新OSの機能も解説
iOS 5.1でついに対応、日本語版「Siri」をオーディオで活用する
これだけの設定で、Siriは日本語を解すようになる。iPhone 4S側で認識するのは波形データだが、これをクラウドに送信するとテキストベースの情報となり、さらに日本語変換システムによって漢字交じりの文章に変換される。
試しに、「きしゃのきしゃがきしゃできしゃした」と話しかけてみよう。数秒後には「貴社の記者が汽車で帰社した」と認識されたことを確認できるはずだ。Siriは意味を理解できないと言うが、「端っこを走る」と「橋を渡る」は見事に漢字を使い分けた。著名人の名前も変換ライブラリに多数登録されているのだろう、歴代総理大臣の多くは一度で認識された。
では、Phile-web的に重要なAV関連での使い途はどうだろうか。結論からいうと、現状ビデオ再生の指示には利用できないが、音楽の再生(アプリ『ミュージック』の操作)にはじゅうぶん活用できる。ただし、いくつかの約束事は知っておいたほうがいい。
まず、命令は基本的に「日本語」だ。曲の再生を開始したい場合、ただ「再生」と言うだけで足りるが、「再生して」でも「音楽かけて」でも通じる。「プレイ」という日本語化した言葉も認識されるので、曲再生に対応した相当数の言い回しがサーバには登録されているのだろう(Siriの命令はすべてクラウド経由で伝わる)。
Siriへの指示は、会話をやり取りする形で実行されることもある。プレイリストの選択がその例で、ただ「プレイリスト」とだけ言うと、「なんという名前のプレイリストですか?」とSiriに質問される。そこでプレイリスト名を言うと、そのプレイリストが選択され再生が始まる、という流れだ。
言葉 | 質問の有無 | 機能 |
再生 | × | (前回停止位置から)再生を開始(「プレイ」も可) |
停止 | × | 再生を停止(「止めて」「ストップ」も可) |
スキップ | × | 次の曲へスキップ |
シャッフル | × | 再生曲順をシャッフルする(「ランダム」も可) |
プレイリスト | ○ | プレイリストを選択する |
○○○を再生 | × | 曲名/アーティスト名/ジャンル名が一致する曲を再生。「〜をかけて」でも可 |
このように、日本語のみ話すぶんには高い認識精度を感じさせるSiriも、外国語混じりの日本語は苦手らしい。具体例を挙げると、Sergio Mendesは「セルジオ・メンデス」と認識されたが、Sergio Mendesとは無関係と判断したらしく、選曲できなかった。曲名についても同様で、You and Iは「ユーアンドアイ」と認識されても、曲の再生にはつながらなかった。
その対策だが、曲名の情報に日本語風の発音を追加すればいい。iTunesで曲情報を表示し、既存の曲名の末尾に読み(カタカナ)を付け加えるのだ。アーティスト名欄に加えると、曲/アルバムをソートするときに困ることになるが、曲名であれば特に支障はない。曲数が多いと対応は難しいが、どうしてもSiriで再生指示したい、という場合の対策にはなるはずだ。
発した言葉 | 結果 | 備考 |
(ジャンル名)を再生 | ◎ | ジャズ、ロック、アニメ、ポップで確認 |
(日本人名)を再生 | ○ | 誤認されても再生できる場合多し(ex. 寺尾聰→てらおさとし、大橋純子→大橋すみこ) |
(日本語曲名)を再生 | ◎ | かなりの高確率で再生に成功 |
(外国語)を再生 | △ | アーティスト名/曲名は失敗多し |
(海上 忍)