【特別企画】日東紡音響のルームチューニング材 ユーザー探訪レポート
「シルヴァン」「アンク」で ルームチューニング − “理想のマイ・コンサートホール”が出来た理由
■シルヴァンとの出会いが実現させた“引き算”から”足し算”効果への転換 |
今回ご紹介する中島武男さんは、もともとはクラシックの音楽プロデュースに携われてきた方で、現在は横浜市金沢八景にある閑静なマンションの6階に住まわれている。
オーディオルームはリビングに設けられていて、17畳ほどの広いスペースにはソナス・ファベールの「アマティ」が整然と設置されている。その左右スピーカーの後方に2本の「シルヴァン」、スピーカー間の中央には「アンクIII」が、そして天井のコーナーには発売されたばかりの「アンクIV」の姿も見える。お部屋に入った瞬間から音楽を楽しめるような空気を感じることのできる空間である。
中島さんのお話は、最近導入したばかりの新製品、天井コーナー用「アンクIV」から始まった。
「アンクIVは天井のコーナーに設置するめ、専用金具を自分で取り付ける必要がありますが、説明書通りに作業すれば簡単でした。うちの壁は石膏ボードなので、ホームセンターで専用のネジを買ってきて、キリで穴をあけて金具を取り付けるだけですから。作業中は石膏の白い粉が落ちてくるので、床に新聞紙を敷いた方がいいですね」。
「アンクIV」の音質効果に関しては後ほどとして、まずは最初に導入された「シルヴァン」との出会いからお話を伺った。中島さんが「シルヴァン」を導入する以前、この部屋は吸音材をあちこちの壁に貼り付けていたという。
「このスピーカーを導入した当時までは、ルームチューニングアイテムは吸音効果のみの“引き算”をするものばかりを使っていました。でも本当はホールトーンを生かして、部屋をその響きにできるような“足し算”のできる製品を探していたのです」
そんな中である日、オーディオ販売店で偶然出会ったのが「シルヴァン」であった。
「お店で実際の効果を試したところ“これはいいね”と思いました。高額な製品で、しばらくは躊躇していたのですが、思い切ってシルヴァンを2本導入することにしました。」
当初スピーカーは後ろの壁につくぐらい奥に設置していたため、「シルヴァン」は左右の一時反射面に設置していたが、効果をさらに引き出すため、スピーカーを手前に移動させた。そしてご自身の耳で確認しながら、現在のような理想の設置場所を探し出した。その“ご自身の耳”こそ音楽プロデューサーとして、特にクラシックホールで生の音を体験してきた中島さんのこと、間違いはないのである。
「響きが適度にあって、音楽がスッと入ってくるような音質が理想だったのです。シルヴァンはそれを難なく実現してくれました。極端に解像度だけを狙うような音は好きではありません。モニター的な音は仕事でさんざん聴いてきたので(笑)」
■「アンクIII」の導入により一気に霧が晴れた音場に |
次に導入した「アンクIII」に関しても、スピーカーの間に設置することで、絶大な効果があった。
「何もない状態では、スピーカーの手前の空間が少しモヤモヤしていたのですが、アンクIIIを入れたことで、一気に晴天のようになりました。まさに台風一過のようでした」
「アンクIII」は最良の高さに設置したかったので、近所のホームセンターに行き、パソコンラックを買ってきたその上に置いている。さらにラックに直接置くとフラッターが出てきたので、バスマットを敷くなど細かい対策も施している。
「アンクIIIは位置を決めるのが面白いですね。設置場所を変える度に木が慌てるんですよ。でも1ヶ月くらい鳴らしていくうちに、その場所に馴染んでいくような学習能力があります。コントラバスの音が全然違ってきますね。アンクIIIは特に低域に効く製品だと思います」
■「アンクIV」の導入により弦の高次倍音が拡がる |
さて、中島さんが最近導入したのが、冒頭でも述べた天井コーナー用の「アンクIV」である。設置場所に関しては少しだけ試行錯誤があった。理由はスピーカーとリスニングポイントの間にある天井の大きな梁の存在があったからである。
「アンクIVはまずは梁の側のコーナーに設置してみましたが、ディテールは上がり、モニター的な音場になりました。そこで現在の位置である正面の壁の天井コーナーに設置すると、音場の広がりがさらに出てきました。私はオーディオ再生に極端なディテールを求めているわけではありませんので、迷う事なく後者を選びました。特に弦楽器の高次倍音がスムーズに出てきて、きれいに広がるようになりました」
ここまで「シルヴァン」や「アンクIII」「アンクIV」の導入から設置に至るまでの話を伺い、中島さんは“オーディオの人”ではない。“音楽の人”なのだと思った。そんな方が選んだのだからこの上ない説得力である。
「できることなら、まずはシルヴァンやアンクの自立式の大きいタイプを導入して、鳴らしたい音が表現できた上で、アンクIIIやアンクIVでさらに音場を整えるという順で導入されるのをお薦めしたいです」
■情報に過ぎない“音”が理想的な“音楽”になる |
そんな中島さんが愛聴するCDをかけながら、「シルヴァン」や「アンク」の具体的な効果を語ってくれた。まずはヴィオラ奏者、今井信子のフィリップスから発売されている小品集。
「ヴィオラの音が鮮明になりました。部屋の音調が整うと倍音もきれいに出てきますね。響きも自然で、音量のバランスもよくなります。本質が引き出され、楽器の大きさもわかるようになりました」
次にオペラ。パヴァロッティが若き頃に歌う「ラ・ボエーム」。
「ここです、パヴァロッティの3オクターヴ上の今の音がなかなか出なかったんですよ」
スカラ座での「アイーダ」も聴く。中島さん自身スカラ座へは2回演奏を聴きに行っているという。
「コーラスもオーケストラも歪み感がなくなり、きれいに出てくるようになりました」
最後にバーンスタイン指揮、ニューヨーク・フィルによるガーシュイン「パリのアメリカ人」と「ラプソディ・イン・ブルー」。
「この録音は本当に丁寧に録っています。マイクをどこに立てていたのかまでよくわかります。日本人にはできない演奏ですね。特にチューバがうまいなあ」
中島さんには、音楽を楽しむにあたって、どこか余裕のようなものを感じる。それはご自身に音楽の聴きどころが染み付いているからに違いない。音楽を知っている、音の基準がわかっている方にとって、オーディオ選び、そして部屋のチューニングはきっと楽しいものに違いないと思う。
「オーディオはただ鳴らすだけなら、それは情報の再生に過ぎません。それを音楽にするには部屋の音響環境はきちんと整える必要があります。シルヴァンやアンクのおかげで、部屋が生き返り、理想的なコンサートホールができました」という中島さん。いまはストレスなく音楽を存分に楽しんでいるという。
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