【特別企画】音質と安定接続、装着感を満たす
満を持して登場、完全ワイヤレスイヤホンの本命。ボーズ「SoundSport Free」レビュー
快適性という点では、専用アプリ「BOSE Connect」の貢献も大きい。NFCによるペアリング処理に対応しないiPhoneの場合、Bluetooth機器を利用する時は手動で登録することになるが、このアプリを使えばアイコンを下方向へドラッグするだけでOK。いちいち「設定」アプリを起動する必要はない。
しかも、最後の使用場所を地図で表示したり、音を出したりして現在地を知らせる追跡機能も用意されているので、快適なイヤホンライフを過ごせるはずだ。
■チューニングの妙を感じさせる高音質
気になる音質だが、“ボーズの意地” とでも言うべきか、チューニングの妙を実感した。ペアリングしたスマートフォンはiPhone 7、再生アプリはiOS付属の「ミュージック」で、音源はiTunesの標準設定(AAC 256kbps)という標準的なものだが、同じく圧縮音源を扱うストリーミングサービスの利用を考えればテストケースには好適だろう。
女性ボーカル曲では、くっきりとしたボーカルの定位と左右のセパレーションを実感。ピタリと中央に定位し、優れたセパレーションも相まって脳内で彼女の声が響くかのようだ。
完全ワイヤレスイヤホンのセパレーションの優秀さはあえて語るまでもないが、逆に弱点とされる、定位がフラフラと動く現象(フェージング)が感じられないのは、ワイヤレス信号の強度と安定性を高める設計に成功しているからだろう。
また「音楽を楽しめるかどうか」という目線でも、高い水準をクリアしている。低域の量感はやや豊か程度で多すぎず、中高域とのバランスも良好だ。
同じ女性ボーカルの別の曲では、ドラムもキーボードも輪郭が明瞭に描写されキレ味がいい。カリプソ風ビートにさまざまな楽器やボーカルが絡んでいく構成の曲で、帯域のバランスに難があると違和感を覚えやすい点もあるのだが、すっきりと聴かせてくれる。これは、SoundSport Freeにおけるチューニングの妙だろう。
…と、しばらく音楽を聴いている内に、かれこれ4時間以上経過していることに気付いた。スペックシートでは連続再生5時間というから、完全ワイヤレスイヤホンとしては長めと言っていい。
充電ケースはフル充電2回分の容量、つまりフル充電の状態から15時間再生できることになるから、実用上問題になることはなさそうだ。なお、15分の充電で45分動作という急速充電に対応しているため、自宅から駅までの道すがらバックの中で充電するだけでも十分使える。
このように、完全ワイヤレスイヤホンならではの装着性と利便性を満たしつつ、高いレベルで快適性を実現している「SoundSport Free」。完全ワイヤレスの弱点といえる音途切れやフェージングを徹底的に排除し、軽さとフィット感を追求したこのイヤホンには、ボーズの“本気”を感じる。満を持して登場した完全ワイヤレスの本命だ。
(特別企画 協力:ボーズ)