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海上忍のラズパイ・オーディオ通信(13)

話題の64bit機「Raspberry Pi 3」のオーディオ性能をテスト!乗り換えるメリットは?

公開日 2016/04/07 10:30 海上 忍
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ただし、音質という点では現状評価が難しい。USB DAC経由で聴くかぎり格段の差は生じないが、CPUの動作クロック上昇による高周波ノイズの影響は考えられる話で、さらにはWi-Fi/Bluetoothチップ(BCM43143)による影響もゼロではないはず。

とりあえずはUSBケーブルを吟味するとか、ノイズフィルターなどのアクセサリを導入するとかの対策を講じるとして、不要なモジュールを停止するといったソフトウェア的な改善策も必要になるだろう。筆者が数日間Volumio 2 RC1を試したかぎりでは、内蔵サウンドデバイス(snd_bcm2835)の停止がもっとも効果的だった。

■これからラズパイ・オーディオを始めるなら「Raspberry Pi 3」

Raspberry Pi 2から乗り換えるメリットがあるかどうかだが、オーディオ再生に関する機能では有意な差を確認できない。確かにパフォーマンスは向上したが、アップサンプリングを行わないかぎりRaspberry Pi 2の水準でもじゅうぶん足りる(参考:「ラズパイ・オーディオでアップサンプリング! CD音源を変換して高音質再生」)。

Volumio 2は、SquashFSとOverlayFSの採用、およびWeb UIの改良により大幅に操作レスポンスが改善されており、Raspberry Pi 3のほうが軽快度は高いもののRaspberry Pi 2でも不満は感じない。すでにRaspberry Pi 2でオーディオを楽しんでいるユーザならば、敢えて乗り換える必要はないだろう。

とはいえ、Wi-FiとBluetoothが標準装備となったことのインパクトは大きい。これまではどのメーカーのどのWi-Fiアダプタを使うか、ドライバモジュールの設定をどう行うかが導入の高いハードルとなっていたが、Raspberry Pi 3ではそれが解消された。

"ラズパイ3対応"をうたうOSであれば、ドライバは標準装備されているはずで、OSのイメージをmicroSDに書き出すことさえできれば、Volumio 2のようにあっけないほど簡単に「ワイヤレスで使えるハイレゾプレイヤー」となるのだ。本体価格が据え置きということもあり、これからラズパイ・オーディオを始めるというのならRaspberry Pi 3を選択するのが正解だろう。

連載目次
<第1回>
5,000円の手のひらコンピュータ「Raspberry Pi」で自作オーディオを始めよう!
<第2回>
Raspberry Piで自作する“ラズパイ・オーディオ”。音質をあのメーカーに聴いてもらった!
<第3回>
“ラズパイ・オーディオ” の音質を高めよう! 「クロックダウン」で再生を追い込む
<第4回>
“ラズパイ・オーディオ”をフルデジタルアンプ「DDFA」にI2S入力! 鮮烈な音に驚愕した
<第5回>
“音質も変わる? “ラズパイ・オーディオ” のデコーダーをカスタマイズ!
<第6回>
ラズパイは動画再生もイケる!ラズパイらしいYouTube再生アプローチ
<第7回>
ラズパイ・オーディオでアップサンプリング! CD音源を変換して高音質再生
<第8回>
あの高音質ストリーミングはラズパイオーディオで聴けるのか?
<第9回>
ラズパイ・オーディオのクライアントアプリを変えて外観や操作性をイメチェン!
<第10回>
ラズパイ・オーディオで音楽CDのダイレクト再生に挑戦!果たして使い物になるか?
<第11回>
システム更新でラズパイ・オーディオの音質が向上?「Volumio 2」の開発版を試す(前編)
<第12回>
音質だけでなく操作感も劇的進化! ラズパイオーディオを動かす「Volumio 2」開発版を試す(後編)

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