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読者4名が自宅でPMA-50を試聴

CSRのデジタルアンプ「DDFA」を読者はどう聴いた? デノン「PMA-50」モニターレポート

公開日 2015/04/10 11:25 構成:ファイル・ウェブ編集部
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再生する音源の録音状態や音質の良し悪しを
如実に表現してくれる

I・Yさん

DENONのUSB-DAC内蔵デジタルアンプPMA-50 を使ってみました。

まずはサイズと外観について。アンプとしては十分小型ですが机上に置くにはややサイズがあります。本来はリビングにある装置類につなげたいところでしたが、DACという製品特性上、PCとの接続の関係で自室の机上に設置することになりました。机上に置くと、それはそれでけっこうサイズがあります。

デスクトップに設置したPMA-50

ちなみに写真で比較している機器は、ZOOM社のThunderbolt DAC。こちらのほうはヘッドホンアンプ以外のアンプ機能はありませんが、本体サイズでかなり差がありますね。

表面パネルの操作系は非常にシンプルです。いずれの操作もリモコンでできるため触るのはボリュームノブくらいでしょうか。もちろんリモコン上からもボリューム操作は可能ですし、一度セッティングが安定すると、電源のオン/オフと音量の微細な調整くらいしか操作しなくなりました。ごてごてした機器の操作系が好きなわけではないですが、まぁ少々触る部分は少ないかなという印象です。設定メニュにて多少のセッティング項目があるのですが、こちらも一度設定してしまうとあとはあまり触るところではなくなります。シンプルと言えばシンプル、機械におまかせ状態にできるとも言えます。

シルバー部分はアルミ筐体、黒の部分はプラスティク製ですが、剛性感と高級感があります。青色LEDの小型の表示窓がありますが、もう少し大きくてもよかったかなという印象です。アルミ筺体部分の加工がたまたまですが、手持ちのiMacと似ており、デザイン的にも並べるといい感じです。

Windowsと接続するには専用ドライバをメーカーHPより入手する必要があります。Macの場合は特に不要。音声出力先の設定変更を行うだけで済みます。と思ったら、なぜかMacで使っていたUSBハブと相性が悪く、USBハブ経由で接続していたわけではないのですが、ハブ側の動作が不安定になりました・・・。ハブを交換したところ問題が解消されたところを見ると、やっぱりハブとの相性だったのでしょうね。(上記は個人的な環境の問題なので、本製品の問題とも言えませんが)。

さて肝心の試聴。まずはiMacにつないでiTunes、コーディックはアップルロスレス。FLAC音源については、Windowsからfoobarを利用して再生しました。

有名ドコロでビル・エヴァンス・トリオの『ワルツ・フォー・デビー』から聴いてみます。ステージを囲む客席のさざめき、笑い声、グラスの音がなんとも言えないリラックスした雰囲気を醸し出す中、ステージ側のドラム・ベース・ピアノの間のインタープレイがしっかり聴こえます。ベーシストの手元の指運びが想像できるような描写にいきなり感動。一番好きな「マイ・フーリッシュ・ハート」まで堪能しました。

続いてクラシックで何曲か。バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニーでマーラーの「交響曲第3番」から第6楽章、デュトワ指揮モントリオール交響楽団「展覧会の絵」から「バーバーヤーガの小屋」からラストの「キエフの大門」まで。マーラーのほうは、並みのオケだと血反吐を吐きそうなくらいのスローなテンポで盛り上げていくバーンスタインにしっかりオケが応える演奏。ラスト近くふーっと音が一回消えかかる様子に宇宙の深淵を見るようで、最後の大団円の感動がひとしおになる様子、本製品はいずれもしっかり破綻することなくフルオーケストラが鳴りきる様子を描き切りました。デュトワ指揮の録音はいずれも各楽器がキラキラしていて聴いていて楽しいので、選びましたいずれも少し古い録音なので最近の良い録音のものだともっとよく描くのではないかと思われました。

普段使用しているZOOMのオーディオインターフェースとサイズを比較したところ

最後にボーカル系というかポップス系。最初にいきものがかりを選んだのですが、伴奏のアコースティックギターのカッティングの音色に感動した他はあまり面白みはありませんでした(少々意外な結果)。気をとりなおして、柴田淳の『cover ‘70』。こちらは全然楽しい。声のニュアンスの細かな変化が精緻に余さず描かれ、ニヤニヤしてしまいそうになります。特にラストの「卒業写真」はピアノ伴奏一本なのですが、様々なアーティストにより数ある同曲のカバーの中でも指折りの出来ではないかと勝手に思ってしまうような内容でした(初盤にしか収録されていないのがもったいないです)。

音の印象は、クールで精緻な澄んだ音。熱くならずに音をあるがままに描く、ただその描き方の精緻なこと。

他製品をくらべてみても、ハイレゾのようなデジタル音源でデジタルな装置を使うと上記のような傾向になりがちなのかなという印象もあり、本製品の音もそうした延長線上にあるのだろうと思います。

ただ熱量がないかというとそういうわけではなく、例えば上記のマーラーの交響曲やワーグナーのオペラなどを聴いても、音の充実感やフルオケ状態になったときの圧倒的なエネルギーは十二分に伝わってきたと思います。柴田淳のボーカルやビル・エヴァンスのインタープレイなど細かでニュアンスがころころ変わる描写は大得意なようで、感動的でした。

試聴を通して動作は安定しており音も安定していました。音源の音質がよくなると輝きを増します。そもそも音質がいまいちな音源はそれなり、あと録音の巧拙が如実に見えるようでうれしいようで、怖いです。自分の持っている曲の中で本製品を通して聴いたときに、楽しめるものがどれほどあるか・・。ただ良い録音で良い音質の音源であれば、がぜん楽しい、面白くて聴き流すことができずに、じっくり聴き込んでしまうことが度々あったことは書いておきます。

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