アクセサリーによるグレードアップも提案
“銘機賞”受賞モデルを贅沢聴き比べ! ダイナミックオーディオ4Fのイベントを徹底レポート
■初のコラボイベント。ダイナミックオーディオにて銘機賞受賞モデルを徹底フィーチャー
去る12月3日、ダイナミックオーディオ5555 4FのH.A.L.IIIにて、オーディオ銘機賞2022の受賞モデルを中心としたスペシャルイベントが開催された。その模様をレポートしよう。
イベントは第一部、第二部となっており、第一部は三賞受賞モデルを中心とするコンポーネント系をフィーチャー、第二部はオーディオアクセサリー銘機賞を受賞したアクセサリーによるグレードアップという構成になっていた。司会進行はショップの島 健悟氏が担当、コメンテーターには、両アワードの審査員を務める鈴木 裕氏が登場した。
通しで使用したスピーカーは、特別大賞受賞モデルBowers&Wilkinsの「802 D4」が登場。パワーアンプはラックスマンの「M-10X」(金賞)、プリアンプはアキュフェーズの「C-2900」(銀賞)を使用している。
最初はアキュフェーズの「DC-1000/DP-1000」(金賞)を活用したCD再生の時間となっており、一体型フラグシップ機「DP-750」との聴き比べを実施した。
アキュフェーズの小串氏は、「アキュフェーズの製品は見た目が似通っていますので誤解される方もいらっしゃるのですが、中身は毎回完全に新設計を行っています。私達にはマイナーチェンジという考えがまったくないのです」と強調。DACチップこそ「ES9038Pro」を引き続き使用しているが、回路設計などは完全に一から見直し、S/Nや歪みといった特性をさらに改善。
ダイナミックオーディオの島氏も、最新のアキュフェーズのサウンドについて、「DAC単体のクオリティがすごく上がっています。USB入力がついていますので、ハイレゾ再生をされたい方にもDC-1000は安心しておすすめできます」とアピール。
試聴曲は、ファビオ・ルイージ&フィルハーモニア・チューリッヒによる「ニュルンベルクのマイスタージンガー」。実際に音を聴き比べてみると、「DP-750」においても非常に広いサウンドステージ、音楽の愉悦を聴かせるが、「DP-1000/DC-1000」に切り替えると、ヴァイオリンの弦の疾走感がさらに高まり、弦楽パートの掛け合いの緊張感はまさに手に汗を握る。井筒香奈江の「Sing Sing Sing」では、パーカッションの皮の質感や三次元的な配置までも見えてくる。鈴木氏も、1000番シリーズのサウンドについて「まさに“人間味がある”というか、人間がそこで演奏している、というリアリティがさらに出てきていますね」とコメント。
続いて、ラックスマンのパワーアンプ「M-10X」。こちらは当初から使用していたが、最初はステレオモードでの使用だったのを、2台使用して片チャンネルのみの使用、BTLモードでの使用の3パターンを聴き比べるという贅沢な聴き比べを実施。
今回の「M-10X」からは、新たな増幅期間エンジンLIFESが搭載されることが大きな特徴。鈴木氏はラックスマンの過去のモデルを引き合いに出しながら以下のように解説する。「2017年に発売されたL-509Xは、とにかく早く、元気のいいプリメインアンプです。また昨年発売されたL-595A LIMITEDは、往年の銘機を踏襲した、どちらかといえばおっとりとしたアンプ。そして今回のM-10Xはその双方のいいところを持ってきたサウンドのように感じています」。
実際に聴いてみると、たとえば井筒香奈江では、口元の空気をそのまま取り出したような空気感が大きな特徴。そこから2台による片チャンネル使用(右のスピーカーにはアンプ1の右出力のみを、左のスピーカーにはアンプ2の左出力のみを使用)では、パーカッションの高域の立ち上がりがさらに鮮烈に。
さらにBTL接続にすれば、理論上、出力電圧を倍にすることができる。ニュルンベルクのマイスタージンガーについて、鈴木氏は「単に出力が上がった、ということだけではなく、音の重なりが水彩画のように下の色も見えてくる感じがします」とコメント。機材のレベルが低いと混濁して聴こえてしまう部分が、ハイレベルなアンプを活用することでリアルに見えてくるポイントを解説。CD再生にはまだまだ可能性が秘められていることを感じられた。
■0.01gまで追求するラックスマンのアナログ再生のこだわり
