【連載】角田郁雄のオーディオSUPREME
【レビュー】感性に訴えるCHORD「DAVE」のサウンド。独自技術とその効果を分析する
■驚くべきD/A変換特性
注目すべきはDAVEの電気的特性だ。ノイズシェーパーの効果により-301dB・6kHzの微細信号が再現でき、20kHz以上の可聴帯域外にノイズが追いやられている。1kHz・2.5V RMS出力では、ノイズフロアが-178dBAで、THD+ノイズ特性はなんと最大で-150dBAだ。無信号時とノイズフロアがほぼ同値とは信じられないこと。ジッター特性にも優れ、12kHzフルスケールのノイズは-140dB以下。24bit・-90.3dBという弱音の波形でも微細信号歪みがなく、左右均等な波形である。多くのCDプレーヤーやDACのダイナミックレンジが115dB前後であるのに対し、DAVEは127dBを実現していることにも驚く。
優れた電気的特性を獲得した結果として、今まで再現不可能だった微小レベルの音の再現性が高まり、CDやハイレゾ音源から奏者・歌い手のごくわずかな演奏上の動作や奏法までも高解像度で再現する。微小レベルの音が再現できると、その音は楽器や声の倍音にも付加され、生の音に迫るくらいの豊かな倍音が再現できる。ホールやスタジオのアンビエントや空間の広さ、奥行きまでが表現できる。音楽で不可欠な深い静寂や自然な音の階調も感じることができる。すべてはCHORDが目指す、生演奏を彷彿とさせるようなリアリティの実現であると言えるであろう。
■DAVEによるハイレゾ再生
DAVEのハイレゾ再生の大きな特徴は、澄み切った空間に生演奏を彷彿とさせるリアリティに富んだ奏者、歌い手が定位することだ。そして、楽曲に内包する情報を、くまなく超高解像度で再現することだ。聴き慣れたピアノソロを聴いてみると良い。響板の響きは、格別に豊富に聴こえるはずだ。ペダルを踏んだ時、弦からダンパーが外れ、サッサッサという小さな音が録音されている曲(例えば、次のダイアナ・クラールの8曲目)があるが、この極小な音も、いつもより、きっと詳細に聴けるだろう。ドビュッシーのピアノ曲を再生すれば、音が消え入るまでの余韻が美しく、深い陰影までもイメージできることだろう。
ダイアナ・クラールの『Wallflower』(e-onkyo)は48kHz/24bitというサンプルレートであるが、歌詞、音階を紡いでゆくアーティキュレーションに絶妙な表現が聴け、前面にリアルに定位することだろう。その後方にビロードの帯のように美しいストリングスが広がり、ピアノは、真珠のように柔らかな響きを示し、空間に舞う。きっとマスタリングの良さも実感でき、聴き惚れるはずだ。
192kHz/24bitのキース・ジャレットのトリオによる『Changes』(e-onkyo)は、躍動感を鮮明にする。打鍵した瞬間のアタックと響きがうまくバランスしたピアノ、びっくりするほど鮮度の高いシンバルの響きとレスポンスの早いドラムス、弾力感と胴の響きがリアルなベース、まさに眼前でリアルな演奏を聴く思いになる。これは、ワッツ氏が求めたタイムドメイン - 時間領域の精度を高めたWTAフィルター(理想のFIRフィルター)の効果であることが理解でき、弱音から強音までのダイナミックレンジの広さ、リアリティーに富んだ俊敏な音の立ち上がり、そして、びっくりするほどの瞬間的な音圧も実感できる。
ノルウェイの2LによるMAGNIFICAT(マニフィカト)の352.8kHz/24bitフォーマットも素晴らしい。弦楽パートの響きが前面に定位し、その背後に女性ソロ歌手の鮮やかな声、さらに、その背後に合唱の美声が広がる。まさにコンサートに臨むかのような奥行きのある立体ステージが展開する。超高速演算によるWTAフィルターの効果により、自然な音の階調を見るような感覚になり、美しい倍音が、空間を漂う。パイプオルガンの深い重低音も堪能できる。試しにAudirvana Plusで、2倍の705.6MHz/24bitに変換して再生すると、音の密度が、さらに上がった印象を受ける。
