4人の筆者によるオーディオ連載
角田郁雄のオーディオSUPREME【第3回】ソニー「HAP-Z1ES」「TA-A1ES」を導入した理由
■Magico「S2」との組み合わせではDSDの魅力を存分に引き出した
さて、MAGICOのスピーカーシステム「S1」と組み合わせた音だが、格別に空間性に優れ、解像度が高い。リアルな音像を再現するころも大きな特長だ。音に柔らかみと明瞭さが加わり、楽器や声の倍音は鮮やかで、HAP-Z1ESで再生するDSDの良さを引き出している。私が常に重視している“音の立ち上がり”にも優れ、壮大なマーラー交響曲のフォルテシモでは、驚くほどの音圧感が体験できる。低音もリニアに伸びてくる。しかも、音量を上げても歪み感を憶えず、音の明瞭度を維持するところが凄い。
6mという長いスピーカーケーブルを使用しても、アンプとスピーカーが直結しているような音の鮮度の高いワイドレンジな音に魅了される。パワードモニターを使っているかのような感覚で、まさにこの点にアンプ技術が反映されているのである。曲の抑揚が中音量以下に変化すると、A級アンプの特性が生かされ、さらに艶やかな倍音が聴ける。特に弱音へと変化する旋律を聴くと、繊細さや倍音成分を維持しながら、静かに音が沈み込んで行く。非常にデリカシーに富んだ表現にも感激する。
私は、従来から使用するセパレート型アンプと比較することもなく、この音に魅了され、最近はこの組合せに没頭している。静電型スピーカー「ESL-2812」との相性も極めて良く、QUADファンにもお勧めできるし、相当の低インピーダンスでない限り、ちょっとしたフロア型スピーカーなら十分ドライブできることも確認できた。私のもうひとつの楽しみは、時々、フォノイコライザーをTA-A1ESに接続し、レコード再生することである。レコード再生でも、このアンプの特性は生かされ、前述の倍音豊かで、ワイドレンジな音楽が堪能できるのである。
読者がもし、これからハイレゾプレーヤーやインテグレーテッドアンプを求めるなら、両モデルはその候補になるであろう。その音や使いやすさをぜひショップなどで実際に体験してみて欲しい。
<今回試聴した音源>
1、Tokyo Cinema Jazz Trio『Jazz Cinema Paradise』
http://www.e-onkyo.com/music/album/kicj673/
5.6MHz DSD(dsf.)
2、Oslo Kammerkor『STRID』
http://www.e-onkyo.com/music/album/twl0733/
192kHz/24bit FLAC
3、Santana『Abraxas』
http://store.acousticsounds.com/d/94947/Santana-Abraxas-DSD
2.8MHz DSD(dsf.)
4、『ベッリーニ:歌劇《ノルマ》』
http://www.e-onkyo.com/music/album/uml4937/
96kHz/24bitFLAC
5、Benjamin Britten, ロンドン交響楽団『ブリテン:戦争レクイエム』
http://www.e-onkyo.com/music/album/uml0235/
96kHz/24bitFLAC
6、ロンドン交響楽団, ヴァレリー・ゲルギエフ『マーラー:交響曲第3番』
http://www.e-onkyo.com/music/album/lso06603/
2.8MHz DSD(dsf.)
