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“Hi-Fi級のステレオ再生” は本当か? マランツ「SR6015」から、今まで聴いたことのない音が出た
また音声周りの重要なトピックとして、新4K/8K衛星放送で採用されている音声フォーマット「MPEG-4 AAC(ステレオ、5.1ch)」に対応したことがある。筆者も4Kチューナーを繋いで同放送を楽しんでいる一人だが、最近はNHKが4K/8Kで良質な画質・音質を持つ映画、スポーツ、ドキュメンタリー番組等を多数放送していたりと、衛星放送のコンテンツとしての価値が高まってきているため、その音声方式にネイティブ対応した意味は大きい。
HDRとサラウンドフォーマットへの対応状況も充実している。HDRは基本となるHDR10とHLGに加え、上位規格であるDolby VisionとHDR10+をカバーし、Dynamic HDRにも対応している。
サラウンドフォーマットは、Dolby AtmosとDTS:Xに対応したうえで、IMAX Enhanced認証も受けたことがトピック。これにより、IMAX Enhancedコンテンツの再生に対応した「IMAX DTS」「IMAX DTS:X」モードを利用できる。
さらに、近年注目を浴びるバーチャル3Dサラウンド「Dolby Atmos Height Virtualizer」と「DTS Virtual:X」にも対応する。これにより2チャンネルのステレオ環境や天井などにハイト/サラウンドスピーカーが設置されていない環境でも、高さ方向や360度のサラウンド効果を擬似体験できる。もちろんベストは専用スピーカーを設置することだろうが、まずは手軽なステレオ再生とバーチャル3Dサラウンドを組み合わせて楽しんで欲しい。これだけでもAVアンプを導入した価値が出てくるはずだ。
ここまで映像関連の紹介をしてきたが、オーディオ周りの機能も充実している。Bluetooth/無線Wifi/有線LANのインターフェイスを装備しており、マランツのネットワークオーディオ製品が使える「HEOS」が利用可能だ。
HEOSではNASを利用したデジタル楽曲ファイル再生や、Amazon Music HD/AWA/Spotifyなどの定額ストリーミングサービスを利用できるため、ストリーミングやハイレゾのローカルファイルが音楽再生の中心なら、SR6015を導入すれば、他にソース機器を用意する必要はない。MM対応のPhono入力を含めてアナログ/デジタル音声入力も豊富なので、手持ちのCDプレーヤーやアナログプレーヤーも接続できる。
Bluetoothは受信および送信に対応しており、AirPlay 2やBluetoothを利用したスマホからの音楽再生や、Bluetoothヘッドホンを接続してのリスニングもできる。スマホとの親和性の高さもありがたい。
■AVアンプとしては“異様なほど”に徹底的な音質対策
…と、ここまでの仕様を見る限りでも、本機が映像、音声とも全方位的な対応力を備えるコストパフォーマンス抜群の機器だということが分かるだろう。そしてここからは、目玉であるステレオ再生時の音声品質と、それに関連する設計についてご紹介したい。その音質対策はAVアンプとしては異様なほどに広範囲かつ周到だ。
プリアンプ回路にはマランツ最上位のHi-Fiステレオアンプ「PM-10」をはじめ、同社のアンプ群で採用される高速アンプモジュール「HDAM」を搭載。パワーアンプはなんとフルディスクリート構成である。
電源周りのこだわりもかなりのものがあり、電源トランスは大型のEIコアトランスを採用した上、パワーアンプ部のブロックコンデンサーには、マランツのサウンドマネージャーである尾形好宣氏の徹底したリスニングにより開発されたという、専用カスタムコンデンサー(12,000μF/71V×2)を採用。回路部のキーパーツ類も尾形氏が選定している。
入力セレクター、ボリューム回路、出力セレクターは、それぞれ専用のカスタムデバイスが投入され、最短の内部信号経路を実現。DACチップは旭化成エレクトロニクスの「AK4458VN」を採用し、D/Aコンバーター回路を専用基板とシールドにより独立させることで、シャーシ内へノイズが飛び込む事を防止している。
そして、ここが最大のポイントだが、そのサウンドチューニングは、マランツのHi-Fiオーディオアンプの音決めを一手に担う尾形氏が、その感性のもと徹底的に行ったというのだ。まさにオーディオ用アンプさながらのこだわりぶりだが、肝心の音はどうだろうか?