SACDマルチ再生ならREAVON「UBR-X200」以外に選択肢なし！その音はユニバーサルプレーヤーの“枠”を超える

優れた分解能と粒立ちのいいサウンド再生。映画鑑賞でも実力を多いに発揮

続いては映像コンテンツにおけるサウンドチェックだが、UBR-X200の映像面のクオリティについても軽く触れておこう。ソニーの有機ELテレビ「XRJ-55A90J」に繋いでみたが、色ノリが良く、カリッとした解像度の高さよりはテクスチャーの陰影や濃密な色表現に重きを置いている印象である。

S/N良くヌケの良い絵作りであり、自然な立体表現と奥行きの深さも十分に感じ取れた。フィルムライクで官能的な色彩表現は長時間見ていても疲れにくく、没入感ある映像体験を味わえるだろう。この色味の良さは単一色を比較的広めのテクスチャーに配色するようなアニメコンテンツにも有効に作用する。影のグラデーションも階調性良く、暗部表現も曖昧さがない。

サラウンドシステムとしてはフロントにダリOPTICON 6 Mk2、センタースピーカーにダリ「OPTICON VOKAL Mk2」、リア／サラウンドバックにそれぞれダリ「OPTICON 2 Mk2」、サブウーファーにダリ「SUBE-12N」を1基、イネーブルドスピーカーにオンキヨー「SKH-410」をフロント／リアに配した、イマーシブサラウンド対応の7.1.4ch環境を用意。

まずはDTS-HD Master Audio 6.1ch収録の『スカイ・クロラ』チャプター15・空戦シーンをチェックする。BGMはスッキリと浮き上がるしっとりとしたストリングスと、ぐっと沈み込み高密度なベースをコントラスト良く表現。戦闘機のエンジン音はドライな傾向であり、飛行シーンではボディの厚みも伴うスムーズな空間移動をみせる。

銃声の太さと歯切れの良さ、方向性の正確さも優れ、リアルな音場が展開。セリフは重心が低く落ち着いたトーンで口元の潤い感もあり、ウェットで耳当たりが良い。

そしてドルビーアトモス収録の『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』は冒頭シーンを確認。低域の押し出しもリッチで、弦のハリや艶、粒立ちを明確に引き出すBGMは生々しく雰囲気の良い緻密な描写である。

分解能も高く、セリフも滑らかで聞き取りやすい。銃の種類ごとに厚みの違う音色を描き分け、銃声のキレ、方向性も明確だ。爆発音や跳弾の金属音も派手に響き、全体的にゴージャスな傾向である。しかし上空でホバリングするヘリの音など、丁寧に空間を描き出し、SEで場面状況が掴み取れるほど情報量は多い。

ライブフィルムのサウンド描写はより臨場感が向上

UHD BD版『ボヘミアン・ラプソディ』チャプター22 “ライブ・エイド” 冒頭シーンはウェンブリー・スタジアムの歓声が上方向からも降ってくるような、臨場感ある包み込まれる音場が展開。立体的な描写性も見事だ。

拍手の粒立ちも細やかで、MCの迫力ある呼び込みも際立っている。ピアノのブライトなアタック感もクリアに拾い上げ、ボーカルも口元の輪郭をキリっと引き立て、力強いステージのパフォーマンスを鮮度良く描写。ドラムやベースの密度感も高く押し出し感もパワフルで、ライブの躍動感をメリハリ良く演出してくれる。

Official髭男dismのシングル付属BD『ONLINE LIVE2020 -Arena Travelers-』では、ふわっと音場が立ち上がる開幕の空間性も自然で、音場の広さを実感。密度良いベースとフラッシーなエレキギターの対比もバランスが取れており、編成の大きなバンド全体を分離良く描き出す。ボトムの太さもしっかりとした安定的なボーカルは、口元のハリ感も爽快に表現。息遣いの潤い感まで鮮明にトレースしてくれる。

ホーンセクションの爽やかな浮き立ちやスラップベースのアタック感、コシのあるディストーションギターのリフも丁寧に描写。リアルさと耳当たり良い艶ハリ滑らかなディテール表現を巧みなバランスで両立した絶妙なサウンドチューニングである。

◇

2chやサラウンド、様々な映像コンテンツを確認するにつれ、UBR-X200の柔軟な対応能力と表現力の高さに驚かされた試聴であった。いくら良いパーツを集めて構築したとしても、その素材をまとめ上げる実力がなければ、ディスクに込められた情報や作品の本質に迫ることはできないだろう。

REAVONはこの “素材をまとめ上げる力” を持つブランドであり、UBR-X200の持つスペック的なポテンシャル以上に、作品に寄り添った能動的、官能的な表現を見せてくれるプレーヤーに仕上げられている。音質、画質をより踏み込んだ領域でチューニングした、フランスならではの芸術的センスを十二分に感じられるプロダクトといえるだろう。

（企画協力：タクトシュトック）