ブランドのキーマンが語るカッティングエッジ(最先端)
旗艦機「Pro iCAN」から始まる次なる革新 - iFI-Audio、トルステン博士インタヴュー
ここ日本において、いまや最もポピュラーなオーディオブランドとしての存在感を確固たるものとしたイギリスのiFI-Audio。ブランド設立後3年余りという短い期間に、ここまでの存在感を放つオーディオブランドは世界的にも例がない。
iFI-Audioがここまでの存在となった理由は、極めて尖った製品を手の届く現実的な価格で音楽ファンへ提供できたことにある。当初は音源すら探すのが難しかったDSD 11.2MHzへの対応をモバイル環境で世界に先駆け実現したmicro iDSDとnano iDSDといったデジタル関連製品はもちろんのこと、合計6つのイコライザーカーブに対応したiPhono、真空管アンプにバッファリングの概念を持ち込んだiTubeなどのアンプ関連製品は、いずれも「世界のどこにもないiFIだからこその製品」といえる実にカッティング・エッジなモデルだった。
そんなiFI-Audioからこの春、ついにフラッグシップとなるProシリーズの第一弾モデル「Pro iCAN」が登場する。あらゆるヘッドフォンの駆動に対応した真空管アンプであり、ハイエンドにもまさるとも劣らなないプリアンプである本機。その登場背景を、開発者であるトルステン・レッシュ氏が語る。
―この度登場するProシリーズは、これまでmicro等を開発してきたiFIとしては大きなサイズとなっていますが、まずは、開発をスタートするに至った経緯を教えてください。
トルステン 基本的にはお客様からのリクエストがあったから、ということに尽きます。私たちはこれまで、それこそ手のひらサイズほどのコンポーネントを中心に開発してきましたが、コンパクトな機器は確かに便利ではあるものの、性能は搭載できるボードのサイズなどに依存してしまうという部分もあります。ホームユースであれば過度なコンパクトさは必要ではないので、高い性能を保持したホームユースのモデルを開発することが可能です。とにかくiFIのなかでも、極めて性能の高い製品を開発しようと、プロジェクトはスタートしました。
―Pro iCANはDACを内蔵しないシンプルなヘッドフォンアンプ兼プリアンプですが、搭載する真空管がGEのヴィンテージ管というのも興味深いですね。これには理由があるのですか?
トルステン 真空管自体は、iTubeに使用したものと同等のものとなります。これは、ある一定の回路で一番相性の良い真空管を探すということからスタートしています。一般的なのは6992という真空管で、1980年から使われてきているものです。ただ、この6992には、グレードが高いものはほとんど残ってないんですね。その代わりに私達が使用しているのが、2C51というものです。これはいわば6992のハイグレードバージョンです。もともとミリタリーユースで使われていたものですので、ストック的にもかなり芳醇にあります。
―Retroのアンプ部となるStereo 50では自社で選定した真空管を採用していたと記憶しているのですが、Pro iCANではいかがですか?
トルステン 今回のように何十年も保管されていた真空管を使おうとすると、品質の低下は否めません。この劣化を防ぐためにある一定のトリートメントのようなことをする必要があるのですが、この点に関してはRetroもPro iCANも同様です。こうした品質維持をしないと最初の一ヶ月くらいで5〜10%程度のNGな真空管が出てきてしまうんです。例えば6本の真空管を採用したとしたら、その分の不具合の可能性も大きくなってしまいますから、これではお客様にご迷惑をお掛けしてしまいます。iFIの製品では、そうした不具合を未然に防ぐ対処をしています。
―iFIならではの機能とも言えるXBassや3DホログラフィックもPro iCANに搭載されていますが、まず根本的なこととしてこの2つの技術はアナログ領域で動作するものなのですか?
トルステン はい、フルアナログの回路になります。
―他社にも同様の機能をデジタルドメインで実装した製品がありますが、それらとの決定的な違いはあるのでしょうか?
