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【特別企画】プリメインアンプの実力をCD/アナログ/ヘッドホン再生で多角的に検証

ラックスマン「L-509Z」はワンボディでセパレート並みの回路構成を実現。普遍的なサウンドと絶対的なクオリティは必聴!

公開日 2023/05/08 06:30 生形三郎
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開放的な躍動感に満ちており、実に感動的な音質



それでは、前置きはこれくらいにして、実際のサウンドインプレッションをお届けしたい。結論から先に申し上げて、実に感動的な音質だ。透明で開放的な躍動感に満ち満ちていて、音楽の美しさにゾクゾクとさせられてしまうのである。

アナログ&CDで「L-509Z」の音質をチェック!

最初にBill Charlap Trio『Notes From New York』のCDを聴くと、ピアノトリオ音源の、その音の素早さに驚かされた。一切の色付けを感じないクリーンな音色再現の上に、躍動感溢れる演奏描写が実現している。ピアノの打鍵は、実際のピアノ演奏を耳にするような硬質で素早い立ち上がりがありながらも歪を感じさせず、タッチの強弱が自然に引き出される。

アナログプレーヤーにはラックスマンの「PD-171A」、CDプレーヤーにはテクニクスの「SL-G700M2」を組み合わせ。スピーカーはB&Wの「803 D4」

ドラムスも、ともすると粗や詰まりが聴こえがちなシンバルの音も、強弱やレゾナンスの階調が実に細かい。ウッドベースは、決して緩んだり膨らんだりせず直線的にすくっと立ち上がりながらも、スムーズな肌触りとボリュームがある。また、いずれの楽器もその姿は写実的で立体的である。総じて、緊張とは無縁のニュートラルな再現力で、音楽が自然に湧き出てくる音なのである。

続いて女性ジャズ・ヴォーカル、ケイコ・リー『Fragile』では、やはりクリーンな音色再生の上に立脚する立体的な再現能力が白眉である。多くの音楽ソースは、一般的に、異なるマイクロフォンが捉えた楽器や歌声の姿を混ぜ合わせる、つまりミックスすることで作り上げられる。

筆者のイメージとしては、それらが時に、多重露光写真のように重なった絵として描かれると捉えている。そして、それらの姿は、オーディオ機器によって当然描き分けが異なるが、トランスペアレントなアンプというものは、この多重露光の様が鮮明に描き出されると実感している。このアンプの再生では、まさにその多層的な露光の様子が手にとるように見えてくるのである。

また、このアンプの本当の凄さは、そのような単なる透明性に留まらないところにある。それは、その音楽が本来持っている晴れ晴れとした気持ちや喜びまでもが伝わってくることだ。

大型のメーターやスイッチ類もこだわりで、見る・触れる楽しみももたらしてくれる

祝祭的なバロックアンサンブルのミサ曲を聴いた際の再現性がそれを物語っていた。バッハ・コレギウム・ジャパンの「J.S.バッハ:ロ短調ミサ」は、ハーモニーの微細な積み重なりによって、和音や調性が持っている微妙な色合いや肌合いが含まれていることが特徴だ。よって、それらの機微を再現できなければ、音楽が持つ魅力も半減してしまう。しかしながら、そういった微妙な色合いを伴った音たちが、澄み切った音色で空間へと嬉々として音が乱舞散逸していく様がしっかりと再現されている。

このような再現は、まずハーモニーに対しての鋭い着眼がなければ決して引き出すことができないものだと私は考えている。そもそも設計者が頭の中にイメージすることができない音は、機器としても再現できないはずだからだ。ピュアで透明でいながらも力強く、感動的。こんなリスニング体験はなかなか出会えるものではなく、同席の編集担当としばし半ば呆然と聴き入ったほどだ。

ダイレクトカッティング盤からは、演奏の熱意がそのまま迫ってくる



続いて、内蔵のフォノイコライザーアンプを用いて、アナログ再生もテストした。ダイレクトカッティングで収録された八木隆幸トリオ『CONGO BLUE』、こちらもやはりストレートに、まっすぐに胸に届いてくるサウンドだ。特に驚いたのが、やはりドラムスのシンバルの音だ。シンバルも音程を持っているが、その音程がなんとも鮮明なこと。余韻がシーンと透明感ある音で伸びていくさまが実に快い。

レコード入力には専用回路を開発。MCカートリッジはハイ/ロー2段階ゲイン切替が可能

同時に、一打一打の躍動感や立体感が秀逸で、演奏の熱意がこちらに迫ってくる、胸がすくようなサウンドを堪能させてくれた。MC-Hのポジションでの試聴であったが、ハイレベルなMCカートリッジの使用にも十全に楽しませてくれるクオリティだ。

最後に、ヘッドホンアンプ部も確認したが、こちらも非常に素晴らしかった。ヘッドホンの存在が消えるかのような立体的かつ清らかな音なのだ。ラックスマンのプリメインアンプでは、ヘッドホンアンプ部は専用の回路を設けず「パワーアンプ出力を抵抗で下げる方式」を採用しており、それが奏功してか、まさにスピーカーで聴いた透明感や躍動感が、ヘッドホン再生でそのまま堪能できるのである。このサウンドをヘッドホンでも味わえるのはじつに至高だ。

ゼンハイザーのヘッドホンで、ヘッドホンアンプとしての実力もチェック



以上、ラックスマンが20年にわたり追求してきた「ワンボディセパレート」で辿り着いた、新たな境地が味わえるのがL-509Zである。これぞまさに、現代ラックスマンの真骨頂ともいえるサウンドだ。次世代増幅帰還エンジン「LIFES」がもたらした可能性と高精度かつ高音質なボリューム操作を実現した「LECUA-EX」が織りなす究極のプリメインアンプのサウンドを、是非ともあなたの耳でもお確かめいただきたいと強く願う。

(提供:ラックスマン)

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