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【オーディオ銘機賞 金賞・銅賞受賞】

エソテリックのSACD/CDプレーヤー中核モデルが進化。第4世代「K-01XD/03XD」の音はどう変わった?

公開日 2020/12/10 06:45 鈴木 裕
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■K-03XDはオーディオという枠を取っ払ったかのような解放感がある

まず、K-03XsとK-03XDの関係から言うと、帯域バランスはXsの低音感多めからXDではフラットに変化した。サウンドステージは広いのだが、オーディオという枠を取っ払ったかのような解放感があるという意味では、K-03XDは別格である。

K-01XDとK-03XDのリアパネルは共通。アナログ出力はRCAとXLRが各1系統。デジタル入力は光TOSと同軸RCA、USB typeBを搭載。またMQAデコーダーも搭載し、MQA-CDの再生も可能。BNCのクロック入力も搭載する

さすがディスクリートDACの威力、という説得力がある。もちろんVRDS ATLASの威力もあるのだろう。XsとXDを比較すると、残念ながらDACチップの存在がひとつのネックになっていたのだなと納得させられてしまう。

広い空間に立体的な音像が定位し、その全部にフォーカスが合っているような感覚。これはGrandioso P1X/D1Xから始まったATLAS+ディスクリートDACという組み合わせに共通する抜本的な再生能力のポテンシャルに感じる。逆に言うと、そうした広いサウンドステージを成立させるために、さらなる電源部の充実が必要だったのだろうとも思う。“春はあけぼの、オーディオは電源”である。

■K-01XDは、より生命力高くミュージシャンの実在感が高まる

以上のK-03XDに対してK-01XDの音はどうなるか。率直に言って値段分の違いは間違いなくある。残念ながらある。トロイダルトランスは4個、スーパーキャパシター71本という物量投入の威力でもあるし、実はディスクリートDACに使用しているパーツの特性の揃い方が違う。K-01XDでは選別品を使用している。逆に言うと、ディスクリートDAC部の設計自体はK-01XDとK-03XDは基本的に同一だ。

K-01XDの内部。左が下部で右が上部からみたところ。DAC部を支える大容量トロイダルトランスは、L/R独立で合計4基搭載されている

サウンドステージの広さはさらにK-01XDの方が広くなるし、ひとつひとつの音に余裕を感じる。音像の分離の良さ、ひとつの音の情報量の多さはさすがだ。分離のいい分、押し出しが良く聴こえたり、空間が広く感じたりしているとも言える。

特徴的なのは、より生命力が高く、エネルギー感や音ひとつひとつがほぐれている感じが強まっている点。音楽的に言えば、一人一人のミュージジャンの実在感が高まるし、K-03XDで聴くよりももっと上手なミュージシャンが演奏しているような感覚になる。オーディオ的な能力、ハイファイ性能が音楽表現力に直結しているところがさすがKシリーズなのだ。濃密で上質、より深い音楽体験をもたらしてくれるK-01XD。

2機種ともに満足度はかなり高いが、もしK-03XD購入予定の方であれば、K-01XDは試聴しないことを薦めておく。


本記事は季刊・オーディオアクセサリー 179号からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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