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【特別企画】評論家・大橋伸太郎が製品の魅力に迫る

立体音響の裾野を拡げる中堅AVアンプの実力機 − オンキヨー「TX-RZ810」をVGP審査員が実力チェック

公開日 2016/05/27 10:30 大橋伸太郎
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ドルビーアトモスを手軽に楽しめるイネーブルドスピーカー。その性能を最大限に引き出す、画期的な新機能を搭載したAVアンプがオンキヨーより誕生した。3Dサラウンドの裾野を拡げる実力機の全貌をお届けしよう。

TX-RZ810

VGP審査員も務める評論家の大橋伸太郎氏が製品をチェック

■画期的機能が盛り込まれた待望のミドルクラスAVアンプ

オンキヨーの「TX-RZ810」は、今春最も注目すべきAVアンプだ。

オンキヨーは、家庭用映像音響の新フォーマットにおいて、常に他社に先んじて対応製品を投入、その歴史を切り拓いてきた実績があり、ドルビーTrueHD、DTS-HDマスターオーディオなど、ロスレス音声の実力を世に知らしめたのも同社である。

そして新世代のサラウンド規格として立ち上がったドルビーアトモスへの対応にもいち早く取り組み、他社の対応製品が影も形も見えない時期に、“アトモスレディ”のスタンダードモデルを発表したことも記憶に新しい。本機は、そんなオンキヨーが送り出す、オブジェクトオーディオ対応AVアンプの第2世代目であり、待望の新製品だ。

TX-RZ810のバックパネル。豊富な端子に加え、ワイヤレス機能も充実しており、Wi-Fiは混信の少ない5Ghz帯域にも対応したデュアルバンド仕様で、Bluetoothによるワイヤレスリスニングにも対応する

加えて、本機はオンキヨー&パイオニア株式会社が発足して、初めて一から開発をスタートさせたAVアンプでもある。

オンキヨー、パイオニア共にオーディオビジュアル製品の幅広いラインアップを擁するが、とりわけ両社のワールドワイドでの看板製品となるのがAVアンプであり、オンキヨーは、主に北米のカスタムインストール市場で高い支持を得る「インテグラ」シリーズを軸に、国内においても手頃な価格帯が魅力のエントリーAVアンプのセグメントを積極的に開拓。一方パイオニアは、国内のハイクラスAVアンプにおいて、デジタルアンプを搭載した実力機を中心に圧倒的なシェアを獲得している。

ダイレクトファンクションキーの採用や、使用頻度の高い機能を優先したキーレイアウトにより、コンパクトかつ使い勝手のよさを追求した新リモコンを付属する

本機の位置付けは、まさにその両社が得意とするセグメントの間を埋めるべく性能、価格帯を狙ったもので、開発統合を果たした共同製品の第一弾としての戦略的な意味合いの大きさも伺えるし、何よりユーザーとしては大きな期待を抱かざるを得ない製品と言えるだろう。

■独自の高音質技術が際立つ伝統のアナログ設計を踏襲

それでは本機のプロフィールをさらっていこう。本機は7.2ch構成で、ドルビーアトモスプロセッサーを実装。DTS:Xにはアップデートでの対応を予定する。オブジェクトオーディオのスピーカーレイアウトは、最大5.2.2chまで対応し、9ch出力への発展性は省略されている。

デジタル部は、これから登場するパイオニアブランド製品との共通化が図られているものと推察されるが、パワー部はアナログ的なアプローチで構成されており、得意とする三段インバーテッドダーリントン回路こそ非採用だが、ハイカレント(大電流)、ローインピーダンス(低抵抗)を追求した「ハイカレントアンプ設計」を採用。

一般的なホームシアター用のフロントスピーカーで使用される、13〜16cm径のウーファーユニットを余裕で駆動できるだけでなく、オーディオ試聴のメインシステムとして使用される30cm径クラスの大口径ユニットもしっかりとドライブすることが可能だ。

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