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ケン・ボール氏に3機種へのこだわりを聞いた

Campfire Audioの新イヤホン「ATLAS/COMET」&ヘッドホン「CASCADE」3機種一斉レビュー

公開日 2018/05/23 16:30 佐々木喜洋
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「ATLAS」「COMET」「CASCADE」3モデル一斉試聴

さてここからは、実際に「ATLAS」「COMET」「CASCADE」3機種を試聴、それぞれのサウンドを紹介していこう。

ATLASはヘッドホンのような厚みあるサウンドで、名前の通り“広大”な音再現

上位モデル「ATLAS」の音質の決め手は、ドライバーの振動板に採用したA.D.L.C.(アモルファス・ダイアモンド・ライク・カーボン)。ダイヤモンドでコーティングしたような非常に高い硬度を持つことで変形しにくく、音楽信号を正しい振動で空気に伝えることができる。さらに軽量でレスポンスも良く、忠実な音楽再生を実現するという。

耳に装着してみると、大柄ながらフィット感も良く、重さもあまり気にならない。付属ケーブルはとてもしなやかで、タッチノイズも少ない。音を聴くと、その「巨人」の名の示すところがよく分かった。イヤホンとは思えないほど広大で、重みさえ感じられる。ビッグな音鳴りで高い音圧が感じられ、まるでヘッドホンで聴いているようなのだ。

見た目には大柄ながら、耳への収まりも良く装着感は高い

特に中低域にかけての重厚な再現力が素晴らしい。たっぷりとした低域の量感によって、厚みのあるダイナミックドライバーらしい音が楽しめる。ヘッドホンのような音の重みはとても気持ち良く、たっぷり空気を押して音楽を再生している感じが伝わってくるようだ。パーカッションの打撃感には、破壊力と形容したくなるパンチ力がある。

高域は鮮明に、中高域の楽器音はとても明瞭で、VEGAに近い印象を受けた。立体的な楽器の音の重なりの表現も、シングルドライバーゆえの位相が揃っている利点だろうか。筆者は試聴する際、音の傾向が掴めたらすぐに次の曲へスキップするのだが、ATLASは聴いていて楽しくなるような音作りで、最後まで曲を楽しみたくなった。

ヘッドホンで聴くような、厚みのある音が心地良い

ATLASの名が指す通り、広大な音再現と迫力ある音の重みが感じられ、高いレベルの音質を堪能できる。まさに高級腕時計のようなフラッグシップにふさわしいモデルだ。

COMET:エントリークラスの価格帯を超える、ワイドレンジ再生と豊かな表現を持つ

エントリーモデルにあたるCOMETは、1BAのシングルドライバー構成で、人気の従来モデル「ORION」を連想させる。またエントリーといっても、ATLASと同じく筐体はステンレススチールを採用しており、高級感もある。

サイズ感はスリムかつコンパクトで装着感も良く、女性の小さな耳にも適合しやすいだろう。実際に手に取るととても軽く、こちらも高級時計のような美しい質感。25,000円程の価格帯でこの高級な仕上げとは驚きだ。

シングルドライバーはマルチドライバー構成と異なり、複雑なクロスオーバーによるロスがなく、音ズレといった位相問題も無いため、Ken氏が言うように上手に設計すればその利点を音質の良さにつなげることができる。COMETではベント穴の開いた「Vented BAドライバー」で低域を広げつつ、独自のチューブレスデザイン「T.A.E.C.」により高域をさらに透明度高く、伸びやかに向上させているのだ。

「COMET」¥OPEN(市場想定価格24,800円前後)

音を聴くと、シングルドライバーという先入観は早々に払拭された。多様な音楽をワイドレンジに再現してくれる。多くの1BAドライバーのエントリー機種では、高域寄り、もしくは低域寄りな音になりがちだが、COMETは低域から高域まで非常にバランスが良い。

中高域はキレイにすっきりと伸び、美しく楽器音を再現する。低域の量感は控えめだが、BAドライバーらしいパンチがある。また、全体に歪み感の少ない音再現で歯切れも良い。ジャズトリオのリズムでは刻みが小気味良く再現され、ヴォーカルの声も聞き取りやすい。

もう一点、特筆したいのは、COMETは低価格モデルにありがちな音の薄さや粗さが無く、まるで高級機のような厚みと豊かな音再現が楽しめることだ。外観も音質も、価格を大きく超えたモデルと言えるだろう。

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