PRシリーズに加わった良質なエントリーモデル
コレクションに加えたいイヤホンがまた1台、ゼンハイザー「IE 200」の音を確かめてほしい
着脱可能な編組ケーブルは絡みにくく、高い強度を確保。ケーブルのイヤホン側コネクターは汎用性の高いMMCX、再生デバイス側は3.5mmのL字型プラグとしている。イヤホン側のコネクターはやや凹みの深いデザインとしているので、リケーブルを探す際には形状がフィットして、コネクターがしっかりとロックするか確かめておきたい。
IE 200はループ掛けスタイルで装着するイヤホンだ。耳元にはループ掛けが安定するように、折り曲げて形状を保てるシリコン製のループガイドがある。本体がとてもコンパクトなので、耳の小さい方でも心地よいフィット感が得られると思う。
様々な種類の音楽に自然と寄り添える柔軟さ、色んな用途に使いたくなる
今回はIE 200を最新のMacBook ProとQuestyleのポータブルDACアンプ「M15」との組み合わせで聴いた。音源はApple Musicのハイレゾロスレス/ロスレスの楽曲を選んでいる。イヤーピースのポジションは低音再生を重視して深く挿入している。
シユイの「君よ 気高くあれ」では、透明感あふれるボーカルが見晴らしのクリアなサウンドスケープの中央に凜として描かれる。弦楽器のハーモニーがとても艶やかだ。クリーンとクランチ、エレキギターの幅広い音色を濁らせることなくとても素直に再現する。パワフルで立体的なビートが足もとを安定させる。低音は量感でモノを言わせるタイプのイヤホンではなく、音の芯がどっしりと響いて揺るがない。しなやかで筋肉質なビートに好感を持った。
ルーベン・ゴンザレスのアルバム『Introducing』から「Melodia del Rio」は甘いメロディの余韻がもったりとせず、ミントのような清涼感を残す。ピアノのタッチは少し硬質め。音色はややビビッドなのに、余計な色づけを感じさせない。ベースやパーカッションのドライで小気味よいリズムも痛快。時間と空間を超えて演奏の世界にすっと入り込める。録音を通じて、音楽が演奏されている情景をリアルに思い描ける楽しいリスニングだ。
続けてカイリー・ミノーグのアルバム『DISCO』から「Real Groove」を聴いた。描かれるサウンドスケープがとても雄大で、ライブハウス、あるいはダンスフロアに漂う緊張が伝わってくる。ビートは立ち上がりが鋭く肉付きも良い。粒立ちよく軽快なエレキギターのカッティングとの対比も面白い。ボーカルは目の前にまで迫ってくるような生々しさが感じられた。
ニュートラルな音のバランスを基本としていて、低音は量感よりもパンチ力重視。音場はクリアで広い。写実的でむやみにエンターテインメント性を追求しない、ゼンハイザーらしい真面目な音づくりを貫いたイヤホンだ。聴き疲れることなく、長く音楽リスニングが楽しめる。
Xperia 5 IVでも、同じ楽曲をApple Musicで再生した。繊細なニュアンスの再現力にも富むハイレゾ対応スマホであるXperia 5 IVとIE 200との相性がとてもよいと思う。IE 200はインピーダンスを18Ωに設定しているので、スマホでも鳴らしやすい。スマホの場合、音楽コンテンツだけでなく、映画やゲームのサウンドを楽しむ際にも高品位なイヤホンがあると、体験により深くのめり込める。IE 200は映画やドラマのセリフのニュアンスを巧みに引き立て、ゲーミングコンテンツは作り込まれたサウンドのリアリティをストレートに高める。色んな用途に使い倒したい。
2021年1月に発売されたIE 300以降、ゼンハイザーの新しいIEシリーズのリリースがコンスタントに続いている。IE 200も含めて、筆者が愛用するIE 80 S、IE 800 Sともまたひと味違うキャラクターの違いがある。ゼンハイザーが掲げる原音探求のコンセプトを共有しながら、様々な種類の音楽に自然と寄り添える柔軟さがまた一段と高まったように感じるのだ。ゼンハイザーのことをよく知るファンもぜひIE 200の音を確かめてほしい。きっとコレクションに加えたくなるはずだ。
(企画協力:Sonova Consumer Hearing Japan)