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DSDアーカイブの使い勝手もチェック

【レビュー】ソニーのDSD録音対応レコードプレーヤー「PS-HX500」使い勝手と音質を検証

公開日 2016/04/05 10:04 山之内 正
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再生時の環境がDSD録音の音質に敏感に反映される

テディ・ウィルソンと北村英治が共演した名盤をDSDで録音する際に、再生オフとオンを切り替えて影響の有無を調べたのだが、音を出さずに録音した場合は、まとまりのよいすっきりとした音になる傾向がある。一方、音を出しながら録音すると、臨場感やエモーショナルな表現の深みが伝わってきて、アナログの良さである生々しさを実感することができた。

ソニー試聴室での試聴風景

再生条件としては後者のほうが不利なはずなのに、それを感じさせないのはなぜか。どうやらその秘密はプレーヤーの音質チューニングにありそうだ。普段レコードを聴くときは、ダストカバーをはずし、スピーカーの音圧を受けやすい状態で再生することが多い。もちろんダストカバーをかけた状態でも振動の影響は皆無ではないので、レコードを聴くときは多かれ少なかれ外部からの振動にさらされるのは避けられないということになる。

それならば、そうした振動の影響を視野に入れたうえで、最適な音が出るように音をチューニングするのが本来のアプローチだろう。PS-HX500で録音した音から再生条件の違いを聴き取ることができたのは、そのチューニングの効果が音になったと考えていいはずだ。もちろん組み合わせる機器や部屋の音響条件によっても結果は変わるので、録音の際に音を出すかどうかは、それぞれの聴き手の判断に任せたい。

基本性能と感度の高さが、音を追い込む楽しみを提供してくれる

レコードの音は再生機器やメンテナンスで大きく変わる。デジタルに比べてその変化の大きさを弱点とみなすこともできるが、むしろ音を自分でとことん追い込む楽しさがあるとも言える。PS-HX500には、その楽しさを聴き手に提供する基本性能と感度の高さがそなわっている。

そして、特に録音形式にDSDを選ぶことで、アナログ本来の実在感豊かな音をレコードに近い感触のままアーカイブする楽しさを味わうことができる。変換プロセスの介在をあまり感じさせないダイレクト感が、レコードのアーカイブに挑戦するモチベーションを高めてくれるに違いない。

(山之内 正)

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