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【特別企画】鴻池賢三が製品の魅力をチェック

革新的バックライト技術を搭載した4Kブラビアの高画質モデル − ソニー「X9300D」の実力にVGP審査員が迫る

公開日 2016/06/03 11:25 鴻池賢三
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HDRコンテンツの場合は、ピーク輝度が高くなるため、液晶テレビには更に厳しい条件となるが、本機ではピークの強い光が周辺に漏れて白く浮く「フレア」が、気にならないレベルまで抑え込まれている。これは、バックライトによって生じたフレアを、液晶パネルで作り出す画柄に細工して、逆補正することで実現している。



HDR処理による違いのイメージ。ソニ ー独自のコントラスト拡張技術「X-tended Dynamic Range PRO(XDR PRO)」とX9300Dの「Slim Backlight Drive」によ り、HDR信号の持つ情報を最大限に引き出す

次にUltra HD Blu-rayの『アメイジング・スパイダーマン2』(北米版)を観賞した。HDRによるコントラストアップにより、日中のシーンでは、直射日光を受けるビルの壁面が力強く、さらに窓を反射する光がリアリティを増す。従来ならば輝度差の少なかった明部に、ピークの伸びが加わることで、実際に風景を見たときのような実在感が再現される。

マンハッタンを遠景に望むシーンでは、無数のビルと無数の窓がディテールを残し、しっかりと背景を形成することで、画の奥行き表現を高めている。シュートのような細工を使わずとも、コントラストが向上することで、隣り合う画素同士の分解能が高まる恩恵なのだろう。

また、カメラがパンしても、その解像度は粘り強く保たれ、立体感を維持すると同時に、目の疲れも少ない。

ソニーの残像低減技術であるモーションフローは、パラメーターが「なめらかさ」と「くっきりさ」の2つに分解され、前者はジャダーを抑えるフレーム補間の度合を、後者はブリンキングの度合と、ユーザーが個別に任意で調整できるようになった。フレーム補間とブリンキングは、個人差や好みが分かれる部分だけに、小さな変更ながらも見逃せない進化だ。

■目を見張った新バックライト技術。リーズナブルな価格も大きな魅力だ

X9300Dシリーズに搭載された「Slim Backlight Drive」の“スリム"という語感から、薄型化を達成するための技術と高を括っていたが、今回の検証を通し、ハイエンドの直下型モデルとも肩を並べる性能を有することが分かった。こうした性能が、スタイリッシュな極薄デザインで、そしてリーズナブルな価格で手に入るのは実に喜ばしい。

読者においても、「エッジライト」の先入観を一旦横に置き、是非店頭で、本機の画質力を確認することをお薦めする。

※本記事は雑誌『AVレビュー』Vol.256(2016年7月号)に掲載された記事のウェブ版です。

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