続けてアナログ再生の時間。アナログプレーヤーにはテクニクスの「SL-1000R」、フォノイコライザーは金賞受賞モデルのフェーズメーション「EA-1200」を使用する。カートリッジはオーディオマニア定番のデノン「DL-103」と、ラックスマンの「LMC-5」(銀賞)の比較試聴を行った。
ラックスマンの営業担当 相田和喜氏によると、「(開発担当の)長妻は、0.01g単位でこだわって製品設計をしているんです」ということで、今回は長妻氏推奨の針圧:2.21gまで設定を追い込んで再生。「M-10X」のBTL再生時にも感じたことだが、とにかく録音現場の空気感の切り出し方が鮮烈。「ワルツ・フォー・デビィ」の食器のガチャガチャやざわめき、拍手などのディテールも鮮明に描かれ、ステージの周りに集まったオーディエンスたちの「期待感」までも共有できるよう。
実はリード線も長妻氏が特別に作った試作モデルということで、「(2025年のラックスマン)創業100周年に向けて、アナログプレーヤーやリード線などアナログ関連アイテムも今後の計画の中に入っています」と相田さん。今後のラックスマンのアナログ関連の展開にも大いに期待できそうだ。
第一部の最後は、第二部で主役となるアクセサリーを先出しでご紹介、ということで、アイレックスが取り扱うスペインのケーブルブランド「Fono Acustica」が登場。ミドルクラスとなるARMONICOシリーズ(グランプリ受賞)の、RCAケーブルとスピーカーケーブルを使用しての試聴を行った。
「Fono Acustica」の特徴は導体に金と銀を使用していることで、コネクタなどもオリジナルのものを使用、端子部のメッキも24Kを使用するなど贅沢な構成がなされている。価格も100万円クラスとハイエンド級だが、このケーブルの魅力について鈴木氏は、「さらに生演奏っぽくなった」と解説。倍音成分などが非常によく出てきて、特にライブ作品では演奏のリアリティが俄然高まってくる。
最後に、予告にはなかったFono Acusticaの仮想アース「Compass」が登場。スピーカーのマイナス端子に接続する仮想アースという珍しい製品で、こちらも専用アースケーブルとセットで100万円超えというド級のアイテム。
だがこの効果がすごい。竹内まりやの「シングル・アゲイン」を聴けば、まさに声に情が乗り、コクや陰影などが一段と深まる印象を受ける。鈴木氏も、「機械が鳴っているのではなく、まさに自然な音楽がそこにある、そういった音楽の世界に近づいてくる感じがします」とコメント。
去る12月3日、ダイナミックオーディオ5555 4FのH.A.L.IIIにて、オーディオ銘機賞2022の受賞モデルを中心としたスペシャルイベントが開催された。その模様をレポートしよう。
イベントは第一部、第二部となっており、第一部は三賞受賞モデルを中心とするコンポーネント系をフィーチャー、第二部はオーディオアクセサリー銘機賞を受賞したアクセサリーによるグレードアップという構成になっていた。司会進行はショップの島 健悟氏が担当、コメンテーターには、両アワードの審査員を務める鈴木 裕氏が登場した。
通しで使用したスピーカーは、特別大賞受賞モデルBowers&Wilkinsの「802 D4」が登場。パワーアンプはラックスマンの「M-10X」(金賞)、プリアンプはアキュフェーズの「C-2900」(銀賞)を使用している。
最初はアキュフェーズの「DC-1000/DP-1000」(金賞)を活用したCD再生の時間となっており、一体型フラグシップ機「DP-750」との聴き比べを実施した。
アキュフェーズの小串氏は、「アキュフェーズの製品は見た目が似通っていますので誤解される方もいらっしゃるのですが、中身は毎回完全に新設計を行っています。私達にはマイナーチェンジという考えがまったくないのです」と強調。DACチップこそ「ES9038Pro」を引き続き使用しているが、回路設計などは完全に一から見直し、S/Nや歪みといった特性をさらに改善。
ダイナミックオーディオの島氏も、最新のアキュフェーズのサウンドについて、「DAC単体のクオリティがすごく上がっています。USB入力がついていますので、ハイレゾ再生をされたい方にもDC-1000は安心しておすすめできます」とアピール。
試聴曲は、ファビオ・ルイージ&フィルハーモニア・チューリッヒによる「ニュルンベルクのマイスタージンガー」。実際に音を聴き比べてみると、「DP-750」においても非常に広いサウンドステージ、音楽の愉悦を聴かせるが、「DP-1000/DC-1000」に切り替えると、ヴァイオリンの弦の疾走感がさらに高まり、弦楽パートの掛け合いの緊張感はまさに手に汗を握る。井筒香奈江の「Sing Sing Sing」では、パーカッションの皮の質感や三次元的な配置までも見えてくる。鈴木氏も、1000番シリーズのサウンドについて「まさに“人間味がある”というか、人間がそこで演奏している、というリアリティがさらに出てきていますね」とコメント。
