評論家が本気で検証
【実験】ダイソー100円グッズでオーディオの音はどれだけ良くなる? − 剣山登場編 −
これは高さがあるので機器の脚を避け、本体の底板へ直接接触させることとした。クラシックから音を出したが、どこまでもよく伸びて澄み切った質感が素晴らしい。
ソリッドでパワフルでハイスピード、高域はやや大きめのラメを散りばめたようで、輝かしくかつ神経質にならないのがいい。ただし、パワフルに張り出す分、中〜高域が少しだけキツめに感じられる人がおいでかもしれない。これはオーディオ的にも十分に使える材質だと認識した。
■リアルに役立つ「耐震マット」
お次は「耐震マット」といこう。地震などでも家具が倒壊しないように床へ粘着させるジェルのマットである。かなり高価な製品もあるが、100円ショップにもいろいろな種類が並んでおり、その中から今回は一番薄い製品を選んで買い込んできた。
アンプの脚の下へ敷いて音を聴く。一聴した限りでは、決してバランスをガタガタに崩すわけではないが、音がややこちらへ飛んでこないようなイメージがあり、中〜低域にかけては厚みはあるがスピード感がもうひとつという感じになった。
実はこの耐震マット、私は結構いろいろな種類を実験して音を聴いている。なかにはもう見る影もないくらい音がプヨンプヨンに膨らみ、にじんでしまってお話にならないものあり、またドッシリと音に重みと安定感を付け加えながら解像度にほとんどダメージを与えないものもあった。このマットは、まだ結構音楽のバランスを崩さない方だと思う。
この手の粘弾性材は音が落ち着くまでに最低でも数日、ものによっては何週間もかかるものがあるから、ひょっとしてこれも少し時間をかけてなじませると、かなり良くなる可能性がある。私もちょっと追試してみたくなった。これから日本のどこへ地震が襲うか分からない。そういう意味では、「高音質の防振マット」をぜひ開発して欲しいものだと切に願う。
ここまではアンプの下へ敷いてきたが、ここからはスピーカーの下へ敷いてみる。これまでのインシュレーター類ももちろんスピーカーへ敷けるし、ほぼ同じかやや傾向が強調されたくらいのイメージで聴けるかと思う。なぜアンプだったかというと、8個なくてスピーカーに敷けなかったというだけのことである。
■安心安全のエヴァ素材「やわらか積み木」
まず起用したのは「やわらか積み木」。幼児用の遊具で、買ってから気づいたがこれも「ガタゴト防音マット」と同様、EVA樹脂製である。さて、早速聴いてみよう。音が出た瞬間、「あれ? ガタゴト防音マットよりしっかりしてるな」と感じる。
質感は防音マットの方がわずかに硬く、しかし積み木の方が少しだけ比重が高いような感じだ。どちらにせよあまり堂々たる再現性というほどではなく、ふわりと優しい表現の方向になってしまうのだが、しかしこの表現を好まれる人もいるだろう。100円ならちょっと試してみてもよいと感じさせる表現である。
ここでスピーカーのインシュレーターについて、置き方を少しレクチャーしよう。スピーカーというのは発音体たるスピーカーユニットだけでなく、キャビネットも全体が振動しているもので、あまりそれを不用意に抑えると再生音全体が損なわれることがある。だから、インシュレーターを挟む際には底板をできるだけ邪魔しないよう、四隅をしっかりと支えてやるのが好ましい。
■ざわ・・・!「木製サイコロ」
お次は2cm程度の「木製サイコロ」を使ってみよう。4個入り100円だったので、8個分買ってきた次第である。非常に明るくよく抜けるサウンド傾向が印象的だ。低域方向は膨らまず曇らず、金属やガラスと比べるといくらか乾いた素朴な質感になるが、これはなかなか優れた表現能力というほかない。
ジャズなど、ウッドベースの質感が何とも耳にしっくりきて、ピアノも明るく通りの良い音が魅力だ。声の質感も温かみがあって聴きやすく、しかし鈍くならないのがよい。ただし、これはインシュレーターとしては小さいので、ブックシェルフ型スピーカーくらいまでにしたい。このサイズであまり大きなフロア型は、支え切れないのではないかと思うのだ。
■何で受けるかが生死を分ける「ミニ剣山(丸型)」
お次は「ミニ剣山(丸型)」だ。生け花に使うグッズだが、実はこれ、オーディオ界に浅からぬ因縁がある。