【筆者プロフィール】
角田郁雄
北海道札幌市生まれ。父の影響を受け、オーディオに興味を持つ。セールスエンジニア的な仕事を経験したので、物の原理や技術を追求してしまうタイプ。オーディオブランドの音、背景にある技術、デザインの魅力を若い世代にも伝えたいと執筆活動を始める。
〜編集部より〜
HAP-Z1ESとTA-A1ESに、MAGICOのスピーカー「S1」を組み合わせて聴かせてもらったDSDのサンタナ『Abraxas』は、月並みな言い方だが、鳥肌モノだった。なんというか実在感が半端じゃない。正直DSDってそんなに良いのかな、自分はリニアPCM 192kHz/24bitで十分だと思っていたのだが、きちんとした環境で聴くDSDは素晴らしいと思った。そして、このサウンドを実現しているプレーヤー&アンプは超ハイエンド機ではなく、頑張れば手に入れられそうな価格なのである。こういうオーディオ製品があることは、自分のような年齢(アラサー)の人間にとって心強い。(編集部 小澤)
さて、MAGICOのスピーカーシステム「S1」と組み合わせた音だが、格別に空間性に優れ、解像度が高い。リアルな音像を再現するころも大きな特長だ。音に柔らかみと明瞭さが加わり、楽器や声の倍音は鮮やかで、HAP-Z1ESで再生するDSDの良さを引き出している。私が常に重視している“音の立ち上がり”にも優れ、壮大なマーラー交響曲のフォルテシモでは、驚くほどの音圧感が体験できる。低音もリニアに伸びてくる。しかも、音量を上げても歪み感を憶えず、音の明瞭度を維持するところが凄い。
6mという長いスピーカーケーブルを使用しても、アンプとスピーカーが直結しているような音の鮮度の高いワイドレンジな音に魅了される。パワードモニターを使っているかのような感覚で、まさにこの点にアンプ技術が反映されているのである。曲の抑揚が中音量以下に変化すると、A級アンプの特性が生かされ、さらに艶やかな倍音が聴ける。特に弱音へと変化する旋律を聴くと、繊細さや倍音成分を維持しながら、静かに音が沈み込んで行く。非常にデリカシーに富んだ表現にも感激する。
私は、従来から使用するセパレート型アンプと比較することもなく、この音に魅了され、最近はこの組合せに没頭している。静電型スピーカー「ESL-2812」との相性も極めて良く、QUADファンにもお勧めできるし、相当の低インピーダンスでない限り、ちょっとしたフロア型スピーカーなら十分ドライブできることも確認できた。私のもうひとつの楽しみは、時々、フォノイコライザーをTA-A1ESに接続し、レコード再生することである。レコード再生でも、このアンプの特性は生かされ、前述の倍音豊かで、ワイドレンジな音楽が堪能できるのである。
読者がもし、これからハイレゾプレーヤーやインテグレーテッドアンプを求めるなら、両モデルはその候補になるであろう。その音や使いやすさをぜひショップなどで実際に体験してみて欲しい。
<今回試聴した音源>
1、Tokyo Cinema Jazz Trio『Jazz Cinema Paradise』
http://www.e-onkyo.com/music/album/kicj673/
5.6MHz DSD(dsf.)
2、Oslo Kammerkor『STRID』
http://www.e-onkyo.com/music/album/twl0733/
192kHz/24bit FLAC
3、Santana『Abraxas』
http://store.acousticsounds.com/d/94947/Santana-Abraxas-DSD
2.8MHz DSD(dsf.)
4、『ベッリーニ:歌劇《ノルマ》』
http://www.e-onkyo.com/music/album/uml4937/
96kHz/24bitFLAC
5、Benjamin Britten, ロンドン交響楽団『ブリテン:戦争レクイエム』
http://www.e-onkyo.com/music/album/uml0235/
96kHz/24bitFLAC
6、ロンドン交響楽団, ヴァレリー・ゲルギエフ『マーラー:交響曲第3番』
http://www.e-onkyo.com/music/album/lso06603/
2.8MHz DSD(dsf.)
【筆者プロフィール】
角田郁雄
北海道札幌市生まれ。父の影響を受け、オーディオに興味を持つ。セールスエンジニア的な仕事を経験したので、物の原理や技術を追求してしまうタイプ。オーディオブランドの音、背景にある技術、デザインの魅力を若い世代にも伝えたいと執筆活動を始める。
〜編集部より〜
HAP-Z1ESとTA-A1ESに、MAGICOのスピーカー「S1」を組み合わせて聴かせてもらったDSDのサンタナ『Abraxas』は、月並みな言い方だが、鳥肌モノだった。なんというか実在感が半端じゃない。正直DSDってそんなに良いのかな、自分はリニアPCM 192kHz/24bitで十分だと思っていたのだが、きちんとした環境で聴くDSDは素晴らしいと思った。そして、このサウンドを実現しているプレーヤー&アンプは超ハイエンド機ではなく、頑張れば手に入れられそうな価格なのである。こういうオーディオ製品があることは、自分のような年齢(アラサー)の人間にとって心強い。(編集部 小澤)