<山本敦のAV進化論 第120回>
Amazon FireTV Stickの対抗馬?「AirStick」で新映像配信「TSUTAYA movie」を試す
作品ページの中に入ると、監督や俳優、音楽家、脚本家などの情報が並び、それぞれをキーワードに設定しながら興味のある作品までたどり着ける動線はよくできている。
TSUTAYA movieのページに入ると、タイトルを選択してからのページ移動や動画再生を選択した後に視聴画面が表示までのタイムラグなど、リモコンの反応がFire TV Stickに比べるとややもたつく感じを受けた。
いまのところAndroidアプリのみになるが、スマホやタブレットで動画が視聴できる「TSUTAYA movie」アプリの方がレスポンスは良好だ。最新のXperia XZで試した感覚なので、この辺りの操作性はハードウェアのスペックに依存するのかもしれない。
自宅ネットワーク回線の速度を調べて、下りのスループットが約20Mbps前後をコンスタントに出せていることを確認しながら映像を視聴した。画質はフルHDとなり、高/中/低画質と自動選択をマニュアルで切り替えられる。
自宅環境でノイズやコマ落ちのない精彩感のある映像が楽しめた。毎10秒のサムネイルを表示しながら見たいシーンを細かく探せる。
途中で視聴をストップした場合は、AirStick本体の電源を落としてしまっても前回に再生したポイントが記録され、タイトルをそのまま再生してもいいし、「マイページ」のメニューから視聴中作品の一覧にアクセスして作品ごとに視聴を再開できる。AirStickで視聴していた映画の続きを、同じアカウントでログインしたスマホのTSUTAYA movieアプリで続けて見られる機能がとても便利だ。
なお、スマホアプリの方は見放題作品を端末にダウンロードしてオフライン再生もできる。ダウンロード時には画質は高画質/標準画質/低画質が選べる。ひとつのアカウントで同時に複数の端末からは視聴できないので、AirStickをフリーな状態にしておくためにも、あらかじめゆっくり見たい作品はモバイル端末にダンロードしておくスタイルがおすすめだ。
■今後のリッチコンテンツへの対応も気になる
TSUTAYA movieを運営するCCC AIRでは、今後ソフトウェア更新による機能追加や、4Kテレビのユーザーにとっては嬉しい4K/HDR対応のAirStickの兄弟機を初夏を見込んで発売予定だという。
ユーザーにとってはコンテンツが充実していく量と方向性も気になるところだが、そこはAirStickとして競合サービスのアプリも使えるようにして、動画配信を幅広く楽しめる便利な端末としてアピールする考えのようだ。もっともTSUTAYA movieにオリジナリティの高いコンテンツを追加したり、コンテンツサービスとして充実させていくことにも力を入れて欲しいと思う。
AirStickはBluetooth接続の機能も備えている。今後は高音質コーデックのaptX HDにも対応を予定しているという。そのスペックをどう活用するのか、コンテンツサービスとの連携も気になるところだが、例えばPrime Seatのハイレゾストリーミングのような音楽配信サービスをプラットフォームに取り込んできたら面白くなりそうだ。
後発の映像配信サービスながら、先駆者に負けない大胆で独創的な戦略に打って出てくれることを期待したい。
(山本 敦)