続いて、ラックスマンのパワーアンプ「M-10X」。こちらは当初から使用していたが、最初はステレオモードでの使用だったのを、2台使用して片チャンネルのみの使用、BTLモードでの使用の3パターンを聴き比べるという贅沢な聴き比べを実施。
今回の「M-10X」からは、新たな増幅期間エンジンLIFESが搭載されることが大きな特徴。鈴木氏はラックスマンの過去のモデルを引き合いに出しながら以下のように解説する。「2017年に発売されたL-509Xは、とにかく早く、元気のいいプリメインアンプです。また昨年発売されたL-595A LIMITEDは、往年の銘機を踏襲した、どちらかといえばおっとりとしたアンプ。そして今回のM-10Xはその双方のいいところを持ってきたサウンドのように感じています」。
実際に聴いてみると、たとえば井筒香奈江では、口元の空気をそのまま取り出したような空気感が大きな特徴。そこから2台による片チャンネル使用(右のスピーカーにはアンプ1の右出力のみを、左のスピーカーにはアンプ2の左出力のみを使用)では、パーカッションの高域の立ち上がりがさらに鮮烈に。
さらにBTL接続にすれば、理論上、出力電圧を倍にすることができる。ニュルンベルクのマイスタージンガーについて、鈴木氏は「単に出力が上がった、ということだけではなく、音の重なりが水彩画のように下の色も見えてくる感じがします」とコメント。機材のレベルが低いと混濁して聴こえてしまう部分が、ハイレベルなアンプを活用することでリアルに見えてくるポイントを解説。CD再生にはまだまだ可能性が秘められていることを感じられた。
■0.01gまで追求するラックスマンのアナログ再生のこだわり
続けてアナログ再生の時間。アナログプレーヤーにはテクニクスの「SL-1000R」、フォノイコライザーは金賞受賞モデルのフェーズメーション「EA-1200」を使用する。カートリッジはオーディオマニア定番のデノン「DL-103」と、ラックスマンの「LMC-5」(銀賞)の比較試聴を行った。
ラックスマンの営業担当 相田和喜氏によると、「(開発担当の)長妻は、0.01g単位でこだわって製品設計をしているんです」ということで、今回は長妻氏推奨の針圧:2.21gまで設定を追い込んで再生。「M-10X」のBTL再生時にも感じたことだが、とにかく録音現場の空気感の切り出し方が鮮烈。「ワルツ・フォー・デビィ」の食器のガチャガチャやざわめき、拍手などのディテールも鮮明に描かれ、ステージの周りに集まったオーディエンスたちの「期待感」までも共有できるよう。
実はリード線も長妻氏が特別に作った試作モデルということで、「(2025年のラックスマン)創業100周年に向けて、アナログプレーヤーやリード線などアナログ関連アイテムも今後の計画の中に入っています」と相田さん。今後のラックスマンのアナログ関連の展開にも大いに期待できそうだ。
第一部の最後は、第二部で主役となるアクセサリーを先出しでご紹介、ということで、アイレックスが取り扱うスペインのケーブルブランド「Fono Acustica」が登場。ミドルクラスとなるARMONICOシリーズ(グランプリ受賞)の、RCAケーブルとスピーカーケーブルを使用しての試聴を行った。
「Fono Acustica」の特徴は導体に金と銀を使用していることで、コネクタなどもオリジナルのものを使用、端子部のメッキも24Kを使用するなど贅沢な構成がなされている。価格も100万円クラスとハイエンド級だが、このケーブルの魅力について鈴木氏は、「さらに生演奏っぽくなった」と解説。倍音成分などが非常によく出てきて、特にライブ作品では演奏のリアリティが俄然高まってくる。
最後に、予告にはなかったFono Acusticaの仮想アース「Compass」が登場。スピーカーのマイナス端子に接続する仮想アースという珍しい製品で、こちらも専用アースケーブルとセットで100万円超えというド級のアイテム。
だがこの効果がすごい。竹内まりやの「シングル・アゲイン」を聴けば、まさに声に情が乗り、コクや陰影などが一段と深まる印象を受ける。鈴木氏も、「機械が鳴っているのではなく、まさに自然な音楽がそこにある、そういった音楽の世界に近づいてくる感じがします」とコメント。