【特別企画】「シルヴァン」「アンク」愛用ユーザーを訪ねる
「不満点の解消だけに終わらないルームチューニングアイテム」 − ユーザーが語る日東紡音響「シルヴァン/アンク」の魅力
■〈シルヴァン〉を導入して左右対称でない部屋を対策 |
私市一康さんは知人に影響され社会人になってからオーディオを始めた。「その頃はあまり深く首を突っ込んでいなかった」と控えめだが、JBLの4344にアキュフェーズのセパレートアンプを使っていたというから、生半可な気持ちではなかっただろう。しかしその後マンションに引っ越して15年間ほど休止していた時代があり、本格的にオーディオが始まったのは、6年前に二世帯住宅を新築してからのことだ。
この機会にまたオーディオを再開したくなって、部屋を設計するにあたり単純に床を固くして、横幅は3mもあればいいだろうと考えた。そのまま機材を持ち込んだら「これが大間違い。部屋はあれもこれもしておけばよかったという問題がたくさんあった」という。それは新築をした気勢でシステムを少しずつ入れ替えて、精度が上がっていくことによってより明らかになっていく。
「小編成のヴォーカルものなどはきれいに聴こえるんですね。でもその頃からクラシックにはまりだして、シンフォニーを聴くといろいろな楽器の音がぐちゃぐちゃに固まっているような感じでした。階段の吹き抜けが左手にあって、部屋は左右対称じゃない。ここをうまく対策すればもっとよくなると思いました。そこでルームアコースティックに興味を持ちだして調べていくうちに日東紡の〈シルヴァン〉に出会ったわけです。『森の中の音響効果』という解説を読んで、あっこれだと思いましたね」
■奏者の位置関係までよくわかりクラシックがさらに面白くなる |
私市さんは食品メーカーを経営している。食品とオーディオではまったく畑は違うけれど、メーカーとして物を作る上でのポリシーや理念はとても気になるという。
「既存の方法に何かを足したり改良したりしているような製品は食指が伸びないですね。ゼロから設計をした画期的なものに惹かれます。シルヴァンは類似品がなくコンセプトも掘り下げていた。価格は安くないですけど間違いないだろうという予感がありました」
〈シルヴァン〉は一昨年の5月にペアで導入した。そのときはスピーカーやパワーアンプを後ろの壁にぴったり付けていたので、左右の一次反射が当たる部分にセットした。
「楽器がきれいに整理されました。フォーカスが締まり、奏者の位置関係もよくわかる。そうなるとクラシックがまた面白くなりましたね。さらに環境をよくしたくなりました」
■デッカ録音に対応するため さらに〈アンク〉を追加する |
私市さんはスピーカーをもっと手前に出そうと思った。しかし部屋は3列のタイルを貼った場所にオーディオを置く設計にしていたため、それではスピーカーがはみ出してしまう。大がかりになってしまうが、フローリングをカットしてタイルをもう1列を追加するリフォームを行った。
「スピーカーを前に出すことで音場が前に出てきた。楽しくなってレコードもどんどん買いだしたんです。そのうちアルベニスの『スペイン組曲』のオリジナル盤を聴いたら、ちょっと違和感を覚えたんですね。実はまだフォーカスが甘かった。そこでシルヴァンをスピーカーの後ろ、いまの位置に置いてみたらそれは見事に解決できました。すると今度は膨らみ気味の低音をきちっと締めて出過ぎる高音を抑えたくなった。デッカの録音はダイナミック・レンジが広く情報量が多いため、まだ部屋が対処できていなかったんですね。それで去年の10月、〈アンク〉の導入に踏み切りました。最初から真ん中に置くことに決めていて、これですべての悩みが一度に解決しちゃいました」
■ルームアコースティックの改善でオリジナル盤の深みを肌で知る |
私市さんはオーディオをグレードアップしていくうちにアナログに興味をもち、ルームアコースティックを改善することによってオリジナル盤が持つ深みを肌で知った 。まさにハードとソフトの二人三脚で音楽生活を高めてきた。そして〈シルヴァン〉と〈アンク〉によって「不満点が解消できた」だけに終わらず「心から音楽の感動を得られた」という。
シュタルケルの『バッハ:無伴奏チェロ組曲』がトーレンスのプレステージに載って音楽が始まった。「音が消え入るかどうかの余韻がすごくきれいになったので、あまり興味がなかった無伴奏ソロまでも楽しめるようになった」という。続いてエーリヒ・クライバーの『フィガロの結婚』、ショルティの『ジークフリート』など名盤が続く。堂々とした存在感があって、たっぷりとした余韻が本当に心地好い。
〈シルヴァン〉や〈アンク〉の開発コンセプトである「森の響き」はその言葉のイメージから、音が柔らかくなりすぎて腰が据わらないのではないかと勘ぐっている人が意外と多いが、それはまったくの誤解だ。私市さんの音もスピーカーから出てきた情報を余すところなく結集しているかのような迫力がある。音量を上げ気味にして前のめりになって浴びても、耳へのギスギスした当たりがないから快く音楽に浸れる。
「レコード収集は〈シルヴァン〉と〈アンク〉がセットされてから急激に加速して、月10枚から20枚くらいのペースで買っている」というのも大きくうなずけた。私市さんは音に関してあれこれと気をもむこともなく、存分にレコードを渉猟するうらやましい日々が続いている。
【問い合わせ先】
日東紡音響エンジニアリング(株)(公式サイト)
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