HOME > レビュー > ティグロン15年の集大成、最高峰「2000シリーズ」待望のスピーカーケーブルが誕生!

【特別企画】レアメタルコーティングによるジャンパーケーブルも効果あり

ティグロン15年の集大成、最高峰「2000シリーズ」待望のスピーカーケーブルが誕生!

公開日 2022/09/21 06:30 柴ア 功
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
ティグロンの最高峰ケーブル「プレミアムライン2000シリーズ」に待望のスピーカーケーブルが登場した。2006年の創業以来培ってきた技術、素材を集結させたスピーカーケーブルに仕上がっている。同時に登場したジャンパーケーブルと合わせ、そのサウンドをレポートしよう。

TIGLON スピーカーケーブル「TPL-2000SP」(価格:1.5mペア=275,000円 2.5mペア=297,000円 3.5mペア=319,000円 ※延長+50cmごとに11,000円/以下税込)

開発に4年をかけたフラグシップスピーカーケーブル。長年のノウハウを集結



ティグロンのハイエンドケーブル、プレミアムライン2000シリーズに、スピーカーケーブル「TPL-2000SP」とジャンパーケーブル「TPL-2000J」が加わった。TPL-2000SPは、同社ハイグレードシリーズ「MSS-DF100SP-HSE」のさらなる高音質化を目指し開発されたフラグシップケーブルで、製品化までに実に4年以上を費やした結果、2000シリーズ最後のリリースとなったようだ。

ジャンパーケーブル「TPL-2000J」(69,300円/長さ20cm・4本セット)。H.S.E.Grandeの特別バージョン「H.S.E. Infinite Mode」を用いてケーブルの方向性をキャンセルしており、方向性を気にせず接続できる。端子はY/バナナ端子が選択可能で、片側Y、片側バナナも可能

TPL-2000SPのケーブルはマグネシウムシールド付き2芯シールド構造で、下図はその断面である。絶縁被覆が赤と白に配色された2つの芯線は、DF-OFC(ディップフォーミング無酸素銅)のφ0.18mm極細銅素線36本撚りを6束リボルバー撚りした、断面積が5.5スケアの導体を採用し、これにスーパークリアアイソレーターと称する熱可塑性特殊樹脂の絶縁体を被せた構造である。

「TPL-2000SP」のケーブル構造

撚り線は中心にも同じ導体を用いて7本撚りにしがちだが、中心導体は真っ直ぐで、その周囲に巻き付ける6本の導体より短いため、中心導体と周囲の導体間に電位差と位相差が生じて迷走電流が流れ、音質劣化要因となる。そこで中心を絶縁物にして迷走電流を追放し、かつ強くて高弾性のパラ系アラミド繊維を芯に用いて6本の導体を強く巻き付け、単線のようにハイスピードな音を撚り線で実現した。

芯線群の周囲は特殊絶縁繊維で覆って、振動の吸収と、吸湿による導電性で絶縁体の帯電除去を行い、その上に制振と電磁シールドを兼ねて、6mm幅で0.1mm厚AZ31マグネシウム合金箔テープを非オーバーラップ巻きしたマグネシウムシールドを施している。

外被には柔軟性を高めたウルトラフレックスと称する超柔軟性PVCを投入して取り扱いやすくし、かつ表面に帯電除去処理を施して静電気を追放した上、最外周には帯電防止剤の剥離防止とケーブル保護を兼ねた白いメッシュの航空産業用特殊外装チューブが被せてある。

ケーブルの両端には、マグネシウム合金箔を巻き付けた上に、D-REN(ディーレン)リングと称する帯電防止型特殊制振ゴムリング群を装着し、その上に厚みがあって制振効果の高い黒色熱収縮チューブを被せた、「アドバンスド・マグネシウムフィルター」と呼ぶメカニカルフィルターを装着して、ケーブルの横振動(たわみ振動)と音質的に有害な縦振動(伸縮運動)を抑制している。

端子にはY端子とバナナプラグがあり、これにはフルテックのロジウムメッキ品が採用されている。

マグネシウムシールド付きジャンパーケーブルも登場



マグネシウムシールド付きジャンパーケーブルTPL-2000Jは下図の断面構造で、DF-OFCのφ0.18mm銅素線の11本撚りを7束ワイヤー撚りした、断面積が2スケアの導体を採用。芯線の絶縁物にはスーパークリアアイソレーターを採用し、その上にマグネシウムシールド、表面に帯電除去処理を施したウルトラフレックス外部シース、白いメッシュの航空産業用特殊外装チューブを被せた造りになっている。

「TPL-2000J」のケーブル構造

端子はY端子とバナナプラグがあり、これにはAETの新技術、レアメタルコーティングを施す。そして両ケーブルとも、「HSEグランデ」と称する3台の処理機を併用した最新HSE(超飽和電流型ケーブル活性化)処理を全数施して出荷される。

バイワイヤリングを凌駕する迫真のサウンドが実現



これまでレファレンスとして使用していたMSS-DF100SP-HSEを2組用いたバイワイヤリング接続の音と、TPL-2000SPをたすき掛け接続(ケーブルの+端子をスピーカーの高音用+端子、−端子を低音用−端子に接続)し、ジャンパー線にTPL-2000Jを用いたシングルワイヤーの音を比較したが、後者は想定外の超高音質! バイワイヤリングを凌駕する迫真サウンドに驚愕した。

癖やストレスをまったく感じない、ナチュラルで広大でゆったりした迫真音場。広がり感や奥行き感があって音像定位が明確だし、1音1音がクッキリ鮮明で曖昧なところが一切ない。

森山良子のヴォーカルは、微妙な抑揚変化や声質変化がつぶさに分かって実に生々しいし、ベースやキックドラムは非常にパワフルで伸び伸びし大迫力。音と音の谷間が深くてピークレベルが高いので、聴感上のダイナミックレンジが広大で超多階調。

ケーブルがしなやかで取り回しが楽なのもTPL-2000SPの特徴だ。私はバイワイヤリング派だったが、TPL-2000SPとTPL-2000Jを用いた音を聴いたら、バイワイヤリングの必要性をまったく感じなくなった。

我が家のレファレンス機MSS-DF100SP-HSEのバイワイヤリング接続を超える音質をTPL-2000SPのシングル接続で実現したことに、ティグロンの巧みな音質向上技術の進歩を感じた。

(提供:ティグロン)

本記事は『季刊・オーディオアクセサリー vol.186』からの転載です。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク