話題のソフトをWoooで見る
稀に見る難関ソフト「エイリアン・アンソロジー」にWoooが挑む
■特有の映像表現を見事に描き出す“Wooo”
今回P50-XP05の置いてある仕事場は日中遮光が完全に出来ず、視聴に臨み照度計で計ると150ルクスという明るさだった。この環境で『エイリアン』の映像の味である闇の中の恐怖と寒色の寂寥感が味わえるのか不安だったのだが、P50-XP05で見るブルーレイ版は実に見事な映像だった。
冒頭、ノストロモ号が宇宙空間に巨体を現すシーンでも映像の背景の黒が周囲の明るさに負けずどっしり沈んでいる。その黒が赤に寄ったり青味がかったりしない。本物の暗黒である。BDソフトの画質改善も目覚しいが、ディスプレイ(テレビ)の器がいかに躍進したかを実感させられる。
フルHDダイナミック・ブラックパネル2を搭載、コントラスト5,000,000対1のスペックの本機だが、コントラストのボトムだけではない。暗部階調が曖昧にならず、宇宙船の輪郭やディテールが重厚に浮かび上がる。コントラストとガンマカーブの設定が適切で、特筆すべきは暗部のノイズが驚くほどよく抑えられている。映像にざらつきや濁りがなく、宇宙空間のようにクリーンである。だから、乗組員が冷凍睡眠から目覚める前の宇宙船の暗い廊下の表現が50V型大画面に吸い込まれるようなどこまでも遠ざかっていく深い奥行きがある。
宇宙空間に散りばめられた星の輝きも背景の闇に滲まず引き締まった輝きを煌々と放つ。バックライトを持つ液晶方式の場合、こうした小面積で大きな振幅のコントラストが出せるのは、直下型エリア駆動か、日立が手がけるブロック形式のS-LEDに限られるが、自発光のプラズマ方式はある意味究極のエリア駆動である。しかも、日立のパネルは輝度ピークも取れているのでこのダイナミックレンジが表現出来るのだ。
リドリー・スコットのビジュアルの特徴に、全体が暗いシーンに強烈な光を点在させることがある。本作の場合それはサーチライトやカンテラの光であったり、火炎放射器の炎だったりするが、その明暗コントラスト効果が完璧に発揮され、しかも光の種類による明るさの質の違いが一様にならずちゃんと描き分けられている。
黒寄りの階調表現だけではスコットの映像美学は表現し切れない。P50-XP05の場合、パネルの特徴を生かした白側の描写が加わり、映像に大胆さと鋭利な切れ味が生まれる。