レコードに刻まれた「本当の音」を探る
DECCAが採用した「FFRR」カーブと「RIAA」の関係性を探る
DECCAにまつわる有名な説として、DECCAのDECCA盤とLONDON盤で音質が違うと言われている。
基本的に2つは同じ工場で作られており、製作時の違いはレーベルが違うだけだ。実際に同一音源の両盤を入手して、厳密にEvo PhonoDAC Twoで録音し解析してみると、ほぼ同一と言える。ただし、LONDON盤はDECCA盤に比べややコンプレッションが浅いようだ。聴感上もLONDON盤はダイレクト感に優れ、一方のDECCA盤はホールの味わいを感じさせるような空間表現に優れている。これはマスターも製作過程も同じになるので、イギリスからアメリカへの輸送の過程で何かしらの音質変化があったと考えられるだろう。
とはいえ、すでに60年以上経ってしまった今日では、どの盤がFFRRカーブでカッティングされ、どの盤がRIAAカーブでカッティングされているかは知る由もない。かろうじていえるのは、「R」つきであれば間違いなくRIAAカーブであるということぐらいだ。
FFRRカーブをRIAAカーブで聴いてしまうと低域が大きく、高域が小さく聞こえてしまうため、全体的にモコモコしたパッとしない音になってしまう。その状態では、確かに復刻CDの方がまともだ。しかし、これをFFRRカーブで聴くと、そのサウンドは見違えるように良くなる。
当時の素晴らしい演奏、音質を劣化の少ないレコードで味わうべく、オリジナル盤を入手したものの音質に疑問を感じた時には、ぜひトーンコントロールか、可変カーブ搭載フォノイコライザーを使ってFFRRカーブで聴いてみて欲しい。