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ビットパーフェクト再生もチェック

ハイレゾサブスク「mora qualitas」モバイルアプリを試す。使い勝手は?音質は?

公開日 2020/03/05 06:40 土方久明
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ヘッドホン再生:Lightning DACアンプと組み合わせ。音質の良さに驚き

iPhone XとラディウスのLightning対応ポータブルDACアンプ「AL-LCH81K」を組み合わせ、ヘッドホンはULTRASONE 「Signature STUDIO」を用いた。

Lightning DACアンプと組み合わせたポータブル環境で試聴

まずはポップスから。今年の「第62回グラミー賞」にて主要4部門受賞を含む5冠を達成したビリー・アイリッシュの「bad guy」(44.1kHz/24bit)を聴いた。検索ウインドウに“ビリー・アイリッシュ”とカタカナ入力すると、スムーズに楽曲が表示された。サービススタート時に伝えられた検索スピードの遅さは改善されつつあると感じた。

さてその音質だが、予想以上のものがあった。情報量が多く、上下の帯域レンジが広い。聴感上のSN比も高くてDレンジも秀逸だ。

試しにSpotifyでも同曲を再生したが、音質のレベルがまるで違う。Spotifyとmora qualitasどちらも低域と高域のバランスは変わらない。しかしmora qualitasは音が重なった時の分解度が別次元に高く、ボーカルとバックミュージックの境目の描き出しが鮮明だ。「ここまで違うのか」とおおいに感心した。


スピーカー再生:専用オーディオシステムと比べてもなかなかの音質

それではスピーカー環境ではどうだろうか?アップル純正の「Lightning - USB 3カメラアダプタ」を用いてiPhone Xからデジタル出力し、SOULNOTEのD/Aコンバーター「D1」に送出。両者を結ぶUSBケーブルには、最近気に入ってリファレンスとなったM&Mデザイン「SN-USB6000A-B」を使用した。

スピーカーを使ったホームリスニング環境で試聴

ピアノ協奏曲のヤン・リシエツキの「メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲 他」を聴いた。“ヤン・リシエツキ”検索をかけたところ、CDクオリティの44.1kHz/16bitと96kHz/24bitのタイトルが表示されたので、迷わず後者を選択した。

ナチュラルで奥行きのあるサウンドステージが眼前に現れ筆者を包み込む、次の瞬間、天才とも形容されるソリストの強烈なピアノが降臨した。なんという演奏だろう。近年聴いたピアノ協奏曲は数あれど、個人的にここまで引き込まれる演奏は少ない。ピアノタッチはダイナミックで、それに呼応するオルフェウス室内管弦楽団は各楽器の質感がナチュラル。44.1kHz/16bitではもう少しギスギスとした表現になるはずだが、ハイビット/ハイサンプリングの優位性を生かした素晴らしい音質に酔いしれる。

もちろん筆者が使用する据え置き型の専用トランスポートと比べれば、情報量やノイズフロアの低さは若干劣っているものの、どうしてなかなかな音質である。


音質については文句なし。他サービスと比べても圧倒的

「mora qualitas」のモバイルアプリで良いと思った部分は、UIが秀逸なこと。楽曲を見つけてから再生までスムーズに行えるし、ハイレゾタイトルを目立たせた画面デザインはオーディオファンには嬉しいところだ。レコメンド機能や、ダウンロードによるオフライン再生機能など他社のアプリも備える多くの機能が備わっている。

気になった点としては、UIがスマホ用画面に特化しており、タブレットではスマホ用の画面を拡大表示するだけにとどまっていること。ここは将来的なアップデートに期待したいところだ。また、プレイリストの公開機能や歌詞表示機能も備わっていないが、これらの機能は将来実現されるであろう。

音質については文句なし。Amazon Music HDとも比較したのだが、絶対的な情報量や、空間表現力ともにmora qualitasが圧倒だ。サンプリングレートとビット深度だけで音質を推し量ることはできないが、iPhoneによるビットパーフェクト再生は強烈な印象を筆者に残した。



CDなどのフィジカルメディアが中心と言われた日本でも、今やかなりのストリーミングサービスが立ち上がり、シノギを削っている。例えば、アニソンやK-Popなどの特定ジャンルに力を入れる「ANiUTa」や「KK BOX」、ミュージックビデオの聴取機能を持たせた「YouTube Music」、トークアプリと連携する「LINE MUSIC」など、各社が独自の魅力を提示しているのだ。

そのようななかmora qualitasは、私たちオーディオファイルにとって最も大切な「音質」が優れているという点が大きなアドバンテージだ。今回のモバイル版アプリのリリースにより、モバイル環境でもハイレゾ聴取が可能になったことは嬉しい。

近い将来はユーザー同士がフォローし合ったり、プレイリスト共有ができる機能も実装されるとのことなので、更なるユーザビリティの向上も期待できる。ぜひmora qualitasの今後に注目していきたい。

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