「期待以上の効果でした」
日東紡音響のルームチューニング材「シルヴァン」ユーザーを訪ねる − パラゴンやGIYAの鳴り方はどう変わった?
世界が変わったみたいな音の変わり方 |
ー「シルヴァン」は実際どのように設置されたのでしょうか?
山下 まず、パラゴン対策からはじめたのですが、もともといい音なので、これを阻害しないで、ステージ感の広さや実態感をさらに引き出すことができました。
次にGIYAですが、これはベストポジションにあるパラゴンを妨げない位置にあったので、「シルヴァン」を置いてもなかなか良くならなかったですね。それでパラゴンのことは一度忘れて、GIYAだけを良くしようというように切り替えて、2時間くらい試行錯誤を行いました。
宮下 結局GIYAをパラゴンが隠れるぐらい前方に設置して「シルヴァン」の位置を調整していきました。そうしたら、ある時にガラッと変わりましたよね。これが本来のGIYAの音なんだという瞬間があったのです。
山下 あの時の変わり方はすごかったですよね。世界が変わったみたいでした。
宮下 カウンター・テナーで歌うアヴェ・マリアを聴いたのですが、歌手の男の情念が恐ろしいくらい出てきました。ゾクッとしましたね。感動して泣き出す人もいました。
山下 GIYAはスピーカー位置や「シルヴァン」の位置の調整がシビアに効いてくるスピーカーですよね。「シルヴァン」をシンプルに置いていただくだけでも効果はありますが、GIYAのようなシビアなスピーカーだと、お客様と一緒に調整を行うとより一層喜んでいただけると思いました。
宮下 「シルヴァン」には音楽的な経験と設置のノウハウが必要だと思います。それから「シルヴァン」は、ある程度オーディオ機器の音がまとまった段階で設置した時こそ、音楽を有機的にさせる効果があります。
山下 音楽を有機的にするためには、まず生きた音質が必要だということですね。
宮下 そうです。それからルームチューニングに関連して、音場という言葉ですが、この前遊びに来られた方が「宮下さんの音は“音情”だ」と言うのです。
山下 音場をつきつめていくと音情になるのだと思います。
宮下 いまのオーディオ再生は音場の方を追求するけど、生の音楽では音場は有って無いも同然。無いものを追いかけたって意味ないのです。だから“音の情け”を追求した方が得られる感動や満足感は高いと思うのです。
山下 自分たちはエンジニアなので、データをもとに測定をしてその通りに部屋を作っていくわけです。ですから工学的、物理的に癖のない空間を作り出すことは絶対に必要です。でも経験を持った人たちが耳で「ここがいいぞ!」って言った時に、測るとすごく理想的な測定値が出ている場合があるのです。
宮下 興味深いお話ですね。今、オーディオは岐路に立っていて難しい状況ですが「シルヴァン」は閉塞感に風穴を開けることのできるとても面白い製品だと思います。これからもオーディオと能動的につきあっていきたいですね。
ーありがとうございました。
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