。次々と新しい技術が登場するデジタル機器において、HX80Rシリーズは少なくとも5年は安心して使えるレコーダーテレビだ。
一方で低価格なレコーダーテレビの優等生と言えるのがEX30Rシリーズだ。本機は3Dレディではないが、録画機能はHX80Rシリーズとほぼ同じなので、使い勝手の良さには太鼓判を押せる。とくに26V型は場所をとらずに最新の録画機能を利用できるので、単身者のメインテレビに最適だろう。書斎や寝室などに設置するための2台目・3台目のテレビとしても人気が出そうだ。購入予算を抑えて、使い勝手の良いレコーダーテレビを手に入れたいならこの機種がオススメだ。
HX80R、EX30Rの特性を“全部入り”的な安直な表現でくくることはできない。それはBDレコーダーとして恐ろしく多機能なBDZシリーズのエンジンを搭載したことで、他社のレコーダーテレビとは一線を画する使い心地の良さを備えているからだ。前述したマルチメディア再生機能のほかに、一つの例としてキーワードによる「x-おまかせ・まる録」による自動番組録画機能が挙げられる。この機能をテレビ単体で気軽に使えることで、入力切替えが必要なレコーダーに比べて、格段に魅力的なコンテンツへの“気づき”のチャンスが増えるはずだ。
筆者はソニーが他社に比べて、レコーダーテレビでは出遅れていたのを見かねて、BDレコーダーの開発チームの方にお会いした際、「BDの開発チーム主動でレコーダーテレビを作ってほしい」と話したことがあった。その意見を受け止めてもらえたかどうかわからないが、HX80R、EX30Rともに、これまでのソニーのレコーダーテレビの遅れを一気に挽回し、トップグループへと飛び抜けた製品になったようだ。年末のテレビ商戦では大暴れすること間違い無しのモデルだ。引き続きハンドリングや開発者の方々へのインタビューを試みながら、両製品をより詳しくチェックしていきたいと思う。
◆筆者プロフィール 鈴木桂水
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。
2010年の年末商戦は薄型テレビ市場で激戦が繰り広げられることは間違いない。理由は薄型テレビの購入時に付与されるエコポイントが年内で終了するからだ。中でも本体に録画機能を備えた「レコーダーテレビ」が台風の目になると筆者は読んでいる。というのもデジタルレコーダー単体ではエコポイントの恩恵には預かれないのだが、レコーダーテレビなら、薄型テレビに録画機能がついてエコポイントまで利用できるという、いいことずくめなのだ。
以前、パナソニックの新製品インタビュー(関連ニュース)でもお伝えしたが、レコーダーテレビの普及率は年々増加しており、売れ筋商品へと育ってきた。好調なスタートを切った東芝のREGZA、日立のWoooに続き、シャープのAQUOS、三菱電機のREAL、パナソニックのVIERAなど、主要メーカーから続々とレコーダーテレビが発売され、売れ行きも好調だ。
その中にあって今ひとつ振るわなかったのがソニーのBRAVIAシリーズだ。2010年春モデルとしてHDD搭載の録画テレビ「BX30Hシリーズ」を発売したが、他社がHDD&BD搭載機や、単体レコーダーとのリンク機能を使ったBDアーカイブ保存機能を備えているのに対して、内蔵HDDにしか録画・保存できないという仕様の製品で、筆者としてはがっかりした覚えがある。
しかし今回発表されたラインアップは、これまでの“がっかり感”を覆し、大いに期待が感じられる製品群になっている。詳細については既報のニュースを参考にしていただきたいが、新しいBRAVIAシリーズは、LEDバックライトを使用しオプションで3D再生にも対応する「HX80Rシリーズ」と、蛍光灯バックライトを搭載するハイCPモデルの「EX30Rシリーズ」の2ラインナップが登場した。
どちらも録画機能は2番組同時AVC録画に対応したBDレコーダーの「BDZ-AT700」(関連ニュース)とほぼ同等の録画機能を備えている。BDZ-AT700は現時点でBDレコーダーに必要な機能をカバーしており、録画機としては不足のない製品に仕上がっている。ようやく2番組同時AVC録画に対応したことで、これまで以上の長時間録画が可能になり、番組の録り逃しも激減すると思われる製品だ。レコーダーテレビの方もデジタルチューナーの搭載は2基までなので、2番組同時録画をするとチャンネルの切り替えに制限が発生するが、これには特に不便は感じないのではないだろうかと思う。
BDZ-AT700シリーズはCDやMP3などの音楽再生機能、デジカメで撮った動画や写真の再生など、マルチメディア再生機能を豊富に揃えているが、これらの機能も新しいBRAVIAのレコーダーテレビで対応している。筆者がこれまでのBDZシリーズで使い倒している「おでかけ転送機能」ももちろん利用できる。この機能があれば録画番組をSCEのゲーム機PSPやウォークマンで再生できるので移動中も録画番組の視聴を消化できるのだ。
HX80R/EX30Rシリーズの魅力
「超薄型のレコーダーテレビ」というコンセプトがHX80Rシリーズが掲げる特長のひとつだ。なんといっても1台でテレビ番組の視聴・テレビ録画、BD再生、マルチメディアファイルの再生が可能なレコーダーテレビを「壁掛け」スタイルでも楽しめるのは大きな魅力だと思う。
これまで壁掛けテレビがいまひとつ普及しなかったのは、テレビ視聴以外のことをするには他の機器との“配線”が必要だったからだ。カタログではいくらかっこいい写真が掲載されていても、テレビにはアンテナ線や通信のためのLANケーブルや電話線、さらには電源ケーブルが必要だ。これにBDプレーヤーやBDレコーダーなどを接続すると、あっという間にテレビ周りは見苦しいことになってしまう。本体がいくら薄型でもレコーダーなどを組み合わせると、どうしてもスッキリとレイアウトするのが難しかった。しかしHX80シリーズならテレビ単体で壁掛けしても最小限のケーブルだけでテレビとBDレコーダーの機能が利用できる。これは画期的だと筆者は思っている。
またオプションを別途購入するだけで3D表示が可能になる“3Dレディ”モデルであるのも魅力的だ。普及はまだまだこれからの感がある3Dだが、今後、映画やゲームで対応ソフトが数多く登場してくるはずだ。またデジカメやムービーなども、今後多くのモデルに3D撮影機能が搭載されてくることが期待できるので、状況に応じて「3D対応テレビ」にバージョンアップできるのは心強い。次々と新しい技術が登場するデジタル機器において、HX80Rシリーズは少なくとも5年は安心して使えるレコーダーテレビだ。
一方で低価格なレコーダーテレビの優等生と言えるのがEX30Rシリーズだ。本機は3Dレディではないが、録画機能はHX80Rシリーズとほぼ同じなので、使い勝手の良さには太鼓判を押せる。とくに26V型は場所をとらずに最新の録画機能を利用できるので、単身者のメインテレビに最適だろう。書斎や寝室などに設置するための2台目・3台目のテレビとしても人気が出そうだ。購入予算を抑えて、使い勝手の良いレコーダーテレビを手に入れたいならこの機種がオススメだ。
HX80R、EX30Rの特性を“全部入り”的な安直な表現でくくることはできない。それはBDレコーダーとして恐ろしく多機能なBDZシリーズのエンジンを搭載したことで、他社のレコーダーテレビとは一線を画する使い心地の良さを備えているからだ。前述したマルチメディア再生機能のほかに、一つの例としてキーワードによる「x-おまかせ・まる録」による自動番組録画機能が挙げられる。この機能をテレビ単体で気軽に使えることで、入力切替えが必要なレコーダーに比べて、格段に魅力的なコンテンツへの“気づき”のチャンスが増えるはずだ。
筆者はソニーが他社に比べて、レコーダーテレビでは出遅れていたのを見かねて、BDレコーダーの開発チームの方にお会いした際、「BDの開発チーム主動でレコーダーテレビを作ってほしい」と話したことがあった。その意見を受け止めてもらえたかどうかわからないが、HX80R、EX30Rともに、これまでのソニーのレコーダーテレビの遅れを一気に挽回し、トップグループへと飛び抜けた製品になったようだ。年末のテレビ商戦では大暴れすること間違い無しのモデルだ。引き続きハンドリングや開発者の方々へのインタビューを試みながら、両製品をより詳しくチェックしていきたいと思う。
◆筆者プロフィール 鈴木桂水
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。