トルステン 私が知る限りでも、何社か同じような効果をうたう技術を採用したモデルがあります。そのうちのひとつにクロスフェードというものがありますが、そもそも考え方が異なるというのと、仮に同じものであっても私達はそれを一切デジタルでは行っていないので、音のナチュラルさに大きな違いが出てくるはずです。
iFI-Audioがここまでの存在となった理由は、極めて尖った製品を手の届く現実的な価格で音楽ファンへ提供できたことにある。当初は音源すら探すのが難しかったDSD 11.2MHzへの対応をモバイル環境で世界に先駆け実現したmicro iDSDとnano iDSDといったデジタル関連製品はもちろんのこと、合計6つのイコライザーカーブに対応したiPhono、真空管アンプにバッファリングの概念を持ち込んだiTubeなどのアンプ関連製品は、いずれも「世界のどこにもないiFIだからこその製品」といえる実にカッティング・エッジなモデルだった。
そんなiFI-Audioからこの春、ついにフラッグシップとなるProシリーズの第一弾モデル「Pro iCAN」が登場する。あらゆるヘッドフォンの駆動に対応した真空管アンプであり、ハイエンドにもまさるとも劣らなないプリアンプである本機。その登場背景を、開発者であるトルステン・レッシュ氏が語る。
―この度登場するProシリーズは、これまでmicro等を開発してきたiFIとしては大きなサイズとなっていますが、まずは、開発をスタートするに至った経緯を教えてください。
トルステン 基本的にはお客様からのリクエストがあったから、ということに尽きます。私たちはこれまで、それこそ手のひらサイズほどのコンポーネントを中心に開発してきましたが、コンパクトな機器は確かに便利ではあるものの、性能は搭載できるボードのサイズなどに依存してしまうという部分もあります。ホームユースであれば過度なコンパクトさは必要ではないので、高い性能を保持したホームユースのモデルを開発することが可能です。とにかくiFIのなかでも、極めて性能の高い製品を開発しようと、プロジェクトはスタートしました。
―Pro iCANはDACを内蔵しないシンプルなヘッドフォンアンプ兼プリアンプですが、搭載する真空管がGEのヴィンテージ管というのも興味深いですね。これには理由があるのですか?
トルステン 真空管自体は、iTubeに使用したものと同等のものとなります。これは、ある一定の回路で一番相性の良い真空管を探すということからスタートしています。一般的なのは6992という真空管で、1980年から使われてきているものです。ただ、この6992には、グレードが高いものはほとんど残ってないんですね。その代わりに私達が使用しているのが、2C51というものです。これはいわば6992のハイグレードバージョンです。もともとミリタリーユースで使われていたものですので、ストック的にもかなり芳醇にあります。
―Retroのアンプ部となるStereo 50では自社で選定した真空管を採用していたと記憶しているのですが、Pro iCANではいかがですか?
トルステン 今回のように何十年も保管されていた真空管を使おうとすると、品質の低下は否めません。この劣化を防ぐためにある一定のトリートメントのようなことをする必要があるのですが、この点に関してはRetroもPro iCANも同様です。こうした品質維持をしないと最初の一ヶ月くらいで5〜10%程度のNGな真空管が出てきてしまうんです。例えば6本の真空管を採用したとしたら、その分の不具合の可能性も大きくなってしまいますから、これではお客様にご迷惑をお掛けしてしまいます。iFIの製品では、そうした不具合を未然に防ぐ対処をしています。
―iFIならではの機能とも言えるXBassや3DホログラフィックもPro iCANに搭載されていますが、まず根本的なこととしてこの2つの技術はアナログ領域で動作するものなのですか?
トルステン はい、フルアナログの回路になります。
―他社にも同様の機能をデジタルドメインで実装した製品がありますが、それらとの決定的な違いはあるのでしょうか?
トルステン 私が知る限りでも、何社か同じような効果をうたう技術を採用したモデルがあります。そのうちのひとつにクロスフェードというものがありますが、そもそも考え方が異なるというのと、仮に同じものであっても私達はそれを一切デジタルでは行っていないので、音のナチュラルさに大きな違いが出てくるはずです。
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