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【ガチンコ対決 第2弾】いま買うべきプリメインアンプが決まる!

デノン「PMA-A110」vs マランツ「MODEL 30」 最強のミドル級アンプはどっちだ!?

公開日 2021/06/18 06:30 生形三郎/土方久明 構成:季刊・オーディオアクセサリー編集部
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B&Wでは躍動感の「デノン」 空間表現に長けた「マランツ」

土方 まずB&Wで聴いてみましたが、しっかり個性があって両モデルとも良い音でしたね。デノンは生き生きとしていて、表現的な躍動感がありました。上原ひろみはタッチのアタック感も素晴らしく、まさに上原ひろみワールド全開。SACD特有の倍音成分も豊かでした。スティングも理想的に鳴っていました。

B&W「702S2 Signature」(728,200円・税込/ペア)
SPEC●型式:3wayバスレフ型 ●ユニット:25mmトゥイーター×1、150mmミッドレンジ×3、165mmウーファー×1 ●周波数特性:28Hz〜33kHz(-6dB) ●感度:90dB(1m/2.83Vrms) ●インピーダンス:8Ω(最小3.1Ω) ●推奨アンプ出力:30〜300W ●サイズ:200W×1.087H×337Dmm ●質量:29.5kg

生形 帯域バランスがすごくいいですね。演奏家の熱意や情熱みたいなものも汲み取っているなと思いました。「音楽はこう聴きたいよね」って思わせるくらい、すごく好意的に聴かせてくれるので、音楽的でオーディオ製品として純粋に良かったです。

土方 マランツに関しては、明るくてキレがありましたね。

生形 クラスDアンプの特性なのか、すごく速い。それに、空間の一体感の出し方が素晴らしい。特にアコースティックのソースを聴いた時に、間合いや空間の広がりが3D的に立ち上がってきて、視覚化される感覚が気持ち良かったです。上原ひろみの楽器の広がりもリアルでしたね。

土方 そう、上原ひろみの距離感が近いんですよ。サウンドステージの表現は絶品でしたね。

JBLのエネルギッシュで一体感あるサウンドにぴったりな「デノン」

土方 ここまで白黒はっきりつくとは思っていませんでした。デノンとJBLを組み合わせて試聴した時の相性の良さ。JBLが持っている、いわゆるエネルギッシュで一体感のあるサウンドをデノンは引き出していました。アーティストの感性も感じたいので、上原ひろみの凄みがあそこまで過激でいいのかと思ったくらい、すごく良かったです。

JBL「L82 Claasic」(275,000円・税込/ペア)
SPEC●型式:2wayバスレフ型●ユニット:25mmトゥイーター×1、200mmウーファー×1●周波数特性:44Hz〜40kHz(-6dB) ●感度:88dB(1m/2.83Vrms) ●インピーダンス:8Ω ●推奨アンプ出力:25〜150W ●サイズ:281W×473H×315.5Dmm ●質量:13.2kg

生形 グイグイ来て驚きましたね。

土方 いい意味でオーバードライブしていましたよね。

生形 マランツとJBLの組み合わせもアリだと思いました。逆にいうと、JBLはこう鳴らすべきだっていう人には、少し違和感があるかもしれない。立体的な表現はマランツが上で、デノンはいい意味で、音が少し荒い感じがありました。でも、ガツっと気分を上げてくれるのが気持ちいいですね。

土方 あの音を家に入れたいと思いましたもん。読者にまず伝えたいのは、デノンとJBLは「かなりいけるぞ!」ということですね。

ソナスの低音の質感をしっかり制御した「マランツ」

土方 一方で、ソナスは間違いなく、マランツとの組み合わせが良かった。ここまで相性の差が出るとは……。

Sonus Faber「OLYMPICA NOVA I」(858,000円・税込/ペア)
SPEC●型式:2wayバスレフ型 ●ユニット:28mmトゥイーター×1、150mmウーファー×1 ●周波数特性:45Hz〜35kHz ●感度:8787dB/W/m ●インピーダンス:4Ω ●推奨アンプ出力:35〜250W(クリッピングなし) ●サイズ:200W×355H×395Dmm ●質量:10kg

生形 マランツは、低音がスピーディーで、ソナスの低音の質感をしっかり制御していましたね。

土方 能率が低いスピーカーに対しても、余裕の駆動力が感じられました。そういう時に、デジタルアンプのメリットが出てきたかもしれないですね。

いまアナログを始めたい人にもおすすめの内蔵フォノ

生形 今回の試聴は、アナログ再生のクオリティが高かったところもポイントでしたね。両モデルとも非常に良かった。マランツの方は、ディスク再生ではメリハリがありましたけど、逆にアナログ再生はデノンの方にメリハリがあって、オーディオ的にパリッとしていたところがありました。

土方 確かにデノンで聴いたカンターテ・ドミノは感動的でした。情緒感あふれる再生は、デノンが良かったですね。ジョン・コルトレーンのグルーヴの一体感もお見事と言えます。

生形 マランツは落ち着いた印象で、デノンと比べるとリラックスして聴ける感じになっていましたね。それに、MCカートリッジはインピーダンスに応じて切り替えもできるし、聴きやすさという部分でもいいなと思いました。

土方 アナログ再生では、帯域バランスに変なクセがあると特に気になるので、両モデルともビシッと安定していて、再生能力がすごく高かったです。内蔵フォノイコでこれだけの音が出せていたことが、非常に嬉しかったですね。

生形 フォノイコも入った一体型だからこそ、カートリッジ問わず幅広く楽しめるべきですからね。このクオリティは、さすがです。

土方 いやぁ、コスパ高いですよ。

生形 そういった意味では、いまアナログ始めたい人にもすごくおすすめですね。

土方 デノンのDACについても、正確な音が出せていて、完成度が高かったですね。

生形 アナログ再生同様にクセがなかったです。デジタル回路を遮断するアナログモードも搭載されているので、安心感もありますね。アナログからデジタル再生まで、これ一台で全て楽しめるのは本当に魅力的です。


<レファレンスシステム>
【スピーカー】B&W「702S2 Signature」、JBL「L82 Classic」、Sonus Faber「OLYMPICA NOVA I」
【CDプレーヤー】ACCUPHASE「DP-570」、DENON「DCD-A110」(PMA-A110と組み合わせて試聴)、MARANTZ「SACD 30n」(MODEL 30と組み合わせて試聴)
【レコードプレーヤー】Technics「SL-1500C」
【カートリッジ】DL-103

<レファレンスソフト>
【SACD】上原ひろみ『Spectrum』
【CD】メロディ・ガルドー『サンセット・イン・ザ・ブルー』、生形三郎『レック・コレクション』(季刊・オーディオ・アクセサリー174号付録)
【レコード】トルステン・ニルソン指揮、オスカーズ・モテット合唱団『CANTATE DOMINO』、ジョン・コルトレーン『ブルー・トレイン』


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