クライナの「ロングアームマウントシステム」とアーム交換で探る
【AEx2020受賞】JELCO最新世代のダイナミック&スタティック兼用トーンアーム「TK-950S」「TK-950L」の魅力
■愛機をそのまま載せるだけでロングアームを追加して楽しめる
アナログ好きならば、ロングアームを追加してツインアームを楽しむ価値は大いにある。ジェルコのTK-950SとTK-950Lを改めて体験すると、ロングアームは必ずしもSPU向けというものではなく、先端カートリッジを聴いても低重心かつ安定度の高さなど、音質的に数多くの魅力があるのだ。
しかしロングアームを楽しもうとすると、大型プレーヤーへの買い替えとなり、導入のハードルが高いのは事実。そこで手持ちの愛機にロングアームをそのまま追加できる、クライナの別置きの「ロングアームマウントシステム」の意味と価値が出てくる訳だ。ジェルコのロングアームTK-950Lをそのまま追加し、ツインアームとしてロングアームならではの魅力を楽しんでみてはどうだろう。
プレーヤーの向きはやや変則ではあるが、慣れてしまえばこっちのもの。ツインアームはアナログ再生の楽しみを3から5倍も増してくれるものだ。さらに、TK-950Lをダイナミック型で使うと感度が向上。トレース能力もアップして、グッと広帯域で低域の伸びが目覚ましい。音量も上がって思わずボリュームを下げてしまう。女性ボーカルは発声が丁寧になり、じっくりと歌い上げる。リュートの響きも生々しく、音場の立体構造が見えるようである。
男性ボーカルも声の重なりが綺麗に分離され、宙に舞うように美しくハモる。シンフォニーなどのクラシックはさらにワイドバンドだ。弦の一本一本が見えるような解像力。ロングアームでしか味わえない、たっぷりとした情報量と低域の没入感を体感すべきだろう。重量盤と通常盤の違いも正しく描き分け、カートリッジのトレース力が圧倒的に向上した感触だ。ラックスマンPD-171Aで聴くと、長短2本のアームでカートリッジ交換してすぐに楽しめる。これは魅力的だ。