注目すべきはDAVEの電気的特性だ。ノイズシェーパーの効果により-301dB・6kHzの微細信号が再現でき、20kHz以上の可聴帯域外にノイズが追いやられている。1kHz・2.5V RMS出力では、ノイズフロアが-178dBAで、THD+ノイズ特性はなんと最大で-150dBAだ。無信号時とノイズフロアがほぼ同値とは信じられないこと。ジッター特性にも優れ、12kHzフルスケールのノイズは-140dB以下。24bit・-90.3dBという弱音の波形でも微細信号歪みがなく、左右均等な波形である。多くのCDプレーヤーやDACのダイナミックレンジが115dB前後であるのに対し、DAVEは127dBを実現していることにも驚く。
優れた電気的特性を獲得した結果として、今まで再現不可能だった微小レベルの音の再現性が高まり、CDやハイレゾ音源から奏者・歌い手のごくわずかな演奏上の動作や奏法までも高解像度で再現する。微小レベルの音が再現できると、その音は楽器や声の倍音にも付加され、生の音に迫るくらいの豊かな倍音が再現できる。ホールやスタジオのアンビエントや空間の広さ、奥行きまでが表現できる。音楽で不可欠な深い静寂や自然な音の階調も感じることができる。すべてはCHORDが目指す、生演奏を彷彿とさせるようなリアリティの実現であると言えるであろう。
■DAVEによるハイレゾ再生
DAVEのハイレゾ再生の大きな特徴は、澄み切った空間に生演奏を彷彿とさせるリアリティに富んだ奏者、歌い手が定位することだ。そして、楽曲に内包する情報を、くまなく超高解像度で再現することだ。聴き慣れたピアノソロを聴いてみると良い。響板の響きは、格別に豊富に聴こえるはずだ。ペダルを踏んだ時、弦からダンパーが外れ、サッサッサという小さな音が録音されている曲(例えば、次のダイアナ・クラールの8曲目)があるが、この極小な音も、いつもより、きっと詳細に聴けるだろう。ドビュッシーのピアノ曲を再生すれば、音が消え入るまでの余韻が美しく、深い陰影までもイメージできることだろう。
ダイアナ・クラールの『Wallflower』(e-onkyo)は48kHz/24bitというサンプルレートであるが、歌詞、音階を紡いでゆくアーティキュレーションに絶妙な表現が聴け、前面にリアルに定位することだろう。その後方にビロードの帯のように美しいストリングスが広がり、ピアノは、真珠のように柔らかな響きを示し、空間に舞う。きっとマスタリングの良さも実感でき、聴き惚れるはずだ。
192kHz/24bitのキース・ジャレットのトリオによる『Changes』(e-onkyo)は、躍動感を鮮明にする。打鍵した瞬間のアタックと響きがうまくバランスしたピアノ、びっくりするほど鮮度の高いシンバルの響きとレスポンスの早いドラムス、弾力感と胴の響きがリアルなベース、まさに眼前でリアルな演奏を聴く思いになる。これは、ワッツ氏が求めたタイムドメイン - 時間領域の精度を高めたWTAフィルター(理想のFIRフィルター)の効果であることが理解でき、弱音から強音までのダイナミックレンジの広さ、リアリティーに富んだ俊敏な音の立ち上がり、そして、びっくりするほどの瞬間的な音圧も実感できる。
ノルウェイの2LによるMAGNIFICAT(マニフィカト)の352.8kHz/24bitフォーマットも素晴らしい。弦楽パートの響きが前面に定位し、その背後に女性ソロ歌手の鮮やかな声、さらに、その背後に合唱の美声が広がる。まさにコンサートに臨むかのような奥行きのある立体ステージが展開する。超高速演算によるWTAフィルターの効果により、自然な音の階調を見るような感覚になり、美しい倍音が、空間を漂う。パイプオルガンの深い重低音も堪能できる。試しにAudirvana Plusで、2倍の705.6MHz/24bitに変換して再生すると、音の密度が、さらに上がった印象を受ける。
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