PR音質・装着感・ノイキャン性能を徹底チェック
ゼンハイザー「ACCENTUM True Wireless」レビュー。音も機能も妥協したくない“こだわり派”にお薦め
ボーカルは口元の輪郭感を滑らかに捉え、ボディの厚みも持たせてきつさを感じさせない。過度に低域を強調するようなことはないが、ベースラインの逞しさ、リズム隊の存在感を出しつつ、中高域の涼やかな響きも両立させ、ヌケ感の良いサウンドを聴かせてくれる。
クラシック音源として、レヴァイン指揮/シカゴ交響楽団『惑星』から「木星」を聴いてみたが、冒頭の弦楽器パートの細やかな旋律もアクティブノイズキャンセル機能によって抑揚良くクリアに描写。金管楽器や木管楽器の響きも厚みを持たせつつ爽やかにまとめている。
ティンパニのアタックは皮のハリ艶をクリアに引き立たせ、胴鳴りの豊かさと対比良く描く。ハーモニーのふくよかな響きが耳当たり良いが、各パートは分離良く定位し、ローエンドの制動性も高い。高域にかけて滑らかなタッチで艶良く滑らかにディティールを引き出しており、硬くナーバスな描写とならないのが美点だ。
ACCENTUM True Wireless音質レビュー(2):ジャズ・ロック・アニソンはどう鳴らす?
ジャズ音源ではオスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』から「ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー」をチェック。ピアノのアタックは透明度が高く、中低域の厚みも両立した落ち着き良い表現である。ウッドベースの弦は艶良くハリ鮮やかなタッチで描かれ、胴鳴りは沈み込み良く響く。
ドラムの密度感、スネアブラシの軽やかなアタックもリズミカルで、シンバルの響きも柔らかく聴かせている。そのプレイもむっちりとしたウッドベースの押し出しと、コシの太いクリアなピアノに対し、ダイナミックに反応。躍動感あるグルーヴを楽しめた。
ロック音源はデイヴ・メニケッティ『メニケッティ』から「メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ」を聴く。エレキギターのコシの太さ、パワーコードのミュートプレイの響きの深さが印象的で、ディストーションのニュアンスも粒立ち良くトレース。リードパートのピッキングも軽快でリズム隊の厚みの良さと好対照だ。
シンバルワークは柔らかくクリアに引き出しており、ライドの余韻も綺麗に伸びている。ボーカルの口元は滑らかにまとめ、ボディの厚みもしっかりと表現。コーラスの分離も良く、低重心で安定したサウンドである。
最後にポピュラーな音源としてSawanoHiroyuki[nZk]:mizukiの「A/Z<MODv>」も聴いてみた。倍音の煌き良く艶やかなギターの音色と、ピアノの澄み切ったトーンが音場の透明感をより良く引き立てており、柔らかいボーカルの質感を滑らかに表現。丁寧な音像のトレースを見せ、リヴァーブの余韻も清らかに描き出す。
ベースは弦のアタック感を鮮やかに捉えており、リリースの豊かさとの対比も良い。全体的にヌケ感も良く、楽器の周囲にまとうエアー感もクリアに見通すことができた。
ACCENTUM True Wirelessは「本物志向のリスナーにこそ手に取っていただきたいイヤホン」
ACCENTUM True Wirelessはゼンハイザーの完全ワイヤレスイヤホンの新たなスタンダードになり得ると冒頭述べたが、その理由は音質だけでなく、機能性にも妥協したくないというこだわり派のリスナーにとって安心して手に取れる、充実のポテンシャルを持つ完全ワイヤレスイヤホンに仕上げられているからである。実力そのものもフラグシップ機に迫るものといえるだろう。
これはSonovaグループの強みと歴史あるゼンハイザーの音作りの融合により、耳に優しい設計でありながら最良の音質で楽しめるツールとして開発されているという背景、ストーリーが強く作用しており、数多ある製品との大きな差別化を図れる優位点だ。
その上で、フラグシップ機で用いられた技術をコンパクトに凝縮した本機は3万円前後という完全ワイヤレスイヤホンの中では高価な部類となるものの、実際にその音、機能を体験すると、決して高いプライス付けでないことが理解できるであろう。低価格な製品では満足できない本物志向のリスナーにこそ手に取っていただきたいイヤホンである。
(提供:Sonova Consumer Hearing Japan)