仮想アースとマグネシウム制振の相乗効果
ティグロンの新型アンダーボードと、"幻の導体"採用のケーブルの音質効果をレポート
まず、アースケーブルを付けずにボード単体で試聴する。最初の相手はティグロンが製造し、サンシャインから発売されているSボード「S40」である。これは15mm厚積層ロシアンバーチ基材の最上層を刳り抜いて2mm厚純マグネシウム板を張った2層構造のオーディオボードで、1万4000円(税抜)という超低価格なのに音質改善効果が高く市場では大人気だ。
しかしボードを3層構造の「TMB-10E」に替えると音の立ち上がりと立ち下がりがより急峻になり、ダイナミックレンジが上下に拡張されて瞬発力が増し、質感もより自然になる。上位モデルのTMB-50(7mm厚MDFの上部を1mm刳り抜いて2mm厚純マグネシウム板を加圧接着し、3層目に11mm厚古木チーク材、最下層に7mm厚MDFを貼った4層構造。価格は4万8000円/税抜)に肉薄する音質改善効果だ。
■アース線を接続しての試聴
聴感上のノイズレベルが一変し、透明感や瞬発力がさらに向上
次に、「TMB-10E」に付属アースケーブルを接続して試聴。DP-600にはアース端子がないので、XLRアナログ出力端子の固定ビスを緩めてケーブルのYラグを取り付けた。すると最初の音が出た瞬間に違いが分かるほど音質が一変。聴感上のノイズレベルが下がって各楽器の見通しが良くなり、透明感や瞬発力がさらに向上。ウッドベースは胴鳴りがゾクゾクするほど生々しくなり、アース線なしのTMB-50を凌駕する音質だ。2万8000円(税抜)という価格からは想像しがたい、度肝を抜く音質改善効果である。
しかし私が常用しているTMB-50は、マグネシウム板にアース用ネジ穴加工をしてあるので、ティグロンのアースケーブルを装着したらこちらも音質が激変。アース付きTMB-10Eより底力のある音になった。アースの効果は絶大なのだ。塩ビ被覆銅線の両端にミノムシクリップを付けた自作アース線と比較すると、ティグロンアースケーブルの方が瞬発力があってダイナミックレンジが広く、低域がパワフルである。アース線には顕著な方向性があるので、自作アース線を用いる場合は音が良い方向を耳で確認する必要がある。
なお「TMB-10E」の発売を記念して、TMB-50にネジ穴加工を施してアースケーブルを付属した50台限定生産品「TMB-50E LIMITED」が5万4000円(税抜)で発売される。TMB-50愛用者には、マグネシウムアースケーブル付きの本体加工を1万円(税抜)で対応するとのことだ。